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自由なギャル魔王

「……は? ちょ、待って。冗談抜きでシャレになってないんだけど」


サヤカの目の前には、感情を殺した暗殺部隊の冷たい刃。

そして、隣で絶望に震えるアルフレッドがいた。


さっきまで亜美とパフェの話をして、ドスコイ君と通信技術の未来を語っていた「キラキラした日常」が、一瞬でどす黒い殺意に塗り替えられた。

「アルくん……。なんで…

あんた、あたしに逃げろって言ったじゃん。

これが バルおじいの願いだって言ったじゃん。

……あれも全部、あたしをここに誘い出すための台本だったわけ?」


「……っ、サヤカ様……

あなたを…ク…クビにします …」


「やったー、これで自由に 亜美ちんのところでパフェ喰えて コニチと魔導ホン作りに専念できる…」

サヤカは腕を組みうんうんと首を縦に振る。

「これって 私は 無職で家なしの野良の魔王…ってこと?

異世界に来て この待遇!?

ほんと情報が混線してまーす」


サヤカの妄想を切り裂くように、暗殺部隊のリーダーが冷酷に告げる。


「問答無用。前任魔王サヤカ、その資格と命、ここで返上していただく。……やれ」


数十人の刺客が一斉に飛びかかってくる。

死。その二文字が、サヤカの網膜をかすめた。


(……やだ。死にたくない。あたし、まだこの世界でやりたいこと、一ミリも終わってないんだけど。


亜美のパフェ、全種類制覇してない。

レンジで簡単チョコモチだって…まだ食べてないのに…

ミラに マオロリの最強のコーディネート着せてない。

勇者アランの変顔を、世界中に拡散してない!

こんなところで、こんな地味な黒装束の連中に、あたしの人生終わらされてたまるかよ……!)


その瞬間、サヤカの脳裏に、魔王の初期オプションが流れる。

【魔王の必殺技 空間を操る攻撃】

(なんか アバウトすぎじゃない?)

そして、サヤカが会得した。

通信空手講座 黒帯

通信剣術講座 免許皆伝


「まさか………この凄まじい魔力……

私は…見誤ったのか…」


サヤカから溢れ出す 黒ピンクのオーラにアルフレッドはたじろぐ


「……ふざけんな。あたしの人生ランウェイ、あんたたちが汚していいわけないじゃん!!」


ドォォォォォォォォン!!!


サヤカの体から、目も眩むような「ショッキングピンク」と「漆黒」が混ざり合った魔力の奔流が吹き出した。

あまりの圧力に、飛びかかった刺客たちが木の葉のように吹き飛ぶ。


「なっ……何だ、この魔力は!? 短期集中コースの魔王など、魔力操作もままならぬはず……!」


「短期とか長期とか、マジ関係ねーし! あんたたちのその地味な暗殺、あたしが一番派手な方法で『ボツ』にしてあげるわよ!!」

サヤカが空に向けて右手をかざす。

その指先が指し示した空間が、まるでガラスが砕けるようにヒビ割れた。


「魔王常備必殺……『空間爆発・ギャル盛りディストーション』!!!」


サヤカの意志に応じ、刺客たちが立っていた空間そのものが「爆発」した。


逃げる隙も、防ぐ術もない。

空間ごと捻じ曲げられ、吹き飛ばされる暗殺部隊。

爆発の衝撃波は、夜の荒野を昼間のように照らし出し、ラメ入りの火柱が天を突いた。

「……はぁ、はぁ……」

静寂が戻った。そこに立っているのは、ボロボロになった『マオロリ』の衣装を纏いながらも、かつてないほどに力強い光を瞳に宿した、真の魔王の姿。

サヤカは膝をつくアルフレッドの前に歩み寄り、冷たく、


けれどどこか慈悲深い笑みを浮かべた。


「アルくん。あたし、クビって言われた時『やったー』って言ったよね。……あれ、撤回するわ」


アルフレッドは

サヤカを見る。


「アルくんは 心配しないで…あたしはここで死んだことにして」


「ですが……」


「どうせ黒幕は 失敗を許さないんでしょ?

なら、これも…」


サヤカは 虎柄のセパレートの衣装をアルフレッドの足元に投げる。


「これを渡せば 納得するでしょ」


サヤカは アルフレッドに背中を向けると 手に持った『魔導フォン』を高く掲げた。

「あたしをリストラしたこと、後悔させてあげる。

魔王城のピンク、全部剥がすつもりでしょ?

だったら、あたしが世界中をピンクに染め直してあげる。

資格マニアの底力、舐めんなよ……!!」

ギャル魔王サヤカ、覚醒。

彼女の物語は、ここから「お遊び」ではない、真の覇道へと突き進む。

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