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偽魔王の正体

「魔王を名乗る偽物め。……その化けの皮、ここで剥いでやる」

清兵衛の指先が、流れるような所作で数枚の形代を空に放った。

それらは宙で青白い炎を上げると、瞬く間に幾何学的な紋様を描き、謁見の間の中央に強固な結界を展開する。

結界は、偽魔王サヤカと巨漢の偽アルフレッドを完全に閉じ込めた。

「偽魔王よ……お主は何者で、何が狙いだ。語らぬというなら、我が式神がその口を割らせるまで」

清兵衛の背後から、二体の巨大な猫の式神が姿を現した。鋭い爪を剥き出しにし、低い唸り声を上げる。


「……ふん。お前たちこそ、我らの邪魔をするならここで消すわ」

偽魔王サヤカが、冷酷な笑みを浮かべて扇子を閉じた。

その直後、彼女の体から漆黒の魔力が爆発的に吹き上がった。


ズヴァイーーーーーーーーーー!!!!


「ぐ……っ!? なんだ、この圧は……!!」

清兵衛は、荒れ狂う魔力の暴風に足元を掬われそうになり、必死に踏みとどまった。

結界が、その圧力に耐えきれずミシミシと悲鳴を上げる。

それは、柱の影でジャグリングを続けていたサヤカ(本物)も、思わず手を止めて驚くほどの魔力量だった。

(……ちょっ、あの偽物、マジで何なの!? あたしには敵わないけど……、

でもあの陰陽師くんには荷が重すぎでしょ! あのレベル、ただの詐欺師じゃないんですけど!)

清兵衛の顔から余裕が消え、大粒の汗が滴る。

「ぐっ…………なんて魔力だ……。

魔王以外で……これほどの禍々しい魔力を発する存在……


まさか……ムーン・サウンドの四天王か……!?」



「ふっ……。雑魚の割には、耳が良いようね」

紫のドレスを纏った女が不敵に笑うと、その姿が霧のように揺らぎ、変貌を始めた。暴風と共に現れたのは、紫色の鎧を纏い、瞳に狂気を宿した妖艶な魔人。


「そうよ……。私はムーン・サウンドが四天王の一人、『紫光のシェリー』よ」

そして、彼女の傍らに控えていた巨漢の偽アルフレッドの筋肉は収縮し 、紫光のシェリーに負けずとも劣らずの妖絶な姿に変わり、背中に巨大な弓を背負った姿に戻った。


「私はシェリー様に仕えし者、射手テミス。」

清兵衛は唇を噛み締め、後退りした。


(元々、分が悪い賭けだとは承知していましたが……。

まさか、ここまで事態が捻れているとはな。四天王が直接、この最下位の国を簒奪しに来ているとは……何が狙いでしょうか…)


「さて……。真実を知った報いは、死を以て受けてもらうわ。テミス、まずはその小賢しい陰陽師から始末なさい」

「御意」

テミスが巨大な弓に魔力の矢を番える。

クルシャア王は震え、大臣たちは腰を抜かしている。まさに絶体絶命。


(マジかー……。四天王二人がかりで、こんなボロい国をイジメるとか、プライドなさすぎでしょ。ティン・ガロの奴、本当性格悪いわ……)

サヤカはピエロの仮面の裏で、ため息をついた。

もう、「道化師」として見守っている段階ではない。

(いいよ、シェリーだか何だか知らないけど。あたしの名前を使って悪だくみしたこと、後悔させてあげる!)

サヤカは手に持っていたお手玉を、一瞬で「魔力の塊」へと変えた。


「はいはい、そこまでー! ショーの最中にマジな喧嘩とか、演出的に『萎え』なんですけど!」

派手なクラッカーの音と共に、サヤカが清兵衛とシェリーの間に飛び込んだ。

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