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Eternal Return ~永劫回帰~  作者: 天野 花梨
Daily Activities -in University life-
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59/100

Nurture is above nature.

1. A fateful encounter!


 タイラー氏一行の来日の日、時宗と藤堂と玲音と廉で空港に出迎えにいった。


 ゲートから一行が出てくると同時に

「My Honey!」と叫びながら一直線に玲音に向かってくる見覚えのある娘が居た。

 廉は自分の目を疑い、時宗と藤堂は唖然とし、玲音は反射的に素早く廉の後ろに隠れる。

「廉、あの娘の事だったの?」

「いや、よく覚えて居るから違うよ?」

 駆け付けた娘は、玲音を腕捕まえて満面の笑みで叫ぶ。

「A fateful encounter!」

「玲音、運命の出会いだって」

「何でだよ!悪夢以外の何者ではないよ!」

「確かに運命的だよなぁ?」

「ちょっと離して、離してよ!」

 "let go! Please let go! Let's me go, please."

「廉、納得なんかしてないで何とかしてよ」

「何とかと言われてもなぁ………」

「お知りあいですか?」

 藤堂は不思議そうに言う。

 そんな藤堂を見てその娘は飛び付く。

「Oh! my Darling!」

「ええ?どういうこと?」

 藤堂は驚く。

「そう言う事です」

 廉は呆れながら言う。

 それを見た時宗は苦笑している。

挿絵(By みてみん)

 ジェームス氏とオリビアも時宗の所までやってきた。

 "Welcome I waited.

 It's been a long time.“

 “Yeah. It’s been quite a while.

 When was the last time we met?"

 形式的な挨拶の後

 オリビアがその娘に離れるように諭す。

 その娘は【アリス ウエストン】

 オリビアの学友でジェームス氏の関連会社の社長の娘らしい。

 空港ロビーで改めて全員の自己紹介した後、一行は車で事業所に移動した。

 移動する間、車の中は勿論、歩く時にもアリスは玲音にべったりくっついて離れなかった。

 玲音はずっと、【来るんじゃ無かった】とぼやきアリスの一方的な話などは聞き流していた。

 廉はオリビアから【なぜ、アリスの事を知って居るのか?】と言う質問に答えていた。

 オリビアいわく、「アリスはちょっと変わっているけど、 素直で気さくで明るいいい娘なの。 面食いなので好みの男性見付けるとちょっと奇抜なアプローチかけるの」

 【ちょっとね】と廉は苦笑しながら、玲音は【随分】の間違いだと日本語が通じないことをいいことにぼやいている。

「先日、パーティも一緒に行ったんだけど途中ではぐれて………。その時、凄く素敵な人達に運命的な出逢いがあったけど名前も連絡先も聞けなかったと残念がって居たのよ」


 廉は「運命的出逢いね」と苦笑するし、玲音は「悪夢的出逢い」の間違いだと日本語で呟く。

 ジェームス氏と時宗と藤堂は仕事の話をするので応接室に向かい、廉と玲音は、取り敢えず今日は疲れたでしょうとオリビア達を宿泊先のホテルに送った。

 アリスは玲音から離れるのを拒み一緒にまだ話をしようと粘ったが、玲音はほぼ逃げる形で置き去った。



 廉は、マンションに帰ってからが大変だった。

「廉!俺、嫌だからな?あのアリスって娘の相手なんて絶対に嫌だ!死んでも嫌だ」

 千景もあのパーティの娘が来たと聞いてたじろく。

「廉、俺は面割れて無いから敢えて行かない方がいいだろ?」

「おい、俺1人が2人と樹里亜の相手するのか?」

「いくら廉の頼みでも、あんなにべったり張り付いて全然、人の話を聞かない娘の相手なんか出来ないよ!」

「でも、潤も悠貴も島に居るし、他にこんなこと頼める人は居ないじゃないか?」

「何とか我慢して付き合ってくれよ?あぁ、そうだ!玲音、島でのバイクレースの賭けまだ支払ってないよな?」

「!!!!廉、お前は悪魔だな?こんな時によく使うな!残酷だとは思わないのか?」

「こんな時だからこそじゃないか?

 俺、ちゃんと玲音を島にも迎えにいったじゃないか?頼むから付き合ってくれよ?

 オリビアに頼んで玲音と千景には一切触れない様に頼むから」

「ええ、俺もやっぱり行かないとダメなのか?」

「何?千景、部外者を気取ってるの?

 もともと千景があの娘連れて来たんじゃんか!俺に押し付けてさぁ。関係ないなんて言わせないよ。

 俺、行くんなら千景が来るのは当然じゃんか!」

 ここまで本気で、嫌がる玲音も珍しい。

 樹里亜が相手でも、こうも嫌がらない。

「廉。絶対、俺にくっかない様に言えよ?

 もしくっついて来たら、俺は、その場で帰るからな?即効に帰るからな?絶対だからな?いくら廉の頼みでも、それを約束しない限り嫌だ!」

 玲音は言いたい放題言って自分の部屋に戻った。


「しかし、パンダがあそこまで嫌がるとはな?勘違いするなよ?俺だって嫌だからな?」

「分かってるよ、お前らの気持ちは。

 しかし、何か有ったとき俺1人では、対応出来ないし、おじさん達の仕事に水を差してもな?だから、頼むよ」

「分かってるよ。でも、さっきの約束は守らせろよ?」

「あぁ、今から連絡して約束を取り付けるよ」


 廉はオリビアに電話をし、やんわりと玲音達の気持ちを代弁する。

 オリビアはオリビアで「アリスに悪気が有るわけで無くて、人なつこいので他人よりも、ちょっとオーバーアクションなだけなの」と庇う。

「一応はアリスには言うけど癖だから絶対にとは行かないかも」と、確約してもらえない。

 リビングに戻ると千景が玲音を部屋から呼び出し2人で明日の観光案内ルートを見てた。

「約束してくれた?」

 う~ん。オリビアに言われたことをそのまま説明する。

 すると、また玲音が激怒を通り越し激昂する。

「はぁ?何?癖?オーバーリアクション?アホだろ?

 大体、初対面の異性に抱きついてくるって事自体がおかしいだろ?

 悪気が有る無し関係ない!マナー違反だ。

 しかも他人が嫌がっていると説明しても辞めさせないこと自体もおかしい。

 あの娘、馬鹿だろ?頭のネジが10本位足りないぞ!そんな馬鹿、相手にするのは御免だ。相手が、そう出るなら俺達は案内しなくていいじゃんか!」

「玲音。お前、怒ると黙り込むか罵声を浴びせるかの両極端だな………。

 玲音の気持ちも、言うことも正しいんだけど、俺のために少し冷静になってくれよ?」

「廉!今回は俺もパンダの意見に賛成だ。

 そこまでして、もてなす通りが分からない」と千景も玲音の同意をする。

「非礼は向こうだ。それを止めて欲しいと言って無理と言うのであれば相手にする必要ないだろ?

 それとも廉。あのオリビアって娘が好きだから、何とかしてあげたいのか?」と玲音が廉に詰め寄る。

「いや、何とも思ってないが………。

 例えば、俺が千景や玲音を違う国に連れて行って悪気はない事にその国の文化に合わないから誹謗中傷されたら俺でもお前らかばって同じこと言うと思うから………。

 それに、おじさん達の仕事に水を差したくないだけだ」と廉は言う。


 しかし、千景と玲音は納得してくれず、

 その場は、「俺達がこんなことで喧嘩するのもバカらしい。お互い頭を冷そう」と千景が提案しそれぞれの部屋に戻る。


 流石に廉の説得だけでは無理そうなので藤堂に電話してみる。


「どうされました?」

「今、話しても大丈夫ですか?」

「そうですね………。ちょっと場所変えますので私から折り返します」

「お願いします」

 少しして藤堂から電話がきた

「すいません。わざわざ電話してもらって」

「構いませんよ。何か問題なんですよね?」

「はい………」

「藤堂に全てを話す。オリビアの対応、玲音達の怒り」

 藤堂の溜め息が聞こえる。

「そうですね。あのアリスって娘でしたっけ?非礼にも程があるのは確かですがね。

 でもあの親子も黙認しているんですよね?う~ん少し時間下さい。またかけます」


 藤堂はそう言って廉の電話を切りすぐに齋藤に電話した。

「十碧?こんな時間にどうした?今日は例の御一行が来てるんだろ?電話なんかしてきて油売ってていいのかよ?」

「拓哉。相談が有るんだ。俺のキャパを越えてる」

 藤堂は空港であったことを齋藤に細かく話す。玲音達の反応も 。

「そりゃぁ大変だな」と齋藤は電話越しに笑う。

「確かに常識を逸脱してるな。見て見たいなぁ。そのなんだっけ?」

「アリスだよ!ってか拓哉!笑い事じゃ無いんだよ!玲音様達が怒るのも嫌がるのも分かるけど放り出すわけにもいけないだろ?どうすればいい?」

「俺なら【確約出来ないなら案内は出来ない】とキッパリ言うけど、俺はしがらみ無いからな?こう言う外交はお前の方が得意だろ?俺は専門外だよ?」

「女の扱いは得意なんだろ?こないだ言ってたよな?知恵を貸せよ!」

「十碧、根に持つなよ……。確かに言い過ぎたよ。すまない。謝るよ」

「根には持ってないさ。俺は何時も拓哉の意見は素直に聞いて居るだろ?事実として受け止めてるよ」

「取り敢えず、統轄長に相談してどうしてもって言うなら、お前の部下を何人か見繕って同行させるしかないだろ?」

「そうだな、そうするよ。ありがとう」

「大変だろうが、頑張って乗りきれよ」



2. Nurture is above nature.


 藤堂は直ぐに時宗に相談をしに統轄長室に行く。

 ジェームス氏は先程、帰った後なので、時間は取れそうだ。

「すいません。少し良いですか?」

「う~ん。何となく嫌な予感がするね」と時宗は笑う。

「ジェームス氏との会談はどの様な感じでした?」

「まぁ、その話は後でゆっくりするから、藤堂君の話。先にしたらどうかな?話が有るんだろ?」

「はい。では、御言葉に甘えて」と廉からの連絡の内容を簡単に話す。

「やはりそうか?そうだろうなぁ。玲音はかなり嫌がってたからな。多分、尋常じゃない位、怒っているはずだ。あの怒り様だとたとえ廉でもいさめるには手こずるだろうなぁ~」

「よく解りますね?」

「そりゃあ~。こう見えてもあの子の父親だからね。息子の性格位分かるさ。

 廉は板挟みになっているんだろ?私の仕事に影響出ないように穏便に済ませようと」

(凄いな。全てお見通しかぁ~)

 藤堂は、心の中で感心する。

「玲音の言う通り、確約が出来ないなら案内する必要ないと言ってやってくれ。廉も行かなくていいと」

「角が建ちませんか?」

「建っても良いじゃないかなぁ~。藤堂君うちのグループ各社の売上は?どこか不良債権かかえて資金繰りに困って居るところあるかい?

 他の企業から資金援助を頼まないと資金調達出来ない状態かい?」

「いえ、どこの銀行も喜んで貸してくれますし、売上は赤字計上を出した部署はここ何年も有りません」

「なら、こちらから無理して歩み寄る必要ないだろ?

 廉がオリビアさんの事が好きで夢中になっているとか真剣に結婚を考えて居るならともかく、別にどうとも思ってないならね。

 あちらをたてての今回の事なんだから、こちらが無理して付き合う義理はないと思わないかい?」

「そうですね。そう思います」

「廉に、そう伝えてやってくれ」

「それと、少し調べて欲しい事があるんだ

 後で時間を取ってくれ、色々説明するから」

「はい。わかりました」


 藤堂は廉に電話して統轄長の意向を伝えた。

「いいんですか?なんなら仕方ないから、僕だけでも案内しますが?」

「廉君は、案内したいのですか?」

「いえ、正直に言うとオリビアの気持ちは少し位なら分からない訳でもないけど………。

 でも反面、オリビアに僕達の気持ちを理解しようと言う節がないと思われる事が多すぎて……。文化の違いかもしれないけど………」

「なら、オリビアさんに『こちらの提案を受け入れてくれないため、案内は残念ですがすることが出来ません。』と言って下さい。

 廉君も行かなくていいですから。

 3人は、島に戻って拓哉達の仕事を手伝ってやって下さい。島に行く手配しますので」

「わかりました」


 廉はオリビアに電話をかけ藤堂に言われた通り伝えた。

 オリビアは「アリスは悪気が有る訳でないと案内して貰うのを凄く楽しみにしていたのに」と言っていたが、「玲音達に礼儀を踏まえた行動を確約してくれるなら案内するよ」と言っても「癖の様なものだから」と話は平行線をたどった。

 最後に廉は仕方なくオリビアに厳しい言葉を返す。

「玲音は、ああ見えても俺の大切な兄です。友人と兄の頼みどっち受け入れるかと言われれば解りますよね?

 今回は悪いけどこちらの提案を受け入れてくれない限り案内することは出来ないよ」と言って電話を切った。


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