借用書
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「か、買えましたわ……。し、しかもお釣りで硬貨を頂きましたわ……」
今わたくし達は朝ごはんを買う為にコンビニエンスストアという場所で朝食分を購入していた。
店の大きさから想像していた以上に品数が多すぎて目移りしそうであったのだが、今回は冒険をせず一度食べた事のあるおにぎりを購入する事にした。
具材は鮭と昆布の二個である。
それと同時に飲み物として紅茶を購入するのだが、そこでしおりんさんから「ではこの紙のお金を使ってみましょう」と言われ、購入した結果大量の紙のお金と硬貨というお釣りとして今わたくしの手元へと戻ってきた。
どうやらしおりんや杏奈が言っていたようにこの一万円札と言うのがここ日本で一番大きなお金であり王国で言う金貨一枚に相当するというのは本当らしい。
「……どのような経緯をたどればただの紙が金貨と同等の価値が生まれるというのでしょうか……」
もし王国でも金貨の代わりにこの紙のお金が流通すれば、あの重たい金貨を運ぶ労力や保管する場所等を考えればより一層物流が活性化されるのではないか?
物流とは国の血流である為、それが活性化されるという事は長い目で見れば必然的に国力も上がるという事へと繋がる。
そこまで考えてわたくしは頭を左右に振る。
もう王妃として考える必要は無いのだ。
「そうですね、今わたくしは金貨一枚を持っています。この金貨を奥方様へ貸します。そして金貨を貸したという借用書を作り、この借用書を見せると金貨を返却しなければならないという決まりを作り私と奥方様のサインと印を押します。では、この借用書の価値は私しおりんにとって金貨何枚の価値でしょう?」
「その借用書を見せれば金貨を一枚返却してもらえるので金貨一枚の価値がしおりんにはあるという事でよろしく………て?そ、そういう事ですのねっ!!この借用書をしおりんさんだけではなく国民で共有し、金貨を貸した相手を王国等、国民がほぼ同等の信頼をおける大きな立場だった場合、借用書が金貨と同等に変わるという事ですわっ!!そして誰でもこの借用書を国へ持って行けばいつでも金貨一枚と換える事ができるというお墨付きがあれば少なくとも王国内では借用書は国民にとって金貨一枚に等しい価値を持ち、お金として使う事ができるという事ですねっ!!」
「大雑把に言うと、そういう事ですね。しかし、奥方様はあれだけのヒントで良くお分かりになられましたね」
「むしろあそこまで説明して頂ければ誰にだって理解できると思いますわ。ですので凄いのはわたくしでは無くしおりんさんの説明の分かりやすさですわねっ」
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