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「町外れにな、幽霊が出るって評判の家があるんだよ」
「幽霊!?」
ネリキリの話を聞いた途端、ハギが椅子ごと吹っ飛ぶんじゃないかってくらいの勢いで飛び上がる。
「何度か買って住もうとしたヤツがいるんだけど、みんな殺されちまったってウワサなんだ」
「へ、へえーえ。それでかか買い手がつかないからややや安く買えますのね。まあどうせゆゆ幽霊なんてウソに決まってますけどますけど。あはははは」
「ハギさん、落ち着くッス! お茶こぼしまくってるッス!」
ティーカップを持った手はガクガク震えて、中に入ってたお茶はもう残ってない。
「なんだ、怖いのか?」
ニヤニヤしながら尋ねるネリキリを、ハギはグーパンで一撃。こっちは実際に椅子ごと吹っ飛ぶ。
「確かにそこなら安そうッスけど……、ハギさんがイヤなら、他を当たった方がいいッス」
そう言って、ネリキリを起こそうとするテツヤの手をハギが止める。
「お待ちなさい。誰もイヤだなんて言っていませんわ」




