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第五章:グラウンドの風と、秘密の質問

第2期・第5章。今回は合同体育の授業で行われたクラス対抗リレーから始まります。和樹や和泉、そして山城先輩と沙羅がそれぞれの全力を見せるグラウンド。ちょっとしたすれ違いから始まった騒動も、4人の絆を深めるきっかけへと変わっていきます。後半では、山城先輩が学校の新しい友人たちと「恋バナ」に花を咲かせる、瑞々しい日常をお届けします。

その日の体育は、和樹のクラスと山城のクラスによる合同授業だった。グラウンドで行われたクラス対抗リレーでは、男子の部で和樹と和泉が圧倒的な俊足を披露し、他の生徒たちを大きく引き離してゴールイン。周囲からは大きな歓声が上がった。

一方、女子の部では沙羅が全力疾走の末、4位でフィニッシュした。

息を切らせて戻ってきた沙羅に対し、和泉が冗談めかして声をかける。

「沙羅、お疲れ! ちょっとのんびり走りすぎじゃないか?」

走ったばかりで感傷的になっていた沙羅は、その言葉に思わずむっとして顔を赤くした。

「もう、和泉のバカ! 一生懸命走った人にそういうこと言うの!?」

怒った沙羅は和泉の腕をぽかぽかと叩き、ぷいっと横を向いてしまった。それを見ていた和樹は、飲んでいた水を吹き出しそうになりながら笑った。

「和泉、お前の冗談は完全に滑ったな」

同じレースで走っていた山城は、見事な走りで2位に輝き、クラスの女子たちから称賛を浴びていた。

放課後、へそを曲げた沙羅が和樹と山城のアパートに駆け込んできた。

「先輩、聞いてください! 和泉がひどいんです!」

リビングのソファで涙ぐむ沙羅を、山城は隣に座って優しくなだめる。

「大丈夫よ、沙羅。あの子も意地悪で言ったわけじゃないわ。泣かないで」

和樹が二人のためにキッチンで温かい紅茶を淹れていると、突然ドアが開き、焦った様子の和泉が飛び込んできた。

「沙羅! ここにいたのか!」

その勢いに驚いた沙羅がびくっと身体を震わせると、山城の瞳に一瞬だけかつての「鋭い光」が戻った。山城が静かに和泉を睨みつけると、その威圧感に和泉は一瞬で背筋を伸ばし、大人しくなった。

四人は木製のダイニングテーブルを囲んで座った。

和樹からお茶を受け取った和泉は、真摯な表情で沙羅に向き合った。

「さっきはデリカシーのないことを言って悪かったよ、沙羅。頑張って走ってたのに、ごめんな」

その言葉を聞くと、沙羅の機嫌は一気に直った。

「もう……次からは絶対にダメだからね!」

沙羅は和泉の首に抱きつき、しばらくお茶を飲んでお喋りした後、安心したように彼の膝の上で眠ってしまった。一件落着した様子を見て、山城は和樹を小さく小突き、悪戯っぽく笑った。「あなたも、私に同じような意地悪をしたら承知しないわよ?」

その夜は和泉と沙羅もアパートに泊まることになり、賑やかな夕食の後、和泉と沙羅は客室へ、和樹と山城は寝室へと向かった。それぞれの部屋で、二つのカップルはお互いの温もりを感じながら、幸せな夜を過ごした。

翌朝、山城は一番に目を覚まし、キッチンで香りの良いお茶を淹れた。

和樹が起きてくると、彼女はこれまでになく温かく眩しい笑顔で彼を迎えた。

「おはよう、和樹」

二人で協力して朝食を作っていると、和泉と沙羅も合流し、四人で賑やかな朝の食卓を囲んだ。朝食後、和泉たちが先に学校へ向かい、部屋には和樹と山城の二人だけが残った。

和樹が後ろからそっと山城の腰を抱きしめ、その首筋に優しくキスを落とす。

「……んっ、和樹、もう。これ以上やったら学校に遅れちゃうわよ」

山城は頬を赤らめながら、彼の胸を軽く押し返した。

「いいだろ、少し動くのが遅れるくらい」

「ダメよ。お母さんからも言われてるんだから。『和樹が甘えん坊になったら、ちゃんと叩いて叱りなさい』って」

「母さん、余計なアドバイスを……」

和樹が苦笑いすると、山城は嬉しそうに微笑み、二人はしっかりと身支度を整えて登校した。

学校の昼休み、山城の教室では、新しくできた友人たちと「トランプを使った質問ゲーム(真実か挑戦か)」で盛り上がっていた。

山城の番になり、カードを引いた友人がニヤニヤしながら尋ねる。

「山城先輩!『真実(暴露)』を選んだね? じゃあ質問! 先輩って、本当に彼氏がいるの?」

山城は一瞬驚いたが、指輪をそっと愛おしそうに触りながら、真っ直ぐに答えた。

「ええ、いるわ。とても大切な人が」

教室が小さな黄色い悲鳴に包まれる。友人たちはここぞとばかりに、次々と質問の雨を降らせてきた。

「どんな人なんですか? 学校の人?」

「……内緒。でも、とっても優しくて、料理が上手な人よ」

「デートはどこに行くの?」

「この前は遊園地に行ったわ。観覧車に乗ったりして、すごく楽しかった」

「先輩から告白したの? それとも彼から?」

「彼からよ。一生大切にするって、言ってくれたわ」

山城は少し恥ずかしそうに指先を合わせ、顔を赤らめながらも、一つ一つの質問に嬉しそうに答えていった。

かつて誰も近づけなかった「氷の女王」が、今では恋する一人の女の子として、友人たちと笑顔で秘密を共有している。その柔らかく変化した彼女の横顔を、グラウンドから見上げる和樹は、誰よりも誇らしげに目を細めていた。

グラウンドでの些細なすれ違いも、四人の絆があればすぐに笑顔へと変わります。そして学校では、山城先輩が友達からの質問攻めに照れつつも、和樹との幸せを嬉しそうに語る姿が印象的でした。

次回、順風満帆に見える二人の前に、少しだけお騒がせな「訪問者」がやってきます。和樹の過去の友人(?)の登場に、山城先輩のジェラシーが炸裂!? 新しい波乱の展開をどうぞお楽しみに!

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