第22話 星間レース決着
これは西暦9980年のはるか未来のお話。
ついに星間レースが始まった。
その開催が宣言されてから、はや何話。
どこまで引き伸ばすのかと思われた星間レースが、ついに始まった。
星間レースは、波乱尽くし!
レドリア合衆国でも最強の地位にいるゴンゴル三姉妹が、いともたやすく落とされてしまう。
落としたのはグリムア共和国の生ける伝説、激突王のダントッパだった。
ゴンゴル三姉妹の仇とばかりに、ダントッパに挑むケイであったが、ケイは返り討ちにあってしまった。
「そんな、ケイ…」
マイの身体は震えがとまらない。
「マイ、落ち着いて。ケイなら脱出用ポッドで無事だから。」
アイはそうマイに話しかける。
「分かってる。分かってるけど、目の前で仲間がやられると、やっぱこたえるよ。」
なんとかそう口にするマイの声は、震えている。
「マイ、来たわよ!」
うつむいてレーダーを見ないマイに、アイは注意する。
そう、ダントッパが目前にせまっていた。
ダントッパは、機体をマイと一定の距離を保って停止させる。
「何あの機体?」
それは、マイが初めて見る機体だった。
戦闘機というには、小さすぎる。
操縦席と、申し訳程度の推進装置しか搭載されていない様子。
「あれは、コアシャトルです。」
「コアシャトル?」
マイの疑問に、アイは情報をダウンロード。
コアシャトル。
様々な戦闘機の、操縦席となるコアの部分を、ユニット分離。
このユニット分離させたコアを様々な戦闘機に挿し込む事で、その様々な戦闘機の操縦が可能となる。
最低限の操縦席を確保する事で、色々と戦闘機を乗り換えるベテランパイロットには、都合の良いシステムである。
「でも、操る機体って、どこにあるの。」
そんな疑問をマイが口にした時、ダントッパからの通信回線が開く。
「おまえ、一度仲間を助けようとしたのに、その位置まで戻ったな。
見どころのありそうなヤツだ。名前を聞かせてくれ。」
「マイよ。」
「マイ?そうか、おまえが期待の超新星マイだったのか。」
マイは思わず答えてしまったが、ケイを落とされた怒りが、しだいに込み上げてくる。
「僕がマイだったら、どうしたの?僕なんていつでも落とせるって自信なの?」
「悪い悪い。ただパワーの溜まるまでの時間稼ぎさ。」
「させない!」
マイは通信回路を切断、トライフォースを展開させ、ダントッパのコアシャトルを三機で包囲しながら一斉射撃!
ダントッパは、コアシャトルを大きく宙返りさせる軌道で、ゆっくり加速させる。
「マイ、確かにおまえの判断は正しかった。
だが、仲間を見捨てるヤツは、最低のクズだ!」
ダントッパのその言葉は、マイには届かない。
大きく宙返りするコアシャトルは、その周りに質量を持ったフォログラフを展開させ、ある姿を形作る。
その姿は、半人半馬のケンタルウスで、弓矢を持っていた。
そして、その顔はなぜかドラゴンだった。
あれが、戦闘機なのか?
マイは驚きを隠せない。
そして、ケイが見たのはこれなのかと、マイは勘づく。
「なるほど、フォログラフ投影ですか。確かにこれなら、色々な機体を操れますね。」
と、アイは解説する。
「そして、そのパワーが溜まるまでの時間稼ぎに付き合わされたのね、くやしいや。」
マイは、先程のダントッパとの会話の意味を知り、悔しがる。
「まずは、挨拶がわりだ。」
ダントッパは、トライフォースを形作るフォログラフの機体のひとつに、突進しながら矢をつがえる。
「何これ、動かせない?」
ダントッパに狙われた機体は、なぜか動かす事が出来なかった。
ならばと、他の二機でダントッパを狙う。
しかし、ダントッパには攻撃が当たらない。
半人半馬のケンタルウスは、ゆったりと宇宙を駆けているように見える。
それなのに、マイの攻撃は当たらない!
ダントッパに狙われた機体は、破壊される。
ダントッパに狙われた機体は、動けなくなる。
どういう仕組みなのかは謎だが、実際そうだった。
そしてその狙いが各個撃破なら、数で勝負すればいい!
「トライフォース展開!テトラフォーメーション!ツイン!」
「待ちなさい、マイ!」
アイが止める間も無く、マイは三角錐をふたつ、展開する。
ひとつの三角錐に、四機の機体。三角錐はふたつなので、機体の合計は八機。
「やるな、マイ。」
それを見てダントッパはほくそ笑む。
「ならばこっちも、ダブルブレイブ!」
ケンタルウスの機体の背中の左右に、伴機の二機が合体する。
そして緑と紫の光を放つ。
「な、なにあれ、あれがブレイブなの?六色のブレイブを操るって、こういう事なの?」
「まずいです、マイ!合体させた機体の相乗効果で、性能が段違いに上がってます!」
ダントッパのブレイブを見て、マイとアイは驚く。
同時に、宇宙空間に暴風が吹き荒れる。マイの八機の機体は、その場に固定されて動けなくなる!
さらに、エネルギーが落ちていく。投影されたフォログラフを維持するのも、ぎりぎりだ。
「どうなってるのよ、これ!」
「分かりません!」
マイの疑問に、アイは答える事が出来ない。
ダントッパは、フォログラフの一機に突進して、破壊する。
「エネルギーを吸い取られた?」
アイは今起きた現象を口にする。
「だったらまずいよ!」
それが本当なら、この場にいる八機全てからエネルギーを奪い取る事になる。
「させない!主砲エネルギー急速チャージ!」
主砲にエネルギーを集中させる事により、フォログラフ投影が維持出来なくなる。
フォログラフに費やしていたエネルギーも、主砲に集まる。
ダントッパも、矢をつがえて突進してくる。
矢の先に、エネルギーが集中する。
「駄目です、マイ、エネルギーが足りません!」
主砲のエネルギーチャージは、130%で止まる。
出来れば150%、最低でも140%は欲しい所。
「ならば、推進力エネルギーも、主砲へチャージ!」
「いけません、マイ!そんな事をしたら!」
「発射!」
マイの主砲と同時に、ダントッパの矢も放たれる。
主砲の反動で、マイの機体は後方へ大きく吹き飛ぶ。
推進力エネルギーがないから、その場で踏ん張れないのだ。
吹き飛ぶ中で、マイは見た。
ダントッパのケンタルウスの機体のフォログラフが消え、緑色の伴機も爆発。
ダントッパのコアシャトルは紫色の伴機に吸い込まれると、伴機は四足獣型の戦闘機に姿を変える。
そっか、ブレイブの破り方はこれなんだ。
でも、僕ひとりじゃ出来ないじゃん。
宇宙空間を吹っ飛ぶマイ。
「マイ、しっかりして!」
そんなマイの機体を、ユアの機体が止める。
マイは宇宙の果てまで吹っ飛ぶ所を、ユアに救われた。
ユアはマイの機体を牽引して、ゴールを目指す。
途中、ダントッパの紫色の機体に出くわす。
ダントッパは、動く事が出来ない。
そんなダントッパから、マイとユアに通信がはいる。
「俺の負けだ。こっちはエネルギーをチャージするまで、動けない。」
「だったら、落とさせてもらうわよ!」
ユアは機銃の照準を合わせる。
「駄目ユア、やめて!」
牽引されて身動きの取れないマイが叫ぶ。
「ケイの仇よ!仇を取らせてよ!」
「ケイは死んでないわ!」
「そんなの分かってるけど、目の前で落とされたのよ!許せるはずないでしょ!」
「駄目よ!動けない相手を撃っても、ケイは喜ばないわ!」
「うう、くそったれー!」
ユアも、なんとか心を落ち着かせる。
「今度会ったら、絶対落とす!」
ユアはそう捨て台詞をはいて、ゴールへと向かう。
「俺も、今度は負けない。」
ダントッパはそう言い返して、通信を切った。
星間レースは、ユアのゴールで、ブルレア連邦の勝利で幕を閉じた。




