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第19話 ヤバい計画

美紀(わたし)はいつからそんなことを真剣に望むようになったのかしら。


魔法少女の存在を信じていたころは美紀(わたし)は真紀と文字通りの一心同体になりたかったし、そうなれると信じて疑わなかったけど、現実の厳しさを知るとそんな突拍子もないことはさすがに無理そうなので次善の策として脳の入れ替えを検討したわ。

動物実験レベルだと脳の移植って成功してるみたいだし、人間でも十分に成功する可能性はあるみたいなのよね。

だけど技術的なことより、倫理的な問題で脳移植の研究はあまり進んでいないみたい。

脳を入れ替えるとその体はいったい誰なんだっていうのを真面目に議論しだすとそう簡単に答えが出ないみたいだけど、そんなの勝手に暇な人が好きなように議論すればよくて、美紀(わたし)にとってはどうだっていいことだわ。

一応、美紀(わたし)の考えを披露しておくなら、個人的には断然人は脳でモノを考えてるって思ってるから、あくまでも脳が主格なんじゃないかしら。

そうじゃなくても一向にかまわないけどね。


美紀(わたし)と真紀の脳をお互いのカラダに移植して最悪でもどちらかが生存できれば目的は達成されたも同然だわ。

どっちにしても美紀(わたし)は真紀と同じカラダで生きることができるもの。

欲を言えば美紀(わたし)がわたしであることを自覚したうえで、真紀のカラダで生きることができれば最高なんだけど、やってみないことには答えは出ないわよね。

問題は、美紀(わたし)には脳移植を実行できるような技術がないってこと。

例えあったとしても自分の脳を自分で移植するなんてことはできないでしょうけど。

それに、脳を入れ替えるならよっぽど入念な準備をしないといけないことはある程度の知能があれば簡単に想像がつくわ。

美紀(わたし)みたいなおめでたい頭でもね。


美紀(わたし)の脳を真紀のカラダに移植するには真紀の脳をどかす必要がある。

だけどその間、真紀の脳をほったらかしにすれば真紀の脳が死んじゃうわ。

逆にしても美紀(わたし)の脳が死んじゃう。

だから、二つの脳とカラダをちゃんと生かしたままの状態に保てないと安全に交換することはできない。

ここでも美紀(わたし)にはそんな知識も技術もないからどうしようもないけど、それはできる人に頼めばいいだけよ。

そのために脳神経外科医をいろいろと調べたわ。

一昔前だったら大変だったでしょうけど、今はネットで何でも調べられるからそれほど難しくなかったわ。

美紀(わたし)が白羽の矢を立てたのは伊達士郎。

学生の頃から脳移植の分野に興味を示し、動物での移植の成功実績もある。難易度の高い脳外科手術も数多く手がけ、三十代としては最高峰の呼び声も高い。

ぴったりじゃない。

後は慎重に話を持ちかけるだけ、だったんだけどこっちが拍子抜けするくらいとんとん拍子で話が進んだわ。


伊達先生は秘密裏に二人分の脳移植ができることに異常な興味を示し、全面的に協力することを約束してくれたわ。

こうして伊達先生が祖父の病院に異動してくることになり、真紀に近づく邪魔者を減らすために交際、結婚し、ゆくゆくは移植を行うその脳を大切に大切に自ら管理してくれたわ。

伊達士郎は女性に興味が全くなかったわけじゃないけど、美紀(わたし)と交わした約束を違えるほどではなく、脳移植できる誘惑の方が勝ったのは美紀(わたし)にとっても好都合だったわ。

美紀(わたし)が出した条件はひとつだけ。真紀と性行為を絶対にしないこと。

これさえ守ってくれれば、必ず美紀(わたし)と真紀の脳移植をする機会をつくってあげることを約束した。

捌け口に美紀(わたし)が相手をしてあげてもいいと提案したが、そんなのどうでもいいとばかりに美紀(わたし)を抱くこともしなかったわ。

逆に、性病などになってもらっては困るとばかりに美紀(わたし)にまで規律正しい生活をするように求めてくるくらいだったわ。とんだマッドドクターね。

伊達先生は機会を待つ間に、手術環境を着々と整えてその時を待ったわ。


伊達先生の準備が整ったことを確認すれば最後の仕上げよ。

美紀(わたし)は真紀を呼び出し、偽造した診断書を見せて同情をひく。

同情を引けなくても、美紀(わたし)のカラダの中の真紀が悲嘆に暮れれば美紀(わたし)がその間隙を利用して優しくして靡いてくれるかもしれないじゃない。


さあ、どんな結果になるかしら。


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