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3-5 出発

 リオンはジェシーについて、街で物資の買い付けに。主に食品を買うのだ。保存食の干し肉と堅いパンだ。あと水に溶けるスープの元。これには野菜の成分が入っていて、壊血病とかを防いでくれる。転生者が発明したのかもしれない。


 ジョンソンは明日からの護衛任務の最終打ち合わせに。ダンジョンまでの時間も無駄にはしない。きっちりと稼ぎつつ、足は確保する。


 そして、ギルドへの届出。誰がいつ、どんな任務で出かけたかの把握のために。パーティーリーダーが行う事になっている。

 ギルドからの仕事の斡旋や依頼、万一の際の非常召集などのためである。これをやっていないと、罰金があるし、留守だと美味しい指名依頼があっても逃す羽目になる。届出してあれば、依頼主が待ってくれていることもある。


 アンソニーはこの手の仕事は無し。飲んだくれてるので、役に立たないのだとか。仕事期間中は飲めないので、ドワーフに対する配慮?


 ロイスがポーション・薬草類のチェック。ブロンソンは武器類関係全般。命がかかるので、手は抜けない。


 買い物についていきながら、女冒険者の化粧の話とかファッションの話とか。リオンの質問がそういう方面に集中するので、ジェシーも苦笑気味だ。まあ強力な魔法を使いこなし、ある程度は剣でも戦えるので、そう心配していないのだろうな。生暖かく見守る感じがするので、そんな風に思っている節がある。


 やがて、宿に帰り、おっさん冒険者達と晩御飯。壮行会のようなものである。

 明日は遠足、もとい初任務。今夜は眠れるだろうか。もちろん、リオンはぐっすり寝ていた。この寝つきの良さは冒険者として、立派な長所だ。

 相談の末、宿は1度引き払うことにした。名残惜しいのだが、留守にする時間が長すぎるので、そうしたほうがいいとロバートに言われたのだ。


 朝ご飯を食べて、元気に出発。宿の食堂で椅子に座って待っていた。みんな、仕度をして降りてきた。


「お早う。早いね」

 ロイスが声をかけてくれた。

「おはようございます!」


「いい心がけだ。新人はそうでなくちゃな」

 ブロンソンが褒める。


「ほっほ。滅多に人を褒めない男が褒めよった」

 アンソニーが笑った。


「ご飯はもう食べてきた?」

 もう世話係が確定したお姉さんから声がかかる。


「はい。それはもうお腹一杯」

 にこにこして、リオンが答える。ついでに、お昼のお弁当も、おばさんが出してくれた。気をつけるように、いっぱい言われて。


「それは、よかった。夕べはよく眠れたようだな。顔色もいい」

 リーダーはメンバーの健康にも気を使うようだ。


 食後のお茶を1杯いただいてから、一行は出発した。


 商業ギルドにほど近い、商人御用達の宿に全員で向かう。既に荷物の手配は済んでいるようで、馬車の預かり所に商人達が集まっていた。


「おはようございます。もう出発準備はお済みですか?」

 ジョンソンが尋ねる。


「おお、ジョンソンさん。あと、もう1パーティ護衛を頼んであります。それと、お客さんが2名。そろそろ見えると思いますが。まだ時間も余裕がある」


 そう言って、道中の護衛の軽い打ち合わせをしている。


 リオンは、これから乗る馬車を検分している。実は、こんな本式の馬車には乗ったことが無い。気になるのは、乗り心地だ。もちろんサスペンションはついていない。

 即席の衝撃吸収のエンチャントで、車輪の衝撃が伝わらないようにする。


 やがて、もう1組の冒険者がやってくる。なんと、驚く事にマークとジョニーが、そこにいた。

「「リオン!」」

 2人とも、目を見開いて驚いている。


「あら~。2人共、久しぶりー。8か月ぶりくらいかな~」

 リオンが孤児院を出たのは3月も終わり。今は5月の中旬だ。日本ならば、もう中学に進学した頃である。


「あらあら、知り合いだったの?」

 ジェシーから声がかかる。


「うん。同じ孤児院だったんだー」

 もう仲間になったんだから、言葉遣いはそうかしこまらないでいいと、みんなから言われていた。


「へえー」


 2人の男の子は、リオンの傍によってきて、

「なんで、お前がここに? その格好は冒険者になったって事か?」


「うーん、訳有りでね。まあ、おいおい話すよ。そろそろ出発時間じゃない?」


 丁度その時、2人のお客さんが来た。1人は8歳くらいの女の子。もう1人は初老の男性だが、祖父と孫という雰囲気ではない。お嬢さんと使用人の人といった感じか。


「皆様、本日より、御世話になります。こちらは、ルマンド海運のお嬢様で、ミランダ様。私はルマンド家の執事で、サミュエルと申します。宜しくお願いします」


 執事さんが挨拶をし、お嬢様も、

「ミランダです。宜しくお願いします」と、ご挨拶。


「リオン、お前はお嬢様と同じ馬車に。ベック。あんたのとこの坊主2人もそっちへ回してくれ。うちの子と顔見知りのようだし」

「はーい」


 ジョンソンからベックと呼ばれた、壮年の冒険者は

「わかった。そうしよう。マーク、ジョニー、聞こえたな。そっちの女の子と一緒にVIPの護衛だ」


「わかりました、ベックさん」

 2人は笑顔で答える。


 こうして、王都からダンジョンの街グラシアへの2日間の旅が始まるのであった。


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