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3-8 迷宮都市グラシアへ向かって

 それから、お昼になったので、ご飯になった。ミランダ達もなんか、干し肉と堅パンだけっぽい。


 ええーっ、何それ。ミランダが可愛そう~、とリオンは思ったが、口には出せない。

 執事さんに言わせると、そういう経験を積ませるように、両親が決めたのだと。なかなかスパルタだ。


 でも、結局パンも乾し肉も堅くて食べられず、ミランダは泣き出してしまった。困った執事さんはジョンソンに何か食べ物を調達できないかと言ってきたが、ここは荒野のど真ん中ですから、と。


 でも、そこへチッチッチッっと、リオンが。右手の一指し指を左右に振りながら。そして、おばさんが作ってくれた、お弁当を取り出した。そしてその上でささっと両手の平で撫でると、お弁当が増えていた。


 みんな目を見張る。にっこり笑うリオン。

「こうやって作り出すのは、魔物素材は無理なの。だからおばさんには、魔物肉はお弁当には使わないで、って頼んであるのよ」

 地球でお馴染みの飲食物など、目を瞑っていても出せる。別に元本がある必要は無い。あればイメージが強くなるだけで。今まで作った物品全て、元本としてアイテムボックスにしまってある。


 ジョンソンが息を飲んだ。これが、どれだけ凄い力なのかこの子はわかっているだろうか? いや、わかっているんだろう。そんな感じで表情が動いていった。

 まあ、どの道パーティメンバーに入れてしまった以上、この子のやる事は受け入れていくしかないわけだが。もう少し、おやっさんから話を聞いておくんだったと後悔しているようだ。


 ミランダは大喜びで、マーサおばさんのお弁当に取り付いた。

「美味しい~」


 気に入ってくれたようだ。大空に、マーサおばさんが笑顔で、親指を立てるポーズをしている姿が見えた気がする。


 午後の行軍ではミランダちゃんはお昼寝モード。ついでに寝つきのいい奴も、轟沈していた。本来ならジョンソンがたたき起こして叱る場面だが、今日のところは寝かせておきたいようだ。多分、彼の精神衛生のために。


 野営に相応しい場所を見つけた。ジョンソンの指示に従い、皆がてきぱき動く。見習いのリオンは皆の動きを見学しつつ、VIPの護衛。2人組は自分のボスのところで、キリキリ働いている。

 

 野営は、基本暗くなるまでに夕食は済ますのだ。必要ならいつでも、野営地を引き払う準備が無くてはならない。


 冒険者13名御者10名商人3名VIP客2名。都合28名分。

 リオンがアイテムボックスに収納してある、ほかほか弁当シリーズの中から、とんかつ・ミートボール・野菜炒めの微妙なプレートと、昔日本のデパートで買った焼きたてロールパン。あとサラダとスープで夕食に。一つ取り出して、人数分に増殖させた。


 ベックのチームの連中は驚愕していた。こんな非常識な魔法は見た事が無いと。


 夜は交代で見張り番。リオンは子供なので、早番をいただいた。10時間を2時間ずつ交代で。子供3人+犬1匹で19時から21時までを担当。最初に3名おき、明け方は起きてる人数が少ないようにして、翌日ぶっとおしになる人間の数は減らしておく。


 実を言えば、超獣のガルちゃんは殆ど寝なくても平気らしい。ただ、リオンにとっては訓練でもあるので。それにガルちゃんの幼体化を解くと、全員が飛び起きる羽目になり、また怒られる。何かあったら、起こしてねと言っておいて、寝た。あっという間に。

 

 何事もなく、夜が明けた。実のところは、ガルちゃんの気配とリオンの魔力の気配にビビって、魔物が寄ってこなかっただけである。

 少し離れて魔物がうろうろしてる気配はあったのだが。あ、なんかヤバイ奴らが来た、早くどっかにいってくんないかなと、様子見していたらしい。後でガルちゃんから聞いた話である。


 朝も色々出してみた。子供向けシリアルにミランダちゃんは大喜び。リオンが日本にいた時は妹がいた。4つ下。丁度、自分とミランダの年の差。ふっと、目に浮かんだ涙を見咎められて、

「リオンちゃーん、どうしたの?」


「ん? あ、いや。なんでもないのよー。それ、美味しかった?」

「うん、美味しいー。こんなの今までに食べた事ないよ」


 はしゃぐミランダに、リオンは微笑が浮かぶのを止められない。あいつの大好きだった、イチゴのシリアル。妹は俺の葬式で、泣いてくれたのかな、などと思ってびっくりした。今まで、心の中でも「俺」などと使った事は無かったので。

 懐かしい感覚に、少し戸惑う。


 一行は問題なく、迷宮都市グラシアへと向かい、問題なく到着した。


 すっかり仲良くなったミランダちゃんは、リオンの首っ玉にかじりついてきて、

「じゃあ、リオンお姉ちゃん、またね!」

 手を振り振り、お迎えの馬車に乗せられていった。この町に住む御爺ちゃんのところへ遊びに来たのだ。


 同じ護衛をこなした2つのパーティは、合同でダンジョンアタックをする事になった。実のところ、ジョンソンは元々ベックパーティにいた。それが独立して、自分のパーティを作った。

 両パーティに同じ孤児院で育った新人メンバーがいる。やらないのが不思議な合同企画。そこにリオンのアイテムボックス。


 収穫だけで行けば、ベックパーティの方が上。ただし、アイテムボックスの提供を計算に入れれば、50:50。それどころか、収入的には数倍になる可能性すらある。安全性も増す。WINWINのプランなのだ。あとリオンの魔法もある。みんな乗り気なのだ。


 リオンにしても、マークやジョニーと久しぶりの再会で、一緒に初仕事。悪いわけなどあるはずもない。みんな、結構浮かれていた。

 この後の展開に向かった事を、誰も責められないだろう。

 一番運命の変わってしまった、リオンですらも。

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