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いちがん ーBelieveー  作者: とらすけ
七章 面影村後記

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 二話・開戦


 二話 開戦



「おやおや、たったこれだけですか 」


 ヘルシャフトの一人が驚いたように言う。


「この辺りの魔獣が急に消滅したので、急いで魔獣を送り込んだらそれもまた消滅 どんな大部隊が侵攻してきたのかと、我々が直々に来てみればこれだけとはね 正直、興醒めですね 」


 ヘルシャフトが肩をすくめて言う。


「貴様らが、この村を滅ぼしたのかっ 」


 ミナミが激昂する。


「何を人聞きの悪い 我らは消滅した魔獣を補充しただけ その魔獣に滅ぼされたというなら、先に魔獣を掃討した君たちの責任でしょう 」


「僕らが魔獣を掃討したから…… 」


「隊長っ 奴らの言葉に耳を貸しちゃだめっ 」


「そうだよ 悪いのは魔獣なんかを使っているあいつらに決まっているじゃない 」


 キャスーとノッコが叫ぶ。


「でも、僕らが余計な事をしなければ、この村は…… 」


「それは違うよ、隊長 そもそも魔獣なんていなければこんな事にはならなかったよ 」


 ノッコは叫ぶと、剣の力を解放する。


「ヴァイスフェーダー 飛天 」


 ノッコは空に飛び出すと、ヘルシャフトと魔獣の上空から剣を振るい次々と魔獣を倒していく。


「ノッコ 気を付けろっ 敵は弓を使うぞっ 」


 一人、飛び出してしまったノッコにミナミが大声で叫ぶ。


「キャスー ショウたちがテクノポリスに向かってからどのくらい経った? 」


「早朝に出発したので、もう半日は経っているかと 」


「よしっ それなら後1、2時間で彼らがテクノポリスの人を連れて戻って来るはずだ ノッコを守りつつ戦うぞ 」


 すっかり冷静になったミナミに一同は安心して、はいっと返事をすると剣を構え飛び出していく。


「左方向に、ダムッ 」


 ノッコが上空から叫ぶ。


「ハーシ ついて来てくれ 」


 ミナミがハーシに向かって大声で言い、左のダムに向かって走る。そして、アマノから譲り受けた聖剣を握り締める。ミナミに風が集まっていく。


「グリューンヴェント 風の旋律 」


「ブラウシャッテン 極界 」


 驚くことにミナミも聖剣の力を解放する。そして、ミナミが瞬時に粉砕したダムを炎のモーントが焼き尽くす。


「隊長 もう聖剣、二段階目まで使えるじゃないですか 」


 ハーシが驚いて言う。


「君たちと同じで、アマノさんにコツを教えてもらっていたからな 実は密かに練習してたんだ 」


 ミナミが照れ隠しに笑う。


「中央左寄り ダム二体 」


 再びノッコが上空から伝えてくる。


「このまま、行けるか ハーシ 」


「はいっ 大丈夫です 」


 よしっとミナミは中央のダムへ向かって走る。ハーシもあとに続く。


「おい あの五月蝿い蝿を撃ち落せ 」


 ヘルシャフトが弓を持ったヘルシャフトに命令する。命令されたヘルシャフトは弓を引き、ノッコに狙いを付ける。


「メテオールプファイル 」


 そして、高速の矢が撃ち出された。ノッコは森の中で何か光ったのに気付き、咄嗟に身をかわしたが、左の太ももに激痛がはしる。


「うわあぁぁーーっ 」


 ノッコの足に深々と矢が突き刺さっていた。そして、集中が途切れてしまったノッコは上空から錐揉み状に落下する。


「いけないっ 」


 全員がノッコの落下地点を目指して全速で駆け寄ろうとするが、魔獣の群れがその行く手を阻む。


「モーント、ノッコを守れ 」


 ハーシの命令で、モーントは群がる魔獣の中をまるで無人の野を行くがごとく突っ切り、手前でジャンプするとノッコを優しく両手で抱えた。そして、ふわりと着地する。しかし、そこへ向かってヘルシャフトは次の矢を放っていた。


「ガラクスィープファイル 」


 無数の矢が、ノッコとモーントを襲う。それはその付近にいた魔獣諸共二人を襲い、ノッコに覆いかぶさり守ろうとしたモーントの身体に数十本の矢が突き刺さる。そして、矢に貫かれたモーントはその場で霧のように消えてしまった。

 ノッコは自力でなんとか動こうとするが、再びそこを矢の雨が襲う。


・・・戦いの極意は生き残る事、諦めちゃいけない、そうだよね、先生・・・


 ノッコは激痛に耐え泣きながら近くに倒れている魔獣エーバーの下に潜り込み、矢の雨から身を守る。そこへ、ようやく辿り着いたキャスーたちがノッコを助け起こした。


「ラン、早くノッコを背負って 矢の届かないところまで退くよ 」


 ランがノッコを背負い退こうとした時、三度矢の雨が降ってくる。


「シンフォニー家奥義・微笑返し 」


 キャスーとミキディが両手を上げたまま剣を高速で回転させる。そして、降り注ぐ矢を弾き返した。


 なんとか矢の射程距離を脱したキャスーたちはノッコの状態を確認する。ノッコは脂汗を流し痛みに耐えていた。キャスーたちは応急処置を施したが、一刻も早く治療しないといけない状態のように思えた。

 そこへ、ハーシを背負ったドーバを援護しながら、ミナミも退いてくる。


「ハーシッ やられたの? 」


 キャスーたちがハーシの周りに集まる。


「いや 怪我はない 聖剣を使いすぎて体力がなくなったのか それとも、モーントがやられた事と関係しているのかもしれない 」


 ミナミの説明で一同ほっとするが、ノッコの方は重傷だった。


「くそっ 僕の責任だっ 」


 ミナミの言葉にノッコは身体を起こして言う。


「違うよ、隊長 さっき言ったでしょ 悪いのは魔獣と、それを使うあいつらだよ 」


 そう言うとノッコは気を失った。



 * * *



 矢の射程からは逃れたものの、魔獣たちは勢いづき咆哮を上げて迫ってくる。ノッコとハーシを守る為、残りの五人は必死に剣を振るった。

 しかし、多勢に無勢。徐々に魔獣たちに押され始めてくる。


「シュバルツハンマー 激震 」


 ドーバが、魔獣の攻撃の一瞬の隙をついて聖剣の力を解放し、ギガント一体を仕留めた。そして、その際の地割れに巻き込まれ数体の魔獣が奈落の底に落ちていく。さらに地面の振動で魔獣の群れの侵攻が止まった。


「今よっ 」


 キャスー、ラン、ミキディがそれぞれ両手で剣を持ち回転する。


「シンフォニー家奥義 三位一体ジェントルデーモン 」


 回転する三人の距離が縮まり剣先が接触する。そこから衝撃波が連続で撃ち出された。それは敵の神将メイスンが使った衝撃波に似ていた。

 その衝撃波を受けた魔獣の群れが弾け跳び地面に叩きつけられ動かなくなる。


「グリューンヴェント 風の旋律 」


 ミナミも、聖剣の力を再び解放しダムを粉砕する。そして、ボトルの燃料をかけ火を点け様としたが、着火の道具を取り落としてしまった。


・・・しまった ・・・


 ミナミは慌てて拾おうとするが、突進してきたエーバーに動きを止められる。


・・・いけない 早くしないとダムが再生する・・・


「春風短冊切り 」


 ミナミは剣を一閃しエーバーを仕留めるが、次から次へと突進してくるエーバーに手を焼いていた。とその時、粉砕されたダムが燃え上がる。

 見ると炎のモーントがダムに拳を命中させていた。


「ハーシッ 大丈夫なのか 」


 ミナミは振り返り、ハーシの様子を伺う。


「はい すいません どうやらモーントがやられると僕の方もダメージを受けるようです 」


 ハーシは、もう大丈夫ですと言い、モーントに命令する。


「モーント・土 」


 土を纏い巨大化したモーントが、魔獣の群れを薙ぎ払う。まるで赤子の手をひねる様に、次々とギガントやエーバーを倒していった。


「ほんと あれ反則ね 」


 キャスーが暴れまわるモーントを見てしみじみと呟く。


「いや でもあれは体力をかなり使う 俺たちが練習してた時、ハーシは一分位しかもたなかった 」


 ドーバが言うように、土のモーントは二分もたずに霧のように消える。しかし、ハーシはすぐにメタルのモーントを出現させ魔獣に斬り込む。


「無理するな、ハーシッ 」


 ドーバが叫ぶ。


「いえ もうすぐ、ショウさんたちがテクノポリスの人達を連れて来てくれる筈です イノ先生やユーナ先生も来てくれる筈 それまでは僕たちがノッコを守らないと…… 」


 ハーシの固い決意にドーバは驚く。


「見直したよ、ハーシ 俺も負けていられないな 」


 ドーバも雄叫びを上げると縦横無尽に剣を振り、魔獣を倒していく。全員が獅子奮迅の動きで魔獣の群れを寄せ付けない。だが、それでも魔獣は次から次へと押し寄せ途切れる気配はなかった。


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