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#78
「ギャア、あっちい! 誰か、誰か助けてくれ!」
炎で焼かれた顔を押さえて、床をゴロゴロと転げ回るカヌレ。けど手下のゴブリンたちに助ける様子はナッシング。
どうやら、誰を敵に回したのかようやく理解できた模様。
「テメー、女だと思っ――」
炎。
「もう許しちゃおけ――」
炎。
「ぜってえ――」
炎。
「ころ――」
さらに炎の連発がカヌレを襲う。こいつもいい加減学習すればいいのに。
「テツヤさんのショートソードを返しなさい」
カヌレの頭を踏みつけて、ハギが冷徹に告げる。
「ハギさん、何もそこまでしなくても」
さすがに見てられなくなったテツヤが止めに入るけど、ハギはスルー。
「これはもうテツヤさんだけの問題ではありませんのよ? テツヤさんが受けた屈辱は、ワタクシの屈辱でもあるのです。それともテツヤさんは、ワタクシに屈辱を与えたこのしゃべるクソを、黙って見逃がすつもりですの?」
「ぐっ」
そこまで言われると、テツヤも反論できない。




