Money is the sinews of war.
1.Money is the sinews of war.
次の日は見事に全員、二日酔いで倒れていた。
しかし、玲音は比較的軽い症状で朝の8時には目が覚め、シャワーも浴びて気分もスッキリとしていた。
「今日のドイツ観光は、どうするの?」
玲音が隣のベッドに寝ている廉を揺さぶり起こしながら聞く。
「藤堂先輩に聞いて……。俺、まだ、寝る………」と廉は寝返りをうちながら答える。
玲音は、部屋の中を見渡しながら、廉に質問する。
「でも、何で悠貴と千景までこの部屋で寝てるのさ?2人とも部屋取ってたよね?」
廉は、枕を抱き寝転げながら玲音の質問に答える。
「う~ん……。悠貴はベロンベロンで……。俺、悠貴の…部屋番号分かんないから……仕方なく…」
「千景は?」
「自分の……部屋………番号……忘れたんだと……」
「パンダうっさい!頭に響くだろ?朝早くからキャンキャン言うなよ!」
ソファで寝ていた千景が起きる。
「嫌なら自分の部屋で寝ろよ!」
千景は頭をかきながら
「あ~、頭いてー。しかし、こいつこんなにうるさいのに平気な顔して、まだ寝てるぜ?」と千景が隣のソファに寝ている悠貴をつつく。
「悠貴を起こすのは簡単さ」と玲音は悠貴の傍に行って叫ぶ。
「うわぁ~見てみて、綺麗な女の子の団体客が一杯いる」
「え?どこどこ?」と悠貴は飛び起きる。
「ほら、ね」
「……………うっさい!女なんかどうでもいい!もう少し寝かせろよ!」と廉は怒る。
「綺麗な女の子は?…」と悠貴はあたりを見渡す。
「悠貴お前、煩悩の塊のような奴だな?」と千景は呆れていた。
玲音は、仕方無く今日の予定を確認するために、藤堂の寝起きの悪さを恐れて齋藤に電話をかける。
長いコールの後、やっと齋藤は出た。
「先輩!おはよう。玲音だけど、今日観光どうするの?」
「ん?う~ん………」
「聞いてる?」
「うん~………。十碧、俺、もう飲めないから~フム……」
「いや、先輩?あっ切れた……」
仕方なく藤堂にかける。
「ん?誰?」
「先輩おはよう。俺、玲音です」
「玲音???そぅ………」
しばし沈黙が流れる
「おーい、藤堂先輩?」
「う~ん、で?………何?うみゅ」
「今日の観光どうするの?」
「う~ん……観光??……観光ねぇ…玲音??う~ん…え?玲音様??」
「そうだよ?目が覚めた?」
「あぁぁ、すいません……。何処に行きたいですか?」
「別に何処にとは無いんだけど廉とか二日酔いで死んでる。齋藤先輩は寝ぼけて話しにならないし……」
「あぁ……。出来ればお昼過ぎあたりからでもいいですか?」
「いいよ~。俺も、もう少し寝たいから」
「お昼過ぎに、そちらに伺います」
昼12時ピッタリに藤堂と齋藤が玲音達の部屋にきた。
齋藤が「朝はごめんな」と玲音に謝る。
「電話に出たこと覚えてるの?」と聞くと
「全然、全く覚えてない」と笑う。
「拓哉は酔いつぶれてなくても、飲んだ次の日は昼までは何やっても起きませんから……」
「ここにも起きないのが、若干2名いるよ」と玲音は、ソファとベッドにまだ、寝ている千景と廉を指さす。
それを見て藤堂と齋藤は苦笑する。
「加藤さん達はどうするんですかね?」
「昨夜の飲み方からするとみんな死んでるような気がするよ?
悠貴!加藤さんと伊集院教授の部屋番号知ってる?」
ソファでアクビしながら悠貴は答える。
「確か俺の隣が教授でその隣が加藤さんだったと思うけど?」
「統轄長は、起きておられますか?」
「親父は間違えなく、まだ寝てるはずだよ」
「取り敢えず、みんなで食事でも行きましょうか?」と藤堂が提案する。
「そうだね」
「拓哉、みんなをロビーに集めて、俺、店を手配するから」
「了解、取り敢えずロビーに30分後に集合で」
藤堂は松葉杖で移動していく。
「玲音君、統轄長を起こして来てくれる?」と齋藤が玲音に頼む。
「わかった」
「俺は加藤さんや伊集院教授、秀一起こして来るんで30分後にロビーで集合で」
「うん、連れていくよ」
玲音は、隣のドアフォンを連打する。
それでも中々出て来ないから携帯を鳴らすが3回余り携帯を切られた後、やっとドアが開いた。
「早く出ろよ!いつまで寝てるのさ!」
「玲音。今日は休みなんだからさぁ~。それに頼むから頭に響くから余り大きな声を出さないでくれないか?」
「なら、勝手に好きなだけ寝ておけよ。親父だけ置いていくからね」
「ん?何処に行くの?」
「ご飯食べに」
「少し待ってて、支度するから」
「ロビーに早く降りて来いよ!遅いと置いて行くからな!」と言って玲音は部屋に戻ると、まだ千景と廉はボーッとしていた。
「何やってんの?さっさと支度しろよ!
いい歳して寝ぼけんなよ!」
「あぁ!うるさい。廉、よくこんな騒音パンダと何時も一緒に居られるな!」
「毎度の事さ」と廉はあくびをする。
「ほら、ぐたぐだ言って無いで支度しろよ!みんな待ってるんだからな!」
「悠貴!俺達は下に降りよう」
「うん、その前に着替えてくる。シャワーも浴びたいし」
「俺の服でよければ貸すよ?」
「それは………身長が………足の長さが………」
「ならロビーで集合な?」
「うん」
「悠貴、待て。俺も一度、部屋に戻る」と千景も悠貴と一緒に出て行った。
「廉!とっととシャワー浴びて来いよ」
「わかったよ!そんなにキャンキャン吠えるなよ、頭に響くじゃないか?お前の声はただでさえ響くんだから!」と廉は怒る。
「時間ないから早くな!」
廉は、シャワーを浴びて出て来て、タオルで頭拭きながら玲音に聞く。
「何処に何を食べに行くの?軽装で行けるとこ?」
「さぁ?ジャケットぐらい羽織っていけば?」
「そうだな………。そうなるとジーンズも辞めておいた方がいいな」
「もう、早くしないと約束の時間になるよ?」
「玲音。お前、その格好でいくの?」
「ん?うん、そうだけど何?」
「ふ~ん。なら俺は、これにするか?しかし、これに合う靴がなぁ~」
「なんだよ!気になるじゃんか!」
「気にしなくていいよ!」
「教えろよ!」
「いや、珍しくトラッドな感じだからさ
玲音、このベストに合う靴貸してくれ」
「ん?シューボックスに入ってるの好きなの使えば?最近廉、洋服のセンス変わったよな?」
「お前に、思いっきり【じじくさい】と言われたからな~」
「それだけでは、無いだろ?何があった?
教えろよ!」
「さて行こうか」と廉はドアに向かう。
「教えろよ!!」と玲音は廉を追いかけながら言う。
「なんもない」
「廉の嘘つき!!!」
2人がロビーに降りて見ると藤堂と齋藤、あと死んだような目をした大人3人がいた。
時宗が加藤の隣に座りながら「雅治。俺の財布返せよ」とあくびをしながら言う。
加藤はジャケットとズボンのポケットの上を押さえながら
「あ~ぁ。部屋に置いてきた」と面倒くさそうに言う。
「なら、昼は雅治の奢りだな?」と呆れながら時宗は言う。
「誠!お前いくら持ってる?」と後ろのソファに座っている伊集院に聞く。
「頭に響くから大声だすなよ。1位はあるかな?」
「なら足りるな…」
「雅治、そう言うお前はいくら有るんだ?」
「2位」とあくびをしながら答える。
「藤堂。食事した後、何処に観光に行くんだ?」
「さぁ~。決めて無いですが?」
「お前の足で行けるとこは、車で移動だよな?」
「俺、ライン川下りしたいなぁ」と玲音がホテルの観光案内のパンフレッドを見ながら言う。
「………これからか?飛行機チケット取れるか?フランクフルトに宿泊するようになるな?ミュンヘンの方が近いのか?」と伊集院が言う。
「それでは、この人数で流石に3では、きつすぎるだろ?仕方ないとって来るかぁ~」と加藤が立つ。
この会話を聞いていた廉が素朴な質問をする。
「この場合お金の単位ってユーロ?ドル?円?後ろ単位ってKですか?Mでは無いですよね?」と廉が聞くと加藤が
「流石に、3千円じゃ何処にも行けないだろ?この大所帯では………。
3千ユーロやドルでも日本円で50万もないだろ?Kではないよ。それに俺達はドルやユーロの換算なんて面倒な事はしないしな」
「えぇ、300万??」廉がびっくりする。
「流石に3Gは時宗でないと出せないよ、しがないサラリーマンではなぁ~」と言いながら、加藤はあくびをする。
「独身貴族の雅治なら1G位なら出せるんじゃないか?」と伊集院は言う。
時宗は加藤に向かって「止めてくれよ。一晩で3Gは流石に ……」
加藤は、時宗の話を聞き流し伊集院に反論する。
「一晩で1G使ったら、当分遊べないじゃないか?海に籠ってろって言うのか?
それに誠だって今は独身貴族だろうが?」
「1Gって1億ですよね………。どんだけ豪遊されてるんですか?」と廉は呆れる。
玲音がそれを聞いて怒る。
「親父!一晩でそんなに使うなら俺に車買ってくれてもいいじゃんか?」
「いや玲音、流石にそんなに使ってないから!雅治、誠、変な事を吹き込むなよ」
「親父、何時も俺達をこき使って自分達は無駄使いしてんのかよ!」
「いや、そんなに毎晩飲み歩いてないだろ?」
時宗はまずいと思い玲音の隣に座り直し、なだめる。
「取り敢えず、時宗の財布を取ってくるよ」と加藤は逃げる。
「普通、財布の中に何時も1Mとか入ってるのか?俺の給料安いのかな?
しかし、十碧でもよく入っていて0.5Mだよな……。俺、無駄使いしすぎなのか?」と話を聞いていた齋藤はブツブツ言っている。
廉は、藤堂に「昨日の飲み代っていくら位なんですか?」
「え?私が支払いしたわけでは無いので……私の推測ですが……。多分、店貸切りで大所帯なので2M位かと?」
「200万??俺の一年間のバイト代が一晩で……消えたのか?」と驚愕する。
そして廉は、恐る恐るまた藤堂に聞く。
「あの~、俺達の部屋のホテルの一泊の料金は??」
「そう言うのは、気にされないほうが………」
「かなり高いですよね?」
「お金より命ですから、セキリティ考えると安いと思いますよ?」
そこに周藤と悠貴、千景がロビーに降りてきた。
「何?この異様な雰囲気は?」は周藤が言う。
「秀一、財布見せてくれよ~」と齋藤が周藤のそばに駆け寄り言う。
「なんだ?急に??」
「いいから、いいから」と周藤から財布を取り上げて中を見ると0.5M弱入っていた。
「秀一、何時もこんなに入ってるのか?」
「いや、少なくとも半月はこっちに居るし、海外だから持ってきただけでいつもは1/5位だよ。それに俺は妻帯者だからそんなに小遣い貰ってないよ。それがどうした?」と齋藤を不思議そうに見ながら言う。
「いや、別に……」
「拓哉は10万位しか入って無いんだろ?」と周藤から見透かされる。
「な・な・何でだよ?」
「普段から、おもちゃ買いすぎて貯金無さそうだもんな?」
「…………。おもちゃって………。貯金無さそうって………。ある意味図星だが……」
それを聞いていた千景が「海外に来るのに10万ですか?まぁ3日なら……。でも1日3万…。何か合った時は厳しいすね?」という。
「え?千景君いくら持ってきたの?」
「多分先輩の所持金×10かな?」
「!!!」齋藤は愕然とする。
「それは、それで金持ってるね?」と周藤が驚く。
「俺、半端なく働いてますから~」と千景は涼しい顔で言う。
「いや、俺だって…。かなり、うん。かなり働いているんだが………」と齋藤は今までの無駄使いを反省した。
「それでは、お昼を食べに移動しましょうか?」と藤堂か仕切る。
「廉君、これから私のサポートしてくれる?英語が通じればいいんだけど。多分難しくなると思うから」
「あぁ、分かりました」
「これ予約した店、タクシー呼んでるからそれぞれに行先を言ってくれるかな?」
「分かりました。先輩は、座ってて下さい」
藤堂が予約していたのは、こ洒落た店構えだが、伝統的なドイツ料理の店だった。
廉は店主に10人分のおすすめ料理を頼んだ
食べながら加藤は「やっぱりビール飲みたいよな?」
「え?まだ飲むの?」と玲音が呆れる。
「迎え酒と言って………」と加藤はうんちくをいい始める。
藤堂はタブレットで色々調べながら廉に何か指示をしている。
「統轄長、奥様は、ローテンブルグにいつ入るんですか?」
「ん?ママ?多分もう、居るんじゃない?」
「ママ一晩で3Gとか使っているの知ってのかよ?」と玲音は、まだ時宗を責める。
「いや、本当に流石にそんなに使って無いから……」
「そう言えば昔、箱根のじーさんに無駄使いしすぎだと怒られてたよな?あの時いくら使ったんだよ!」
「いくらだったかなぁ~。随分昔の事で忘れたなぁ~。まぁ若気の至りで使いすぎたこともあったが、今はそんな使ってないから~。
それに、社会人は仕事以外に色々付き合いしないとね。私は他の人より立場が上なのだからそれに見合ったお金を出さないと行けないだろ?こう言う場所でないと聞けない話しだってあるし。会社には規定ってものがあるから、それ以外で労をねぎらうのも上司の役目だろ?」
「一般社会で一晩で何百万、何千万のお金使ってみんな労をねぎらっているのかよ?」
「雅治!お前責任持って玲音に説明しろよ!そうじゃないともう、俺は金輪際、金出さないぞ!」と時宗は加藤にふる。
「時宗の日頃の行いだろ?」と雅治は俺を巻き込むな!とばかりの顔をする。
見かねた廉が、玲音の所に行って言う。
「玲音。いい加減にしとけよ。おじさん一人で使ってる訳でないし、人数やその場所によって違ってくるだろ?
こうして、俺達が飲み食い出来るのもおじさん達のお金だろ?玲音。お前は、自分が飲み食いした分自分でお金出したのかよ?
それにそのお金は、おじさん達が稼いだ金なんだからお前がどうこう言う筋合いではないだろ?
何度も言うが、車欲しければ働いて自分の金で買えよ!いつまで親のすねかじるんだよ!格好悪いぞ!お前」
廉に正論言われて、玲音は言い返せずふてくされながら
「じゃあバイト料の賃上げを要求する」
「ん?今いくら貰ってるの?」
「時給で2K 」
「藤堂君!この時給額は?」
「当社の一般の学生アルバイト雇用が1.5Kなので、まぁ廉君達は一般のアルバイト以上の事もやって頂いているので特別手当でその金額に……」
「齋藤君の所のアルバイトもそのくらい?
まぁ、危険手当てとかなければもっと安いと思われますが正直把握してないです」
「う~ん……。難しい所だな。さっきも言ったが規定と言うものがあるんだ。玲音だけ特別扱い出来るものじゃ無いんだよ?」
「おじさん、玲音の言う事、聞かなくていいですから。これ以上甘やかせてはダメですよ。家賃も食費も要らなくなってバイト料は全部好きに使えるようになったんですから」
「廉~!少しは俺に味方しろよ!」
「お前の意見が正しいと思えるならしてやるが、今のお前は、単なる甘えしかないからな。無理だ俺の享受が許さない」
「雅治。少しは廉見習えよ?」
伊集院が加藤に囁く。
「誠だって、何時も時宗に依存してるだろうが!」
見かねた藤堂が玲音に囁く。
「玲音様、司法試験受かれば、給料に資格手当付きますよ?結構いい額が…」
齋藤が「そうか!資格手当って手があったな!」と反応する。
「拓哉?何考えているんですか?」
藤堂が齋藤を睨む。
「いや、なにも……」
齋藤は藤堂に聞こえない様にこっそり、周藤に「お前、何の資格手当が付いてるの?」
「扶養手当はあるが資格は何かあったかな?TOEIC?まぁたいしたのは付いてないぞ?拓哉、今度は何の資格を取る気だ?」
「ん?なんで?」
「顔に書いて有るぞ」と周藤は笑う。
「一級建築士はあるから技術士?
後は適当に……。
" Many a little makes a mickle."(少量もたまれば大量となる。)」
「拓哉!資格取るのもいいですが、社則をよく読んだ方がいいですよ?その頭でよく資格が取れますよね?」
「ん?十碧なんで?出るよね資格手当?」
「上限あるに決まってるでしょうが! 」
「え?そうだっけ?」
「統轄長、社則も把握してない三役は降格させた方が、いいかも知れませんよ?」
「え?十碧。変な事を言うなよ」
加藤と伊集院が隅で「誠。資格手当ってそんなの知ってたか?」
「さぁ?なら博士号が手当付いてるってことなのか?いくらなんだろう?今度じっくり給料明細見てみるか……。って、雅治と俺の基本給も違ってたのか?」
「基本給は一緒だろ?」と2人は真剣にこそこそ話している。
それを聞きながら時宗は苦笑し、齋藤に質問する。
「齋藤君、今の給料に不満なの?」
「え?いや、そんなことは無いですが?増えるなら増えた方がいいかなぁと」
「まぁ。それはそうだね。でも資格取るより、今のメタンハイドレートの研究、開発うまく軌道に乗せれてくれれば、ちゃんとその苦労分しっかりと昇給してあげるから資格取るより、そっちを頑張って欲しいなぁ」
「え?本当に?」
「あぁ、あのプロジェクトは、うちのグループの要になるからね」
「俺は、今の給料に不満だっ~つの、イギリス、フランス、ドイツ、国内でも島や箱根のじーさんの所に飛ばされて……。じーさんの相手しても、給料は出てないぞ!
しかも、契約違反されて置いてけぼりくったぞ!
廉も、廉だ!俺に味方してくれれば車買って貰えるのに~」と玲音は一人でブツブツ言っていた。
結局、また一同は、ビールを飲みはじめてミュンヘンやフランクフルトに行く時間は、見事になくなり形だけの観光でタクシーでベルリン市内をざっくり見てまわって終わった。
一番よく飲んで居たのは紛れもなく玲音だった。




