失礼な奴だ
しかし何故だろう?俺の頭の中では使用人たちが可哀そうな人を見る様な目で俺を見ながら「これはもう重症です。手の施しようがございません」と言っている光景が浮かんで来た。
手の施しようがないのは俺ではなく目の前で未だに泣き叫んでいる男であると俺は全力で否定する。
「旦那様」
「……………なんだ?」
「旦那様がそこまで重症だとは、流石の俺もビックリですよ。こと恋愛以外は完璧であるにも関わらず何故……………まぁ、ここが旦那様の人間らしさだと今までは思っておりましたが、今現在は奥方様が不憫でなりません」
そして日本サイドで俺の側付き件護衛件執事をしてくれている元王国騎士団団長のローゼン・グフタスが残念でなりませんという表情でそんな事を告げるではないか。
失礼な奴だ。
そしてそんなこんなで久しぶりに友人とバカをしながらバカ話をして帰路につくのだが、会話の八割がたは貴裕の愚痴と嫉妬で終わった。
最後の方ではシャーリーの知り合いを紹介してくれとせがまれ始めた所で流石に紹介する訳にもいかず強引にお開きとなった。
まぁ、あいつが自分の事をここまで話してくれたのは久しぶりであった為鬱陶しくはあったものの、これはこれで懐かしくもあり有意義な一日であったと思う事にする。
ここ最近はお互い仕事の話ばかりだったからな。
しかしながら時刻は既に夕食前。
楽しい時間が過ぎるのはあっという間という事であり、なんだかんだであの鬱陶しやり取りも俺の中では楽しいひと時であったのだろう。
まぁあそこ迄この俺にずけずけと思った事を言える唯一の存在と思えば、わりと稀有な存在であり、俺も思った事をずけずけと言える為なんだかんだで大切な友人であると再確認する。
「今帰った」
「あ、旦那様旦那様っ!!」
そんな事を思いながら帰宅すると玄関で今日の話題の中心であり俺の妻でもあるシャーリーが、まるで主人の帰りを待つ子犬の様な表情で出迎えてくれるではないか。
これはこれで心の奥底がむず痒くなり、それを悟られまいと必死に表情を抑えるのだが、そうするとどうしても表情や声音が固くなってしまうのは致し方ないと俺は思う。
「うん、慌てずともどこぞに行きはしないから一度落ち着いて、ゆっくり話してみようか」
「は、はいっ!……………あっ、すみませんっ帰宅時の挨拶を忘れておりましたわっ!旦那様お帰りなさいませっ!」
「はい。ただいま」
ふむ、娘がいる父親というのはこういうものなのであろうか?
これはこれで良い物だな、なんて事を思う。
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