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#89
いきなり仲間入りを希望してきたのは、賭場にいたコボルドの青年。
さっき中年男をフルボッコにした鉄パイプをまだ持ってる。
「オレの名前はラスク。いろんな国を旅してて、ここ数日はこの宿に泊まってるんだ」
「それであの時賭場にいたんスね」
そりゃ宿の食堂にいるんだから、宿泊客かネリキリみたいな従業員に決まってる。
「で、その旅人がどうしてワタクシたちの仲間に?」
「いや、なんか面白そうなんで」
「……」
テツヤとハギ、ついでにネリキリも加えてヒソヒソ話し合う。
「どうするッスか? すっげーノリ軽いッスけど」
「いくら人手不足とはいっても、誰でもホイホイ加えていいワケではありませんからねえ」
「だが、そこそこ腕は立つようだぞ」
「あんなデブをボコったぐらいで参考にはなりませんわ」
「えーと、全部聞こえてるんだけど」
テツヤの背後から声。
「……」
非常に気まずい。




