表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/18

第14話 The King of Devils Street 〜血で語れ 価値を測れ 外れりゃ終わりだ ここは王の場だ〜

ウィーニーは、バイクの背中を追った。


砂埃の中、目を開く。


黒い影が、コンテナの山の奥へ消える。


「待て……!」


今度は、焼け焦げた轍を辿った。


やがて──


その先にあったのは、山のように積まれたコンテナの一つ。


その前に、並ぶ無数の大型バイク。


まだ熱を持っている。


(さっきの連中の……)


「……ここ、か」


コンテナの扉の上。


《CLUB 666》


赤い文字が、じわりと滲むように光っている。


(クラブ……?)


ウィーニーは、扉に手をかける。


軋む音と共に、暗闇が口を開けた。


中は──地下へ続く階段。


空気が、下へ吸い込まれていく。


「……」


一瞬だけ、足が止まる。


だが──


ウィーニーは、そのまま踏み込んだ。


コツ。


コツ。


ワイザーにもらったブーツの足音が、やけに響く。


やがて──


巨大な鋼鉄の扉が姿を現す。


漆黒。


その中央に刻まれた、悪魔の顔。


大きく口を開けている。


「……かっけえ……」


押しても、引いても──びくともしない。


その瞬間──


ピピッ。


電子音とともに赤い光が、ウィーニーをなぞった。


足元から、頭のてっぺんまで。


だが、扉は開かない。


代わりに壁が、カチリと音を立てる。


小さな窓が、横にスライドした。


暗闇の奥。


赤い目が、こちらを見ていた。


「……誰だ」


ウィーニーは、名刺を見せながら言った。


「ウィーニー……マイクにもらった……」


一瞬の沈黙。


「……待て」


窓がピシャリと閉まる。


「……」


ウィーニーはその場で立ち尽くした。


数分後、再び窓が開く。


「入れ」


その声と同時に、鋼鉄の扉が──消えた。


その瞬間、中から噴き出た熱風がウィーニーの顔にぶつかる。


そして──


ドン!


重低音がウィーニーの内臓を殴った。


思わず仰け反るウィーニー。


「うぐっ……」


(本当に、クラブ……か)


目の前に大きな影が立つ。


「マ……マイク……?」


「ついてこい」


マイクはそれだけ言うと、ウィーニーに背を向けた。


腹を叩く重低音と怪しい赤いライトが走る暗闇の中、マイクの背中について歩く。


広さがわからないほど漆黒のホール。


無数の赤い目がウィーニーに注がれる。


マイクは、わずかに振り返って口を開いた。


「──に会う」


音に潰される。


「──か、生きるか──」


「聞こえない……」


マイクが、ピタリと立ち止まった。


右手を上げる。


音楽が止まり、沈黙が落ちる。


目の前に扉。


マイクが手をかけた。


「お前次第だ」


(オレ次第?な、何が……?)


ゆっくりと扉が開かれた。


その先に──


“王”がいた。


巨大な椅子に座っている。


赤い肌。

一際太い角。

赤い目。


そして──ゴールド。


首元。

腕。

指。


(……っデカい……)


その横に、5人の悪魔が並んでいる。


マイクは何も言わずにその列に並び、ウィーニーを見下ろした。


椅子に座る悪魔は、コーンロウを撫で、髭を摘んだ。


圧。


思わず後退りしそうな体に力を入れ、ウィーニーはなんとか立っていた。


マイクが口を開いた。


「キングデヴィン。オレ達の──ボスだ」


ウィーニーは、唾を飲み込んだ。


(ボス……。マイクじゃなかったのか……)


デヴィンが、その口をゆっくり開いた。


「汚ねえ血だ」


低い声。


腹に直接響く。


デヴィンの視線がマイクに落ちる。


「マイキー、マイキー、マイキー。てめえ一体、なんのつもりだ?」


ウィーニーは、拳を握った。


(ここは……オレがっ!)


「オレの名前は……ウィーニー。デビルズに入りたい」


一瞬の沈黙。


マイクの視線が、一瞬揺れた。


初めてだった。


ウィーニーを遮るかのように、被せてマイクが言った。


「このガキが、ストリートデビルズに入りたいと」


デヴィンは、マイクに顔を近づけた。


「マイキー。オレは、どういうつもりだと聞いている」


(オレのことは、無視……?)


デヴィンは、マイクの肩に手を乗せた。


「マイキー、ブラザー。珍しいじゃねえか、どうした?」


マイクは、デヴィンの目を見たまま動かなかった。


「マイキー。てめえは、一体何のつもりだと、このデヴィンが聞いてる」


(どういうことだ? デヴィンはマイクに……何を聞いてる?)


マイクは、デヴィンの目を見据えたまま答えた。


「このガキ、音を持ってる。こいつの音が、デビルズを動かした」


デヴィンの眉がピクっと動いた。


「あん?」


マイクは、デヴィンの目を真っ直ぐ見て言った。


「可能性。それだけだ」


デヴィンの口元が歪む。


デヴィンは、マイクに手を差し出した。


「ダイスをよこせ、マイキー」


マイクは、デヴィンにサイコロを渡した。


「マイキー。この便所掃除は後攻だ。チョークしたら、この話は無し。お前もトップ6にはもう立てねえ、覚悟して連れてきたんだろうな?」


(便所掃除!? なんで、知ってんだ……)


マイクは、静かに頷いた。


デヴィンが、サイコロを弾く。


キンッ!


暗闇の中、漆黒のダイスが──宙を舞った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ