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第六話 人間と竜《ドラゴン》が共存する世界

「──え? じゃあ……全部本当の話だっていうの……?」


『あぁ、ほとんどはな。まぁまだ知られていないのもあるが』


ヘレナの問いに神竜はさらっと言ってのけた。


神竜は何かを思い出したらしく、ヘレナに話しかける。


『──あぁ、そうだ。我は今後そなたをヘレナと呼ぶ。そなたも我を自由に呼ぶといい』


「──え……?」


『我らは契約をしたのだ。あだ名で呼び合うのが普通だろう?』


ヘレナには、そう言った神竜がほほえんでいるように見えた。


「じ、じゃあ……〖イファ〗……じゃ、ダメかな……?」


『──それでいい』


ヘレナにそう返したイファは、唖然としている5人と5体のほうを向く。


『──きれいに分かれたものだな』


そうつぶやくと、ヘレナにこれから自分が言うことをフローナたち5人に伝えるよう言い、ヘレナを含めた6人に向け話し始める。


『──そなたたちはこの世界の者ではないのだろう。服装を見ればすぐにわかる。どこから来たのかは聞かないが、ドラゴンと契約したからにはこの世界のことを知っておいてもらわねばならぬ。今から我が言うことをよく聞き、そして覚えておいてもらいたい』


イファが言ったことをヘレナはそのまま5人に伝えた。すると5人は緊張した面持ちでその言葉に頷く。


『──ここは人間とドラゴンが共存する世界〖テウルギア〗──』


「──え?! テウルギア!?」


その言葉を聞き、ヘレナは思わず声を上げた。


『そうだが。それがどうした?』


「わ、私たちが住んでた街の名前もテウルギアなの……」


ヘレナが言ったことにイファは少し目を細める。


『──後で詳しく話せ。……取りあえず、今は我が言ったことを5人に伝えろ』


ヘレナは頷くとイファが言ったことを口にする。5人もヘレナと同じような反応をしたが、今は落ち着いて話を聞くようヘレナを通してイファに言われ落ち着きを取り戻す。


『テウルギアは“火・氷・水・風・雷”の5つの大陸に分かれている。火の国には火竜とその契約者が、氷の国には氷竜とその契約者が、というふうに属性ごとに分かれて暮らしている。もちろん、そなたたちにも属性ごとに分かれて生活してもらう』


イファの言ったことを5人に伝えたヘレナは一つの疑問をイファに問いかけようとした。しかしその前にイファがヘレナに言う。


『ヘレナ、そなたは全てにおいて異例だ。そなたがこれからどう過ごすかは後で話す。いいな?』


ヘレナは【異例】という言葉に複雑な思いになりながらイファの言葉に頷く。


ヘレナが頷いたのを見ると、イファは話を続けた。


『そして、そなたたちには戦うすべを学んでもらわねばならぬ。自分を守るため、仲間を守るための術をだ』


その言葉に場の雰囲気が一変する……


『我々ドラゴンには、もう一つの属性がある。


 それは───〖闇〗だ。


闇は憎しみに染まり〖悪〗となった者、そしてそのドラゴンをさし、それらは容赦なく国を襲い、人を襲う。

……今までに悪と化した者たちが奪った命は数え切れないほどだ。


 ──一つでも多くの命を救う……

  

そのために──強くなれ。


 ──自分のドラゴンと共にな』



すると、それぞれが自分のドラゴンを見やる。ドラゴンたちも自らの契約者の目を見つめた。


その瞬間に、この場にいる人間とドラゴンたちはそれぞれの相手を“ただの契約した相手”ではなく──



 ──〖相棒パートナー〗として認めた。



相棒パートナーを見つめるその目からは


『これからよろしく』


『一緒に頑張ろう』


そんな言葉が聞こえるような気がした。

そこには確かに“信頼”というものがあるように感じる。


ヘレナもイファの目を見て、


「イファ、これからよろしく。 一緒に頑張ろうね!


そう笑顔で言った。


イファはヘレナの言葉に『あぁ』とだけ返し彼女に微笑んだ。


そして再びフローナたちのほうを向き、真剣な表情に戻る。


『──最後に一つ』


その言葉でフローナたち5人とドラゴンたちはイファのほうに向き直った。


『闇…すなわち悪になる可能性は誰もが持っている。憎しみに染まれば、その人間・そしてドラゴンは悪と化し、闇の力を使うようになる。

悪と化したドラゴンの姿は憎しみに染まれば染まるほど黒くなり、そして力も強くなる。

人間が悪になれば契約したドラゴンも悪となり、ドラゴンが悪となれば同じように人間も悪となる。  

──自ら闇に堕ちる者もいれば、気づかぬうちに闇に堕ち悪と化してしまった者もいる』


そう語るイファの表情は、ヘレナには苦しそうに見えた。


闇に堕ちた者の姿を何度も見てきたのだろう。



『──そなたたちが

   

   闇に堕ちぬことを祈る──』



その言葉はこの場にいる全員に向けられたものだった。



   〖仲間思い〗である彼らに──……





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