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路地裏のウィーニー  作者: みゃーじま
第六章 悪魔の代償
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第101話 捕まえた 〜White Light囲むBlack Gate BoneとMachineが刻むDeath Beat GodもDevilも逃げ場はねぇ〜

「Yo ウィーニー。ずっと聞きたかったんだが」


「何? シャクール」


「お前デヴィンとマイクと地獄に行ったろ? そこで何があったんだ?」


「あ、うん。えっと──」


 シャクールは、目をひん剥いた。


「なんだって!? ダマトにラップかましただぁ!?」


「うん。マイクのめっちゃくちゃかっこいいラップに乗せてもらって……」


「そうか……。じゃあ、久しぶりにお前のラップスキル見せてみろよ」


「え? いま?」


 シャクールは、大きく足音を立てた。


ドンッ! ドンッ! ドンッ!

────────────────────

地獄でRap? マジかよWinnie

その小せぇBodyで 何刻んだあのヘル

見せてみろよSkill 地獄で鳴らしたそのソウル

Come on!

────────────────────


「あ、いや……うん。地獄……ヘル……Hell……

Yo」


────────────────────

ああその通り 潜って来たぜ地獄のGate

Hellでも変わらねぇMy Voice

誰が相手でも自分でChoice

デヴィンとマイクとかましたSoul


今日も鳴らすぜ 待ってろブラックゲート

骨もガラクタも 今じゃ全部Noise

ぶちかます悪魔のSoul

────────────────────


 シャクールは、足を止めて黙った。


「シャクール? ……ダメだったかな?」


「いや、自然だ。板についてるぞ、ウィーニー!」


「ほ、ホント?」


 シャクールは、拳でウィーニーの胸をポンと叩いて、さらにラップで返した。


────────────────────

路地裏の孤児 から便所掃除、名もねえトラッシュ

見てみろよ お前の面

デビルズの殻じゃねえ ホンモンのラッパー

もう言わせねえ 中身は空

そうだろ?ウィーニー ハーフゴッドが地獄

ボスとかますラップ なったなアウトロー

意味わかんねえ けど最高だぜ てめえ

────────────────────


 ウィーニーは、シャクールの肩越しに見えるブラックゲートを指差した。


「シャクール……」


「あん?」


 ウィーニーの指先が、震えていた。


 ブラックゲートの周囲は、以前とはまるで様子が違っていた。


 無数のドローンが空を飛び交い、赤い光が地面を這う。


 壁、瓦礫、路地の隙間。


 そこら中に設置された感知装置が、レーザーを張り巡らせていた。


 ゲートの前には、機械装甲に身を包んだアンデッド達。


 手にはレーザーライフル。


 高台には、長銃を構えたスナイパー。


 その下では、巨大なガトリングガンの銃身が、低い駆動音を響かせながらゆっくりと回っている。


ズン──。


 地面が揺れた。


 さらにその奥を、建物ほどもある巨大な機械装甲を纏ったアンデッドが歩いていた。


 ドレッドウォーカーを着たアンデッド──


 一歩進むたびに、鉄の足が地面を叩く。


 空から地上まで、死角らしい死角がない。


 もはやブラックゲートは、門ではなかった。


 要塞。


「……流石に、今回は、無理そう……」


 振り返ったシャクールは、慌てて身を屈めた。


「なっ、なんだ、ありゃっ!?」


 シャクールとウィーニーは、瓦礫の影に身を隠した。


 恐る恐るその隙間から、ブラックゲートを覗いた。


「とんでもない要塞だ。一番街……帝国軍の基地よりすげえ……」


「これを、どう報告しろと……」


 二人が顔を見合わせた、その時だった。


ヒュンッ──。


「え?」


 背後から伸びた白銀の紐が、ウィーニーの両腕と胴を一瞬で締め上げた。


「うわっ!」


「ウィーニー!」


 シャクールが声を上げる。


 月明かりの中。


 いつの間に現れたのか。

そこに、一人の男が立っていた。


 背には純白の大槌。


 金色の短髪、鋭い眼差し。


 白銀の紐の先を握ったバルドリオンが、ニヤリと笑った。


「捕まえた」


「てめぇっ! 神の分際で、不意打ちかよ!」


 シャクールの拳に、炎が纏わりついた。


 地面を蹴り、間合いを詰める。


「これでも、喰らってろ!」


 燃え盛る拳が、バルドリオンへと迫る。


 その瞬間。


ゴォンッ!!


「なっ──!」


 黄金の光が地面から噴き上がった。光そのものが、巨大な障壁となって立ち上がる。


 シャクールの拳が触れた瞬間、激しい衝撃が炸裂した。


「ぐあっ!」


 シャクールの体が弾き飛ばされる。


「シャクール!」


 今度は、ウィーニーが叫ぶ。


 だが、その声を覆い隠すように、黄金の光は左右へ走った。


 地面を這い。


 空へ伸び。


 その光は、やがて頭上で繋がった。


 巨大な光のドーム。


 逃げ道を塞ぐように、フリークスを丸ごと包み込んだ。


 シャクールは地面に手をつき、顔を上げた。


「……クソ。閉じ込められた」


「ハーフゴッドのガキが、悪魔の仲間とは……噂は本当だったのか」


 白銀の紐に拘束されたウィーニーを見下ろしながらバルドリオンは、ゆっくりと口角を上げた。


「おんもしれえなぁ」


 ウィーニーに巻き付いた紐がギリギリと音を立てる。

ウィーニーは、歯を食い縛ると、バルドリオンを見上げた。


「ぐっ……だれだ……てめえ……」


 バルドリオンの眉がピクリと動いた。


「荒廃。貧困の目。神の血を引いているとは思えんなぁ」


 ウィーニーは、バルドリオンを睨みつけた。


「だったら……なんだってんだ!」


 バルドリオンは、膝をつきウィーニーに目線を合わせると、クスッと笑った。


「面白え」


「え?」


 その直後──


ピッ。


 ブラックゲート側のレーザー感知装置が、バルドリオンたちの方向を向いた。


 赤いレーザーが、黄金のドームを横切る。


 バルドリオンが視線だけをブラックゲートへ向ける。


「……やっと気付いたか」


 機械音が、重なる。


 カシャ。


 ガコン。


 ギィィィン──。


 ライフルが。


 スナイパーが。


 ガトリングが。


 そして、巨大なドレッドウォーカーまでもが。


 一斉に、こちらを向いた。

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