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「必要ありませんわ。こんな町にある店なんて、どうせ悪質なぼったくりに決まっています」
ハギにあっさり拒否られて、小鬼も黙っちゃいない。
「イヤだなあお嬢ちゃん。ウチはそういうのじゃねえから。お一人様2000パケットポッキリ、一括前払いの明朗会計だから」
(あー、これウソッスね。入る時に前払いで安心させて、後から追加で取るパターンッス)
小鬼の説明を聞いて、テツヤも納得する。新宿の歓楽街を、毎晩のようにアニキに連れ回された経験から、この手の客引きにはそこそこ詳しい。
「そんなこと言わないでさ、いいじゃないメシ食ってくぐらい。ねえ」
「触らないでください、ゴブリン風情が汚らわしい」
伸ばされた手を、ハギが速攻で払いのける。その途端、無理して笑ってた小鬼すなわちゴブリンの表情がバキーンって一変。




