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#15
干柿の声に、メアリーちゃんがリードを振り切って駆け寄る。
その様子を満足そうに見つめながら、干柿は舟唄を歌いだす。
構成員たちはみんな逃げたけど、テツヤはダメージが深くて動けないまま。
(あー、これもう無理ッス。オイラはアニキに見捨てられて、こんな薄ぎたねえ店でオカマの演歌を聞きながら、犬に食われて死ぬんス)
なんて人生だ。テツヤは思う。
アニキからドスとプリペイド携帯を渡された時から、失敗したら死ぬかもって覚悟はあったものの。
(だからって、こんな死に方はあんまりッス! これどゆことッスか?)
迫るメアリーちゃん。カーペットの上を走る足音。絶望と恐怖で目を閉じるテツヤ。
けどテツヤの脇腹にメアリーちゃんが食い付こうとした刹那。
「……あらン?」
テツヤの姿が店から消えた。




