対蝙蝠男
久しぶりの投稿です。
思いつく限りの魔術を詠唱し、魔物の群れへと叩き込んでいく。厨二臭い詠唱の言葉を並べ立てて、何発も打つ。
上空には蝙蝠男。
最初10人であったのが、今は8人に減っている。
1人は冒険者の集中攻撃を受けて倒れ、1人は羽をやられて地におちた。それでも魔族。魔力量、術の威力もヒトに上回る。こちらの被害は殆ど彼らによるものだ。
「これじゃあきりがないな」
地上の魔物は殆どが低級で、人間1人で対処できるレベルだ。だがいかんせん、数が多い。おまけに空から強力な魔術がとんでくるものだから、息をつく暇もない。
前方では、ロウが魔物を細切れにしていた。
ロウには、認識阻害を念入りにかけてある。かけられた対象に対する印象を限りなく薄くし、周囲に溶け込ませる魔術。数時間でとけてしまうのと、他の術を使えば割と簡単に見破られてしまうのが難点だけれど、いたしかたないよね。
よそ見をしていたら、尖った石が大量に飛んできた。咄嗟の判断で結界を張る。
私の目の前に、石を飛ばした張本人であろう蝙蝠男が降り立った。
「なぁ、お前。一応聞くけど、女か?男か?」
「それを聞いて、なんの意味があるのかな?」
「女なら生かしてやってもいいんだ。まぁ、結局死ぬことになるだろうがね!」
にやにやとする蝙蝠男。
「鋭き風の刃よ、数多を切り裂いてうなれ。風裂刃」
早口に唱えるが、避けられてしまう。
「おいおい、俺が話してる途中だっただろうが!殺してやる!」
男がすぅ、と息を吸う。
まずい、これは!
「___________!」
頭に激痛が走る。ぐわん、ぐわんと景色が揺れる。
蝙蝠男の持つ、脳に直接攻撃可能な特殊音波だ。
「・・・っ!」
周囲の冒険者たちも頭を抱える。
「く、切剃風!」
ふっと激痛がやむ。
「風裂刃、風鋭刃!」
羽を狙って二連発打つと共に、距離を詰める。
「我が強靭なる拳よ!我の前に立ちはだかる全てを打ち砕き、塵となせ!粉砕拳!」
詠唱の途中から光を放ち始めた己の右の拳を、男の腹へと思いっきりぶちこむ。
そこを、周囲にいた冒険者たちが一斉に袋叩きだ。血飛沫があがる。これで魔族は残り7人、いや、6人だ。いつのまにかもう1人もやられていた。
まだまだ魔力は残っている。が、魔物もまだまだ残っている。
北側の若者たちが押されている。援護にまわろう。
額の汗を拭うと、手に魔力を込めた。
詠唱は書いてる方もちょっと照れくさかったり。