小学生ユーリ~6年生~②
いよいよ卒業式当日です。
リハーサルまでは、学年の最初と最後の子しか練習をしないので、ユーリは初めてみんなの前で将来の夢を言うことになります。
(何回も体育館で練習したもん、大丈夫だもん・・・!!)
開始前に手のひらに“人”を何回も書いて何回も飲みました。
さぁ、始まりです。
初めに、みんなの名前を先生が呼び、1人ずつ立ち上がります。
「幸田千紘くん」
「はい」
「佐伯詩乃さん」
「はい」
「咲野悠璃さん」
「ぁ、はい!」
「はい」は授業でも使うので、ユーリは工夫を重ねて、小さく「あ」と呟くようにすると言えることを発見し、困らないようになりました。
点呼はクリアです。
さあ、いよいよ次は卒業証書の授与と、みんなの夢の発表です。
「佐伯詩乃。おめでとう」
ユーリの1つ前の、詩乃ちゃん。
「私の将来の夢は、ウェイトレスです!」
さあ、ユーリの番です。
ぱたぱたしながら、上手く言えるかな?
「咲野悠璃。おめでとう」
呼ばれて、校長先生の前まで進みます。そして、拍手に包まれながら証書を受け取ります。
一礼してから後ろを向き、階段まで進んで。ゆっくりぱた、ぱた。
「私の将来の夢は!かっ・・・
・・・・・・か・・・看護師さん、です!」
言えた!言えたよユーリ、やったね!
ずっと緊張していたユーリの顔に笑顔が浮かびます。
まだ控えているとわちゃん、あいちゃんも小さく拍手をしてくれていました。
卒業式はどんどん進みます。
「瀧本愛。おめでとう」
いっしょにぱたぱたすると言ってくれた、あいちゃんです。
「私の夢は、海外のオーケストラに所属して、世界一の、バイオリン奏者になることです!」
(すごい、あいちゃんバイオリンずっと習ってたもんなぁ・・・)
「祭都和。おめでとう」
こちらはとわちゃんです。
「私は、調理師になるのが、夢です!」
(とわちゃん、お菓子作るの上手だったなぁ。あたしも何か作ってみたいな・・・)
2人とも宣言通り、両手をぱたぱた動かしながら大きな声で言えました。
式は順調に終わり、保護者や在校生、先生方の大きな拍手に包まれて退場します。
教室で、ユーリは2人にありがとうを何回も言いました。
「ちゃんと看護師って言えたねユーリ。もう大丈夫だよ、この方法で行けば、なんでもできるよ!」
「中学校は離れちゃうけど、ずっとずっと友達だからね、ユーリ。時々遊ぼうね。携帯買ったら絶対アドレス教えてね!」
「あいちゃん、・・・ぉ、わちゃん、あっ、ありが、とう。あたしも、2人のこと、だ、だ・・・大好き、だよ!ずっと、励まして、くれて・・・あぁぁぁ・・・あああ、りが、とう」
「な、泣かない、でよ、あ、あたし、だっ、て、我慢、してるん、だか、ら、ねっ」
「ユーリー、とーわー。離れたくないよぉ、あい3人で一緒に中学校行きたいよー」
最後は3人とも泣いてしまいました。
輪になって、肩を組んで、おでこを寄せ合って。
大粒の涙をぼろぼろこぼして、泣いています。
校区の関係と家庭の事情で、3人はそれぞれ別の中学校に進みます。
ユーリとあいちゃんは公立中学校の第一と第二に、とわちゃんは中高一貫の私立に通うのです。
でもユーリ、今は大泣きしてるけど、負けないよね。
どんなに離れていても、こんなに良いお友達がいるんだからね。




