第22話 部屋で二人きりの銀髪美少女から向けられる凄まじい視線は何なんだ!?
甘くとろけるような声で目を覚ます。
「……ん、美波か?」
どうやら寝てしまったらしい…。寝惚けた頭をゆっくり起こし、目を擦りながら声の主の方に顔を向ける。
「お早うございます…。お兄さん。」
……。目をさらに擦る。どうやらまだ寝惚ている様だ。銀髪の美少女が眼の前にいる。もしかしてこれが異世界転生というやつか?
「…あの…大丈夫ですか。お兄さん?」
いや、眼前に広がる景色は見覚えのあるものだ。俺の部屋か〜。じゃあ、夢だな。
「お兄さん!」
(美少女に強くに揺すられる。…という事は夢じゃない!)
一気に意識を覚醒させ、頭をフル回転!そうだ!この子は美波の友達の…えーと、そうだ!潮風栞ちゃんだ!…で、なぜに俺の部屋に?
「すいません、勝手に入って。もう帰る時に忘れものしたので美波ちゃんの部屋に戻ったら、扉が開いてますて…最期に挨拶をと思って…。」
俺の心の中を読む様に状況を説明してくれる。勝手に入るのは頂けないが…、根本的に良い子なのだろう。
「そ、そうか…。まぁ…別に大丈夫だよ。人に観られてヤバイものとか無いし…。」
「…良かった…。怒られるとばかり…。」
「……。」
「……。」
二人の間に宇宙空間みたいな沈黙が流れる。えっまだ何か用があるの?どうしよう…この空気。
「…そうだ。」
重苦しい空気の中、俺は口を開いた。
「…潮風さんは今年から転校してきたって言ってたよね?前は何処らへんに住んでいたの?」
沈黙に耐えきれず、世間話に花を咲かす。
「…隣の県からです。お父さんは仕事で世界中を回っているのでそれに追随する形で…。その前はヨーロッパにいました。」
「凄いな!世界中を飛び回るバリバリサラリーマンって感じでカッコイイな!」
俺の態度とは対称的に潮風さんの顔は浮かない。もしかして何か地雷を踏んでしまったのかも…。
「ごめん。何か嫌な事聴いちゃったたかな…?」
「…!すいません!私こそ変な空気にしてしまって…。父を尊敬しているのは本当です。ただ…。」
「ただ?」
「転勤が多いものですから、必然的に転校も多くなって…その性で私あまり友達が出来なくて…。仕事なのでしょうがないとは思っているんですけど…。」
苦虫を噛み潰した様な顔で言っているところ観ると、素直に飲み込めていない感じか…。まぁ…娘からしたらそうだよな…。
「でも今は美波がいるじゃん。転校して直ぐに友達になったんでしょ。」
美波の名前を出した瞬間、潮風さんの眼に色が戻った。
「そうなんです!!美波ちゃん、私が転校した初日から話掛けてくれて!こんな容姿ですから、初対面でそんな対応された事が無くて、凄く嬉しかったな〜。」
余程その時の出来事が嬉しかったのか、潮風さんはさっきとは人が変わった様に早口で喋っている。
まるで好きなものを語る時のオタクのようだ。
「そうなんだ。意外と社交性が高いのねあいつ。俺とは正反対だ。」
しかし、妹が褒めらているのは素直に嬉しい。きっと友達が多いのだろう。
「…?お兄さんは美波ちゃんみたいに明るい性格では無いんですか?私はてっきり…」
「全然逆だよ。反面教師と言えば聴こえは良いけどね。あいつと違って明るくなければ友達も少ないよ。」
なんか自分で言っていて哀しくなる。自虐的になるのも程々にしなければな…。
「そうなんですね。失礼な事を私、でもきっと大丈夫ですよ。美波ちゃんと一緒で目が優しいですから。」
「そ、そう?お世辞でも君みたいな美少女にそう言われたら自信ついちゃうな〜。なんて…。」
「えっ!そ、そんな事無いですよ!私、全然モテませんし…。彼氏だって出来た子無いんですから…。」
「多分それは…別の理由じゃないかな…。」
この見た目じゃ同級生もたじたじだろうな…。ご愁傷さま!後輩達よ!
「と、とにかく!そんな事無いですから…。あっ!そろそろお暇しないと!」
時計を観て、慌てる潮風さん。中学生じゃ門限もあるか。
「今日は美波と一緒に遊んでくれてありがとうね潮風さん。これからも仲良くしてくれると助かる。」
「こちらこそですよ!あっ…それと一つ良いですか?」
「何だい?」
「私の事は栞で良いですよ。」
「そう?少し馴れ馴れし過ぎじゃないかな?」
「大丈夫ですよ。これから末永くお付き合いしていくんですから。」
(その台詞、凄い誤解されそうだな…。)
「ちょっと、栞ちゃん?遅いと思ったらこんなところで油売ってたの?」
何処からともなく美波がやってくる。口振りからして栞ちゃんの事を待っていたのだろう。
「こんなところとはなんて事を言う妹よ。」
「あっ!ごめん美波ちゃん。お兄さんと話していたら盛り上がっちゃって!」
眼前で手を合わせ、謝罪の気持ちをアピールする栞ちゃん。美波はやれやれといった表情を見せた。
「お兄ちゃん?栞ちゃんに変な事して無いでしょうね?」
美波の訝しんだ様な視線が俺の肌を突き刺す。
「そんな事する訳無いだろ?妹の友達に…、まったく…。」
「ふふ、じゃあ、お兄さん。これで失礼します♪」
栞ちゃんは軽やかな足取りで我が家を後にした。
「何だろう?凄い嫌な予感がするのは…。気の所為なのかな?」
最後までお読みいただき、ありがとうございました。妹の友達である栞の意外な過去、そして二人の急接近が描かれた一幕でした。「末永くお付き合いしていく」という言葉の真意、そして浩志が感じた嫌な予感の正体とは――。次回も明日の18時頃に更新予定です。もし「続きが気になる」「面白い」と感じていただけましたら、ぜひページ下部からブックマーク登録や評価(★★★★★)をいただけますと幸いです。これからどうぞよろしくお願いいたします。




