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新たな依頼、今度の敵は闇ギルド……?

 


「え? 結婚式ってすぐに挙げる訳じゃないの?」


「当たり前だろう。仮に直ぐに挙げれる環境にあったとしても皇帝の婚礼だぞ。準備にどれだけかかると思っているんだよ」


「他の国にも知らせないといけませんしねー。まぁ、それだけじゃなくて世界樹近辺の問題があるので、逆にそれが解決するまでしっかり準備ができると言えばそうなんですけど」


 そう、山積みの仕事と準備とで婚礼は当分先に見送られているのだ。600話を越えてやっとオペラも結婚する気になったんだからはよせぇ、という声が聞こえて来そうだけど、ここまで伸ばしたんだから今更急いだところで同じことだ。最終回を迎える訳でもない。まぁまぁ落ち着いてくれたまえ。


 ここは久々の我が家。なんやかんや色々円満? 解決したと思いきや、新たな問題を持ち込みそうなナスカ。話が長くなりそうだったので一旦公爵家に戻って来たわけなのだが……


「所で、ジェドっちのパパとママはご在宅じゃないの?」


「父さんと母さんなら暫く戻ってこないですよ。人妻と人夫を狙わないで貰えますか」


「そうかー。ワンチャンいるかなーって思ってここまで来たのに残念。まぁ、ここには可愛いメイドさんも沢山いるし、可愛い大ちゃんもいるからアツアツのマリッジブルーを邪魔するよりは良いか」


 アツアツのマリッジブルーって何だよ。温度は丁度よさそうだな。

 相変わらずそこかしこの女と見るや粉をかけようとするナスカ。中身が成人男性の女児である大輔を撫でようとするも、不機嫌そうに無言で食事をしていたブレイドにフォークで刺されていた。

 俺の不在の間、俺の代わりに大輔の兄代わりになってくれていたブレイド。いつもならば帰ってすぐに寂しそうに不満を垂れていた大輔も、今回は普通に迎えてくれた。大輔に寂しい思いをさせなくてかつ公爵家を守ってくれているのはありがたいのだが、このままでは俺の存在が薄くなってしまうので、凄く嫉妬してる。そこは俺の場所だから取らないでね。


「ちぇー」


「それより、お話というのはやはり、最近のシュパースの情勢の話ですか?」


 何故か一緒についてきたシアンも一緒に食卓を囲んでいた。シアンはシアンで、俺に用があったみたいなのだけど、どうやらそれも関係しているらしく一緒に話を聞こうという事になったのだけれど……

 俺にはイマイチ話が見えてこない。


「んー、シ――アンっち、流石、もう耳に入ってるの」


「ええ。同じような事が魔法都市やそこら中で起きていると聞いていますので。それに最近はこういう――」


 シアンが取り出したのは投影魔術具。この前も、その前の旅でもそうだったのだが、最近は各地を録画魔術具で記録した資料が出回っていたり、面白おかしく紹介するなんてものが流行っているらしい。

 迷惑系に出くわすことも多々あるのだが、こうして各地の情報から癒し系、歌ったり踊ったりなど様々な新しい娯楽を紹介してくれるのは世の中にとってもいいだろう。暇な奴も沢山いるし、新しい稼ぎにもなる。ウィンウィンだ。

 デンジャラス勇者くんのように実際に突撃するものもあれば、解説だけをしてくれる知識形もあり、シアンの出した魔術具映像はその類のようだ。画面の両側に解説の代理役なのだろうか、人形を配置して腹話術で喋らせている。普通に人が喋るじゃ駄目なのか……?


「ゆっくりだ……」


「ああ、そうですね、時間も惜しいですし、簡潔に説明出来るよう早くしましょう。最近は情報をより多く仕入れられるようにスピードを変える事が出来ましてね」


 大輔が「いや、そういう事ではなく……」とかみ合っていない様子だった所を見ると、やはりこの形式も異物(異世界由来の物)なのだろうか。

 その説明は『巷を騒がす闇ギルドまとめ』とされていた。闇ギルドと言えば、ゲート都市で世間知らずの転生悪役令嬢が一発逆転を狙って悪事に手を染めかけた例のアレだ。

 彼女らは説得により思いとどまり、確かシュパースに送られたはずだ。シュパースならば楽して稼げて、尚且つ娯楽も沢山あって、娯楽にハマって更に稼ごうとするという永久機関である。人を駄目にする都市ではあるのだが、遊び人を生み出し、働くことさえ楽しく思えないと続かないというナスカの思想のもと、ヤバイ事も辛いことも一切無い。ただ、一度足を踏み入れるとシュパースから出られなくなって身も心も遊び人に染まってしまうのが難点。ある意味ナーガより怖い。

 そのシュパースなのだが、最近、闇ギルドへの誘い、犯罪まがいの稼ぎが横行しているらしいのだ。


「なんかねー、気がついたら遊び人じゃない奴が混ざっていたんだよねー。ま、楽して稼ぎたいやつらばっかりだから、そういうギルドにとってみればターゲットがわんさかいるんだろうけど、そういう風に荒らされると困るんだよねー。見つけたらすぐにシュパースの刑にしてるけどさ」


 シュパースの刑……つまり、シュパースに染めて、他に悪い事を考えられないように遊ばせるというものだ。お恐ろし羨ましい。


「というか、シュパースでそんな事する意味、無いと思わない?」


「と、いうと?」


「わざわざ喧嘩を売っているというか、金だけが目的だと、思う?」


「……それはつまり、別の目的があってやっている……という事か」


「そ、じゃなきゃわざわざジェドっちに説得されてシュパースなら楽に一発逆転出来るって来た奴の中に混じってないよねぇー」


「あの中に……?」


「わざわざ無知な実行役に混じって、闇ギルドの商売を広げようとしているんだもんなぁ。商売ってのは違うかー」


「……闇ギルドに勧誘するのが目的……?」


「そ、俺の島にはわんさかカモが居そうだからね。ねージェドっち、こういうの、どっかで聞いたことない?」


「どっかも何も……」


 名前から怪しいとは思っていたが、そんなの闇を食い、闇を世界に広めようとするナーガのやり口そのものだろう。だが――


「ナーガな訳ないだろう。ナーガは――」


 ”ナーガはもう消えた”と言いかけて俺は止めた。ナーガは何度死んでも蘇っているし、なんなら悪役令嬢に生まれ変わって俺の前に現れてもおかしくない。死ぬって本当なんなんだろうか。


「ま、あの女が簡単に諦めないっていうのはそうかもしれないけど、今回はもしかしたら違うかもね」


「違う、なら一体」


「やはり、ナスカさんの話は僕の調べたものと一緒だと思いました。やはり、ナスカさんも闇ギルドが『悪に染まることそのものを目的としている』と知っているのですね」


「ん。俺達が金とか娯楽を信仰しているなら、あっちは悪事を信仰しているって感じかな。だから改心しないし、厄介なんだよねー」


「悪事を……信仰……」


「悪役になりたいって事、ですかね」


「悪役に……」


 俺はその二文字を聞いた瞬間に頭が痛くなった。悪役令嬢という名前を聞いただけで頭痛に襲われるのに、その悪役を増産しようとしている団体がいるなんて……


「という訳でー、そういう奴が何人か島内に忍び込んでいるみたいだからさ、ジェドっちの力で何とか探し出してくれないかなーっていう」


「お前……」


 俺の肩に手を置いたナスカのなんとも嬉しそうな顔よ。これで察してしまった。


「……絶対楽しんでるだろ」


「うん。最近暇でしょうがなかったから、いい娯楽が出来て嬉しい」


 こいつはこういう奴だ。シュパースに悪いやつが増えようが、他の人が困ろうがどうでもいいのだ。娯楽サイコパス。あ、サイコパスって何か良心が欠如している奴のことらしい。


「ナスカさんが困っているかはともかく、闇ギルド自体は何とかしなくてはいけないものなので。僕が騎士団長に相談したかったのもそれについてなのですよ。さ、行きましょう、シュパースに」


 ニコニコと笑うシアンからも同じ名前が飛び出してきた。闇ギルド……どうやら俺はその闇ギルドとかいう悪役製造業者と対峙しなくてはいけないらしい……うう……いつになったら俺は悪役うんたらかんたらから卒業出来るんだ……

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