Go back in time
1.Go back in time.
玲音が何時ものように、リビングのソファに座って雑誌を見ている。
「なぁ玲音。俺、司法試験合格したらNYに1年間行ってきたいんだけど?」と廉は、玲音の横に座り話かける。
「ん?なんで?」
「NY州の弁護士資格も取ろうかと」
「ふーん、親父はなんて言ってるの?」
「まだ、話してないよ?」
「廉が行きたいなら行けば?取ったらちゃんと帰って来るんでしょ?」
「うん、帰って来るよ。他に俺の居場所なんてないよ?」
「俺も、ついて行ってやろうか?」と笑う。
「玲音は、何かやりたいことないのか?」
「う~ん、そうだな?まだ廉との約束守れて無いから、あの遺跡を調査したいな?」
「約束?」
廉は玲音の顔ガン見する。
「うん。昔、約束したじゃないか?俺がトランスゲート見つけて過去に戻って廉が事故に遭わないようにしてやるって」
「過去に戻って?」
「そうだよ?」
「事故?」
「うん。あの交通事故さえ、避ければいいんだろ?」
玲音は、時空を旅する空想を話すが、廉の耳には既に半分入って来てない。
「でもさぁ~。もし、自由に過去に戻れるとしても、出来れば自分の選択がたとえ間違っていたとしても後悔しない人生でありたいよな?
突然、もっと先の未来から来た俺が目の前に現れて、【お前の人生の選択は間違いだ!】とか言われでもしたらショックすぎるよな?これ程、最悪最低な事はないよな?何をどう間違ってるんだよって……」
夢中になって話していた、玲音は、ふと、我に返り廉の様子の変化に気づく。
「ん?」
「過去に戻って……?」
廉は玲音の言葉が突き刺さったままだった。
「どうしたの?顔色悪いよ?廉?
聞こえてる?廉??廉!病院にいこう」
(そう、玲音の言うようにこれから起こる出来事が最悪な事が起きる様な気がする。
なぜ?なんで?)
「千景!千景!車を出して!廉の様子がおかしい!」
玲音が叫ぶ。
千景が部屋から出て来て、廉を見てビックリする。
廉の顔は真っ青になり頭を抱えて朦朧としている。
他人の声が、意識に入って来てないのがわかる。
「親父に電話してから、すぐに下に車まわすから、パンダは廉を下まで連れてこい」
「わかったよ!廉?俺の声聞こえてる?」
(過去に戻れる??事故??)
「廉、病院行こう。汗がすごいよ?立てる?廉?廉!」
廉は意識を失った。
夢の中であの島をみていた。しかし、自分の知っている島ではない。島の火山が爆発し、山の一部分が吹き飛び島一周していた道路は寸断され荒れ果てて自然発電施設、事務所は跡形も無くなっていた。
その島を一生懸命に調べている男の後ろ姿を見た。その男は、前に夢で見たことのある気がした。
次に目が覚めたのは、病院のベットの上だった。
「あれ?どうしたの?なんでここに?」
「お前、また倒れたんだよ!無理して記憶掘り出すなと言ったろ?」と千景が怒る。
五十嵐の先生が病室にやって来て、
「ここ最近はずっと落ち着いて来てたのにね?体調を崩して居たわけではないんだろ?
吐き気は?頭痛はどのくらい?
昔と比べてどう?少しまた検査してみようか?」
「え?大丈夫です」
「でも、NYでも2回も意識を無くしてるよね?
今先程、時宗と連絡して、入院させてきちんと検査してくれと言われてね。今回は大人しく受けてもらうよ」
そう言い残し五十嵐は病室を出て行った。
千景も「薬、貰ってくるよ」と病室を出た。
「廉。俺、さっきNY行きたければ行けば?と言ったけど撤回する。
廉に、何か有ったとき誰が傍にいないと。廉は一人暮らしなんて無理だよ!
どうしても行きたければ、この俺を連れていけ」
「玲音が、NYに行って何するんだよ?」
「俺も、ついでに弁護士資格取ればいいじゃん。廉が取れるなら俺でも取れるさ」
「何か、酷い言われ様だな?でも、それは玲音のしたい事とは違うだろ?俺に付き合わなくても、好きな事しろよ?」
「俺は、廉と一緒に居ることが楽しいし、居心地いいからそれが、好きなことだよ!それに親父、廉一人だけでは、許可しないよ?多分」
千景が薬を持って戻ってきた。
「千景、調べて欲しい事が有るんだけど」
「お前の記憶に関することは断る」
「違うよ。あの島だよ?あの島活火山あるだろ?齋藤先輩は70年前位に噴火あったと言ってたけど。どのくらいの規模で正確な年数知りたいだ。
後、どのくらいの頻度で噴火繰り返しているか?」
「なんで?倒れてまで、そんな事が知りたいんだよ?」
「なんでかな?でも、知りたいんだ」
「ちゃんと精密検査を受けるなら調べてやるよ」
「千景まで、俺をベットに縛りつけるのかよ?」
「なんともないなら、さっさと検査を受けて退院すればいいだろ?」
「分かったよ。嫌だと言ってもすぐに退院できないんだろ?ちゃんと受けるからさ、調べてくれよ?」
「分かったよ!パンダ帰るぞ!」と千景は何処か寂しそうに言い放つ。
「う、うん。廉、また明日ね」
「明日はバイトだろ?玲音は、ちゃんと行けよ!」
病院からマンションまでの帰り道、千景は車を運転しながら玲音から、発作は何の話をしていて、発作が起きたか?詳しく聞いていた。
「あの遺跡か、島にキーワードあるのかな?」
「う~ん。でも最初の大きな発作はママと話していてだし、次に大きな発作は子供の頃の記憶を思い出そうとして、その後イギリスの話だった様な気がする。後、美術館で」
「パンダ、おじさんに廉は幼少期どれくらいの期間イギリスで暮らして居たか聞いて置いてくれ」
「親父、覚えてるかなぁ?まぁ聞いてみるよ?」
「何度かパンダと一緒にイギリスには行ってるんだよな?」
「2、3回じゃない?俺、あんまりイギリス好きではないんだ。
変な物見えなければいい街なんだけどな、じいさんの家のある田舎は過しやすいけど、じいさんが事ある毎に俺にイギリスに住めとうるさいからな………。
だからあまり行って無いんだ。俺が行かないから廉も、行ってないよ?」
「そうか、イギリスで発作は無いんだよな?」
「俺の知る限りではね………。廉は、隠すから………」
「まぁ、調べて見てくれ」
「分かったよ」
2.Old memories.
玲音は1人バイトにやって来た。
「柊木さん、親父いや、統轄長は、今どこに居るの?」
「ドイツです。しかし、明日には帰って来られますよ」
「そう、ありがと~。当分廉は休みだから」
「聞いてます」
「まぁ俺が廉の分も頑張るよ」
「お願いします。今日はこれお願いできますか?」
「はい」
(2人ですると結構早く片付くけど、一人だと時間のロス目立つな……)
結局、なんやかんや仕事は増え続け夜8時過ぎまでかかっていた。
(あ~。廉の所に急いで行かないと)と思ってフロアに出ると時宗達が帰ってきた。
「親父。明日帰る予定だったのでは?」
「廉が入院したと聞いたから帰国を早めたんだ。廉の様子はどうなんだい?」
「今回は、ちょっと大きな発作だったけど本人は相変わらずだよ。ねえ聞きたい事が有るんだけど……」
「ここで、立ち話も何ですからお部屋の方に」と藤堂が言う。
「あぁ、そうだね。玲音、部屋で聞くよ」
統轄長室に入って、藤堂は荷物を時宗に渡すと「それでは」と言って退出しようとした。
「藤堂先輩も居て、多分親父じゃあ覚えて無さそうだし……」
「私はまだボケてないぞ?」
「でも細かい事、覚えないじゃん」
「…………。人間の記憶の用量にも限界があるだろ?」
「どうでもいいよ!そんなの」
「……………。で、なんなんだい?」
「廉は小さい頃、親父達と一緒に世界転々としてたんだよね?」
「あぁ、学園に入るまでは両親と一緒にいたよ。それがどうした?」
「廉、イギリスにはどのくらい居たの?」
「う~ん……」
「やっぱり覚えてないんだ」
「どれだけ仕事でイギリスに行っていると思っているんだ?そんな細かい昔の事は。藤堂君、何か知ってる?」
「私が橘先輩付いてからだと廉君は初等科に入ってますから……。でも橘先輩がイギリスに出張は、何度行ったかはわかりませんが、多分ですがあちらに在住されたのは、イギリスの蒸留酒の企業買収の調査、交渉の半年だけだと思われますが?あの企業の買収の話を聞いた事は、あるので」
「あぁ、あの買収、時間かかったもんね」
「しかし、何でそんな事を知りたいのですか?」
「千景が発作には何かキーワードか共通点があるんじゃないかと。
前にNY行く前にイギリスのパスポートの国章を悠貴に話して発作起きたから何か関係あるかなと思って」
「多分関係は薄いと思われます。3才か4才位だと思われますよ?」
「そうかぁ~。後、親父」
「なに?変な要求は、辞めてくれよ?」
「変な要求って………。まぁいいや。
廉、1年NYに行きたいらしいよ?」
「玲音。お前で無くて廉が?」
「そう。NYの弁護士資格取得したいみたい」
「う~ん。NYで大きな発作2回も起きてるからなぁ、一人暮らしは………」
「俺が一緒に行くよ!」
「大学どうするんだ?」
「廉、留学で行くんだろ?俺も、それでいいじゃん。ついでに弁護士資格とってくるよ?」
「ついでにって……」時宗と藤堂は顔を見合わせる。
「でも、玲音様は法学部の専攻は?日本の弁護士資格の受験資格は有りますか?」
「経済学部と法学部を受けろって言ってたじゃん。廉は法学部の専攻科まで取ってるみたいだけど受験資格ならそこまでしなくても有るでしょ?」
「まぁ、この話は廉が話を出したら改めて考えよう。今はどうやっても無理だ。
しかし、玲音。お前はいったい何をしたいんだ?」
「したいこと言ったらやらせてくれるの?」
「う~ん…………。まぁ………。少し位なら。……いや趣味程度なら……」
「統轄長、墓穴掘ってますよ?」
「参ったな……」
「俺、廉と居るの楽しいから、廉と同じ仕事共有できるならなんでもいいよ。
だから廉が弁護士資格取るなら俺も取ってもいいかなと」
「何か動機が不純な気もするが、持っていて悪いもんでも無いからなぁ……。
まぁ考えておくよ。さて、廉の所に行くよ」
「私もお供します」
「俺も行く」
千景がタブレットを持って廉の病室にやって来てきた。
「廉、調べて来たぞ」とタブレットを差し出す。
「ありがとう」
「100年前後で噴火を繰り返しているようだ。
ただ、観測者が居るわけでないから、齋藤先輩達が行った地質調査からの推測に過ぎない。遠浅なのは水位があがったか?島自体が水没したか?遺跡の位置から考えるとあの一帯が地震に因って水没したと考えるのが妥当だな?
次の噴火はここ数年後に起きてもおかしく無いかもな………」
「大きな噴火になるのかな?」
「さぁな。それは、神のみぞ知ることじゃないか?」
「何でそんなに気にする?」
「あそこには、沢山の人居るじゃないか?」
「噴火には、予兆があるだろ?それに加藤さんや他の部門の専門家が居るんだ。
お前が心配するような事は無いんじゃないか?」
「そうだな」
「気が済んだら、余計な事考えずに休め」
「……うん……」




