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ハギサイドにすぐ説明する気配はナッシングなので、テツヤも言われるままに机を運ぶ。
布団に入れば1日の間に色々ありすぎた疲れもあってか、一瞬で眠りに落ちて気付けばもう朝。
「ひゃあ!」
陸上競技場のトラックをオークとゴブリンとメアリーちゃんの多国籍軍にグルグル追っかけられて、画面右下のワイプでは女装した干柿が舟唄を歌ってるっていう、視点がどこにあるのかよくわからない夢から覚めたテツヤが周りを見回すと、そこは宿屋の室内。
(やっぱり、コレは現実なんスね)
実は夢、なんてことも一瞬思ったけど、だとしたら現実はメアリーちゃんに食い殺されてるワケで、それよりは現状の方がまだマシだって思うしかない。
そしてベッドのもう一方の端に視線を向けると、そこで寝てるはずのハギがいない。
「フンフンフーン♪」
代わりに、バスルームから舟唄じゃなくて鼻歌が聞こえてきた。




