二話•出発
二話 出発
教授の安全の万全を期す為、マゴットとコッコにもライディーンへの同行を頼んだイノは、出発前に入院しているノッコの容態を確認しに行った。
しばらくして帰ってきたイノに、コッコが尋ねる。
「ノッコの様子はどうだった? 」
「ああ もう元気そうで安心した ドーバたちや隊のみんなも来ていて騒ぎすぎて看護師さんに怒られていたよ ミナミが頭を下げて謝ってた 」
「ミナミも大変だ 」
「ノッコたちも仲間が増えて嬉しいのよ 」
「そうだな 今まで小さな村の中で暮らしていたからな 」
ユーナとマゴットも嬉しそうに言う。
「よーし 準備出来たか 」
イノがゴンタを抱きながら言うと、全員からOKという返事が返ってきた。
「ヒーロー隊とナイアガラ隊は、もう出発したらしいわ 私たちも教授を拾って急いで後を追いましょう 」
よしと、イノが車のキーを握ろうとすると、コッコがサッと横から手を伸ばしキーをもぎ取った。そして、イノの前に人差し指を出す。
「車の運転は、お・れ・が・す・る 」
イノは玩具を取られた子供のように情けない顔でゴンタを見た。ゴンタは、当然だろという顔でイノを見返し、ユーナとマゴットは噴き出していた。
* * *
教授を乗せ、無事出発した車の中でイノは、どうしても訊きたかった事があると切り出した。
「カイ隊長の部隊はさ なんでヒーロー隊なんだ? 」
隣でゴンタを抱っこしていたユーナが思わず噴き出す。
「私も気になって前に訊いたことがあるんだ 」
ユーナがキャスタリア村でカイに聞いた話では、隊員を募集する時”ヒーローになるのは今だ”というキャッチコピーでポップを張り出したところ予想以上の人員が集まり、その中から機動性を重視して単車に乗れてノイメンという条件で更に面接で選考した部隊だと自慢してたと言う。
「みんな 面接の時、熱くヒーローについて語って選考は難航したそうよ 」
それで部隊名はヒーロー隊になったんだって、とユーナは面白そうに言う。
「なるほど 男なら誰だってヒーローに憧れるからな 」
イノがうんうんと頷きながら言うと、ユーナが不服そうな顔で、イノを睨む。
「女だって憧れるわよ 私も小さい頃、セ◯ラー戦士になりたかったもん 」
・・・もん…… ・・・
イノは、時々ユーナが分からなくなる。なんだよ、もんって突っ込みたくなるが、マゴットがこのヒーロー話に乗ってくる。
「セーラ◯戦士か、成程…… 我は、顔の前で腕を交差させると憤怒の形相に変わる魔人だな 悪代官共に裁きを下す姿に憧れた 画面を見ながら自分でも腕を交差させて真似してたよ 」
おいおい随分マニアックだな、M○8星雲から来た宇宙人じゃないのか普通は、とイノは心の中で思う。すると、運転しているコッコまで乗ってきた。
「俺は、インドの山奥で修行したあのヒーローだな 七種類にも変身出来るなんて凄過ぎだろう 」
なるほど、コッコらしいと、イノは妙に納得した。
「仮面を被って単車に乗っているヒーローと違って、人気の点で日の目を見てないヒーローを選ぶのがまたコッコらしいな 」
「そうだろ 特に土の化身がよくないか 」
イノの言葉にコッコが反応する。土の化身とはまた更にマニアックな、せめて日の化身じゃないのかとイノは心の中で思う。
「みんな何を言う ヒーローと言えば少年がリモコンで操縦する巨大ロボットじゃ 28ではないぞ 指からロケット弾を発射する科学の粋を集めたロボットじゃ 最終回など涙なくして見られん 」
まさかの教授まで参戦し熱く語り始めた。
「それを言うなら、教授 良心回路がある人造人間の方が凄くないですか 」
「パシ◯ック◯厶の先駆けのジャン◯ーグはどうだ 50年前にあの操縦方法は画期的だろう 」
「私はあの忍者物も良かったけどなぁ 青◯が可愛いじゃない 」
車内は大いに盛り上がり収拾がつかなくなってきた。
そして、ユーナに抱かれているゴンタの目を見ると、瞳をキラキラさせ、私は女宇宙海賊になりたかったと訴えているようだ。イノは、女宇宙海賊になったゴンタを想像してみる。
やれやれだ、イノは何故か疲れてしまった。
「ヒーローと言えば、ロケットが変形する大使だろう…… あのロケットに乗りたかったよ 」
イノは、一人ボソッと呟いた。




