第101話 捕まえた 〜White Light囲むBlack Gate BoneとMachineが刻むDeath Beat GodもDevilも逃げ場はねぇ〜
「Yo ウィーニー。ずっと聞きたかったんだが」
「何? シャクール」
「お前デヴィンとマイクと地獄に行ったろ? そこで何があったんだ?」
「あ、うん。えっと──」
シャクールは、目をひん剥いた。
「なんだって!? ダマトにラップかましただぁ!?」
「うん。マイクのめっちゃくちゃかっこいいラップに乗せてもらって……」
「そうか……。じゃあ、久しぶりにお前のラップスキル見せてみろよ」
「え? いま?」
シャクールは、大きく足音を立てた。
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
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地獄でRap? マジかよWinnie
その小せぇBodyで 何刻んだあのヘル
見せてみろよSkill 地獄で鳴らしたそのソウル
Come on!
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「あ、いや……うん。地獄……ヘル……Hell……
Yo」
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ああその通り 潜って来たぜ地獄のGate
Hellでも変わらねぇMy Voice
誰が相手でも自分でChoice
デヴィンとマイクとかましたSoul
今日も鳴らすぜ 待ってろブラックゲート
骨もガラクタも 今じゃ全部Noise
ぶちかます悪魔のSoul
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シャクールは、足を止めて黙った。
「シャクール? ……ダメだったかな?」
「いや、自然だ。板についてるぞ、ウィーニー!」
「ほ、ホント?」
シャクールは、拳でウィーニーの胸をポンと叩いて、さらにラップで返した。
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路地裏の孤児 から便所掃除、名もねえトラッシュ
見てみろよ お前の面
デビルズの殻じゃねえ ホンモンのラッパー
もう言わせねえ 中身は空
そうだろ?ウィーニー ハーフゴッドが地獄
ボスとかますラップ なったなアウトロー
意味わかんねえ けど最高だぜ てめえ
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ウィーニーは、シャクールの肩越しに見えるブラックゲートを指差した。
「シャクール……」
「あん?」
ウィーニーの指先が、震えていた。
ブラックゲートの周囲は、以前とはまるで様子が違っていた。
無数のドローンが空を飛び交い、赤い光が地面を這う。
壁、瓦礫、路地の隙間。
そこら中に設置された感知装置が、レーザーを張り巡らせていた。
ゲートの前には、機械装甲に身を包んだアンデッド達。
手にはレーザーライフル。
高台には、長銃を構えたスナイパー。
その下では、巨大なガトリングガンの銃身が、低い駆動音を響かせながらゆっくりと回っている。
ズン──。
地面が揺れた。
さらにその奥を、建物ほどもある巨大な機械装甲を纏ったアンデッドが歩いていた。
ドレッドウォーカーを着たアンデッド──
一歩進むたびに、鉄の足が地面を叩く。
空から地上まで、死角らしい死角がない。
もはやブラックゲートは、門ではなかった。
要塞。
「……流石に、今回は、無理そう……」
振り返ったシャクールは、慌てて身を屈めた。
「なっ、なんだ、ありゃっ!?」
シャクールとウィーニーは、瓦礫の影に身を隠した。
恐る恐るその隙間から、ブラックゲートを覗いた。
「とんでもない要塞だ。一番街……帝国軍の基地よりすげえ……」
「これを、どう報告しろと……」
二人が顔を見合わせた、その時だった。
ヒュンッ──。
「え?」
背後から伸びた白銀の紐が、ウィーニーの両腕と胴を一瞬で締め上げた。
「うわっ!」
「ウィーニー!」
シャクールが声を上げる。
月明かりの中。
いつの間に現れたのか。
そこに、一人の男が立っていた。
背には純白の大槌。
金色の短髪、鋭い眼差し。
白銀の紐の先を握ったバルドリオンが、ニヤリと笑った。
「捕まえた」
「てめぇっ! 神の分際で、不意打ちかよ!」
シャクールの拳に、炎が纏わりついた。
地面を蹴り、間合いを詰める。
「これでも、喰らってろ!」
燃え盛る拳が、バルドリオンへと迫る。
その瞬間。
ゴォンッ!!
「なっ──!」
黄金の光が地面から噴き上がった。光そのものが、巨大な障壁となって立ち上がる。
シャクールの拳が触れた瞬間、激しい衝撃が炸裂した。
「ぐあっ!」
シャクールの体が弾き飛ばされる。
「シャクール!」
今度は、ウィーニーが叫ぶ。
だが、その声を覆い隠すように、黄金の光は左右へ走った。
地面を這い。
空へ伸び。
その光は、やがて頭上で繋がった。
巨大な光のドーム。
逃げ道を塞ぐように、フリークスを丸ごと包み込んだ。
シャクールは地面に手をつき、顔を上げた。
「……クソ。閉じ込められた」
「ハーフゴッドのガキが、悪魔の仲間とは……噂は本当だったのか」
白銀の紐に拘束されたウィーニーを見下ろしながらバルドリオンは、ゆっくりと口角を上げた。
「おんもしれえなぁ」
ウィーニーに巻き付いた紐がギリギリと音を立てる。
ウィーニーは、歯を食い縛ると、バルドリオンを見上げた。
「ぐっ……だれだ……てめえ……」
バルドリオンの眉がピクリと動いた。
「荒廃。貧困の目。神の血を引いているとは思えんなぁ」
ウィーニーは、バルドリオンを睨みつけた。
「だったら……なんだってんだ!」
バルドリオンは、膝をつきウィーニーに目線を合わせると、クスッと笑った。
「面白え」
「え?」
その直後──
ピッ。
ブラックゲート側のレーザー感知装置が、バルドリオンたちの方向を向いた。
赤いレーザーが、黄金のドームを横切る。
バルドリオンが視線だけをブラックゲートへ向ける。
「……やっと気付いたか」
機械音が、重なる。
カシャ。
ガコン。
ギィィィン──。
ライフルが。
スナイパーが。
ガトリングが。
そして、巨大なドレッドウォーカーまでもが。
一斉に、こちらを向いた。




