五話 作戦開始
五話 作戦開始
ヘルシャフトの4人はイノの話に耳を傾けていた。コッコもポーションを飲んだおかげで体力が回復し会話に加わっている。
「なるほど、話は分かった つまり協力する姿勢をみせろという事か この星の神と云うのは、まったく一人よがりだな それぞれの立場や目的を何も分かっていない そんな者たちが無理矢理協力しても上手くいく筈がなかろう 」
ギルモアが腕を組んで馬鹿にしたように言う。他のヘルシャフトも、その通りだというように頷いていた。
「ふーん やりもしないで諦めちゃうんだ 神将なんて云っても、てんでだらしないわね まったく笑っちゃうわね これなら、ノッコたちの方が力になるわ マゴット、すぐにミナミかキャスーに連絡して来てもらって その間、私たちでこの化け物を食い止めるよ、イノ こんな、役立たず当てにしても無駄だよ 」
ユーナが小馬鹿にした態度で、さらにシッシッと犬を追い払うように手を動かす。
「あー、その通りだな ミナミやキャスーとノッコたちなら、こいつらより戦力になるな もう、あんたらは邪魔だ 引き留めて悪かったな さっさと尻尾を巻いて帰っていいぞ 」
ユーナのようにイノもギルモアたちを用なしのように言う。
「貴様ら、人間の分際で俺たちをよくも馬鹿にしたな そこの女、俺に殺されかけた事を忘れたのか 頭の足りない女だ 今度は本当に殺してやろうか その時になって後悔しても遅いが、ふふ、後悔する頭もないか その空っぽの頭ではな 」
メイスンが逆にユーナを馬鹿にして言うと、ユーナも負けじと言い返していた。
「はぁーっ、頭が空っぽなのはあんたでしょう 私はあれから強くなったからね あんたなんかミジンコみたいに潰してあげるわ はははっ 」
「なんだとっ 俺がミジンコなら、貴様はゾウリムシだ、女 」
「なんで私がゾウリムシなの 馬鹿なの、あんた まあ、ミジンコ並の頭なら、そのくらいしか思い付かないのでしょうね 」
まるで子供の言い合いにイノを始め、ヘルシャフトの面々も呆れていた。ユーナとメイスンは、ふーっふーっと鼻息を荒くして睨みあっている。
・・・おいおい、ユーナ 奴らを怒らせて戦闘に参加させるつもりじゃなかったのかよ 自分が逆ギレして、どうするんだよ、まったく ・・・
「ニャァーッ 」
ゴンタも呆れたように鳴いていた。けっきょく、お互いの仲間たちがユーナとメイスンをなだめ、マゴットが気付き、イノが提案した方法で、一度”八俣遠呂知”に挑んでみるという事に落ち着いた。
「我ら4人と、そちらからは誰が出るんだ 言っておくが相当な攻撃力を持った者でないと、あの化け物には傷一つつけられんぞ 」
ギルモアの言い分ももっともであった。相手は神獣と云われる”八俣遠呂知”だ。普通の攻撃では歯が立たないのは当然の事だろう。
「こちらからは、俺、ユーナ、コッコが出る 」
「それでは足らんだろう 誰かが2つの頭を一度に破壊できるとでも言うのか それは不可能だろう 」
「大丈夫 心配するな あと一人、いやあと一匹はこいつ、ゴンタだ 」
イノはゴンタを抱き上げて言うが、ギルモアたちは唖然としていた。短期なメイスンは、また鼻息が荒くなってくる。
「ふざけるなよ そんな猫になにが出来る 確かに攻撃力があるかも知れんが、微妙なタイミングを合わせられる筈がない しょせん魔獣だ 」
「心配要らないさ、メイスン 俺とゴンタと戦ったあんたなら分かるだろう あの時、俺と連携したゴンタにあんたは殺されかけたろう 俺とゴンタは一心同体 互いの心は通じている 」
そう言いながらイノの顔は赤くなっていた。ユーナはそのイノの顔に気付いて、なんだろうと疑問に思った。イノに抱かれているゴンタは平気な顔をしているが……。
・・・ゴンタちゃんと心が通じていると言った事に照れてるように感じるけど…… ・・・
そう思うとユーナはイノに訊かずにはいられなかった。
「ねえ、イノ なんで照れてんの ゴンタちゃんはあなたのペットだよね それとも、それ以外の何かがあるの? 」
「えっ、い、いや別に俺は照れてなんか…… なに言ってんだ、ユーナ 」
そのイノの慌てぶりは普段のイノからは想像の出来ない態度だった。
・・・おかしい やっぱり何かあるのは間違いないよ あのライディーンへ行く戦いの時も、イノはゴンタちゃんを逃がす事を最優先にしていた そして、ゴンタちゃんもイノを助ける為に、あの危険な戦場に何がなんでも戻ろうとしていた イノとゴンタちゃんって…… ・・・
ユーナは、イノとゴンタを見つめるが、今優先すべきはキューの砦を守る為に”八俣遠呂知”を撃退する事だ。ユーナは芽生えた疑問を心の奥にしまいこむと、”八俣遠呂知”を撃退する作戦に耳を傾けた。
* * *
”八俣遠呂知”を同時に攻撃するタイミングはマゴットに託された。ユーナたちは聖剣の第一段階を解放し、すぐに攻撃出来るように対処する。
「マゴットからの合図で俺たちで一斉に攻撃する マゴット、ゴンタは魔獣に変身してからは3分程度しか時間がない それを忘れずにしっかり頭に入れておいてくれ 」
「分かった、我に任せろ そちらのヘルシャフトも準備は良いのか 」
「我らに問題はない いつでも対応出来るさ 」
ギルモアが自信たっぷりに言い、ヘルシャフトたちは”八俣遠呂知”に向かって散っていく。
「よし、俺たちも行くぞ ゴンタ、遅れるな 」
イノの言葉でゴンタも魔獣に変身し”八俣遠呂知”に向かって飛び出していた。ユーナとコッコも、すぐ後に続く。マゴットは全員の動きを見つめタイミングを測っていた。カイは、そのマゴットが集中出来るように、マゴットへの攻撃を防ぐ為に前に立ち銃を構えていた。




