決着の世界の真の女神
ヤオンの最後の戦いが神の世界を変える
ヤオンは、白牙に言う。
「百爪と連絡して、ホーリースクエアをこことリンクさせて」
それを聞いてエーゼットが言う。
「確かに必要よね。私と貴女の決着次第で、そのあり方が変わるんだから」
白牙が言う。
『繋がったぞ』
その声と共に、ホーリースクエアの四柱、時空神新名、大天神天包布、大海神金海波、撃破戦神蒼貫槍の虚像が現れる。
『遂にここまできたみたいね』
金海波の言葉に天包布が続ける。
『早く、決着をつけるのだな』
するとエーゼットが告げる。
「そういう、余裕の態度をとって居られるのも後僅かよ。私が八百刃として復活した時、貴方達は、私の配下となるのだから」
それに対して蒼貫槍があっさり答える。
『元より、私は、八百刃の配下だ。何も変わらない』
そして、新名がヤオンを見る。
『私は、八百刃を信じています』
その言葉にヤオンが苦笑する。
「あっちも八百刃の分身なんですけどね」
そして、エーゼットが九尾鳥の弓を構える。
「さあ、勝負よ!」
ヤオンが頭を掻く。
「まさかと思うけど戦って決めるつもりだった?」
それを聞いてエーゼットが言う。
「戦神で私達にそれ以外に決着があると思ったの?」
ヤオンが大きく頷く。
「普通に考えれば、ここで戦ってもお互いの力を削りあい、最終的には、自分の力を失うことにしかならないよ」
エーゼットが嫌な顔をする。
「それでは、どうするつもり?」
ヤオンが手を差し出して言う。
「ただ手を握るだけで十分。そして、お互いの分身を取り合い続けて、最終的に一つになった時、どっちがメインになってるかで勝負が決まる。単純でしょ?」
あっさりした様子のヤオンにエーゼットが問う。
「何か、策略があるんじゃないのかしら?」
ヤオンは、苦笑する。
「自分を騙せるわけ無いでしょ」
その一言に納得してエーゼットが手を握り返す。
そして、二つの存在がお互いの分身を取り込み始めた。
最初は、戸惑ったエーゼットであったが、十分に勝算があった。
ヤオンは、存在していた世界も甘く、残酷な目にもあっていない。
それに引き換えエーゼットは、地獄を見てきた、そしてそれが自分の意思を強くしたとエーゼットが疑わなかった。
その上、エーゼットは、ヤオンが色々と遠回りをしている間に効率的に分身を集めていった。
純粋な力ならエーゼットの方が圧倒的に有利。
それが、この勝負にとって重要なファクターでもあったからだ。
しかし、結果は、異なっていた。
エーゼットがいくら取り込もうとしてもヤオンが取り込んだ分身を奪い取れず、逆に自分が取り込んだ分身達は、ヤオンにと一つになっていく。
そして、エーゼットが気付いたときには、自分を除く全ての分身を奪い取られていた。
それに気付いたエーゼットは、手を離す。
「卑怯者! どんな汚い手を使ったの!」
ヤオンが真剣な顔で問い掛ける。
「戦いで卑怯なんて物があると思ってたの?」
エーゼットは、苦々しい顔をして言う。
「しかし、どうしてこんな結果になったの! あたしの方が意思の力も強く、多くの分身を取り込んでいた筈よ!」
それに対して白牙が答える。
『エーゼット、お前は、分身達の大半を無理やり取り込んだだろう? そんな状態でお前の真の力になると思ったのか? ヤオンは、常に相手のことを考えて、その上でひとつになっていったのだ』
悔しそうな顔をしながらエーゼットが言う。
「それでも、私の方が多くの地獄を見てきたわ! その私が意思の力で負ける訳がない!」
ヤオンが自分の胸を押さえて言う。
「あちきは、ヤオンであってヤオンじゃないの。確かに大本は、ヤオンだったかもしれない。でも多くの分身と一つになって、その記憶と思いも一緒になっていった。それが今のあちき。常に自分を中心に置き続けた貴女に意思の力で負ける訳が無い」
信じられないって顔をするエーゼットが叫ぶ。
「そんな訳ない! 私は、最強の分身だった筈!」
それを聞いてヤオンが言う。
「そこがおかしいのよ。八百刃は、最強なんて求めないのだからね」
その一言にエーゼットが戸惑う。
「どういうことよ!」
ヤオンが白牙を見て言う。
「八百刃は、多くの力を集めて、その結果で多くの存在を助ける意味が籠められている。最強なんて物は、必要としない」
愕然とするエーゼットにヤオンが告げる。
「そして決定的だったのは、その独立性。あちき達は、対等であるべきなのに、貴女は、個を大切にし過ぎて、孤立した。貴女は、あちきじゃない!」
エーゼットがひざまつく。
「それじゃあ私は、何だというのよ!」
それに対してヤオンが言う。
「その答えは、貴女が答えてくれるんでしょ? デビルトライアングル、最後の一人、無法神無色器さん」
その言葉に答え、無色器の本体が現れる。
「何時からあたしがエーゼットに干渉していると気付いたのですか?」
ヤオンが紫縛鎖との戦場を指差して言う。
「エーゼットが使った技です。あれは、私が、閉鎖世界で滅ぼしたはずの極無神の力でした。そして、貴女は、その眷属なんでしょ?」
その一言にホーリースクエアも驚く。
『極無神側の存在は、全て排除した筈だ!』
蒼貫槍の言葉にヤオンが頷く。
「そうですね。極無神を復活させて、一気に戦局を覆そうとした愚か者達は、排除されたと思います。しかし、復活する以前からの極無神の眷属は、その対象とは、ならなかった」
無色器が頷く。
「そう、私は、極無神が始祖神様であった時から仕えていた者。愚か者達の為に、不完全な形、極無神として復活したあのお方を正しい形で復活させる為、もっとも始祖神に近い心と力を持つ八百刃の分身の一つに極無神の力の一部を植え込んだのです」
『始祖神とは、なんだ? その様な存在を私達は、知らないぞ』
天包布の言葉に無色器が言う。
「全ての神の根源。その力を辿っていけば全ては、始祖神様に辿りつきます。極無神は、あくまでその力を多く持っていただけの存在でしか過ぎません。真に始祖神様に近づける存在は、八百刃、貴女だけです。そして、新たな始祖神となり、この神々の失敗で歪んだ全ての世界を無に返し、全てを新たに作り直すのです」
それを聞いて金海波が言う。
『御高説、ありがとうございますね。でもヤオンが貴女の企みに気付いた今、その達成は、不可能よ!』
それに対してヤオンが言う。
「ところがそうじゃないんだよ。エーゼットは、完全に極無神の欠片と融合しているから八百刃が完全に復活するには、どうしても無色器の予定通り、エーゼットと一緒に極無神の欠片とも一緒にならないといけないんだよ」
それを聞いて新名が言う。
『完全復活しなくても八百刃の力なら、十分な筈です』
ヤオンは、首を横に振る。
「それも駄目。一つでも欠けたら、あちきの力は、そこから漏れて行く。とても元の力を取り戻すことは、出来ないよ」
白牙が無色器にその牙を突きつける。
『まだだ、滅びたくなければ、エーゼットから極無神の欠片を抜き取るんだ!』
しかし、無色器が平然と言う。
「どうぞ、お好きなように。私は、元から他の神々と一緒に一度滅びる定め。そして新たな始祖神の元、再生されるのを待つだけです」
悔しそうにする白牙。
そんな中、極無神の欠片と融合した邪魔なパーツとなったエーゼットが悔しげな顔をしていた。
「私は、所詮は、始祖神を復活させる為のパーツでしかないのね」
そんなエーゼットにヤオンが近づき言う。
「違うよ。エーゼット、いえ、覚醒する前の名前を呼ばせてもらうよ、ヤエ。貴女が体験した思いは、貴女だけも物であり、それは、八百刃の大切な力の一つになるの」
エーゼット、ヤエが言う。
「まさか、私を取り込むつもりか?」
ヤオンは、首を横に振る。
「違うわ、一つになるだけよ」
そして、ヤオンとヤエは、一つになり、八百刃が復活する。
それを見て無色器が言う。
「遂に始祖神様が復活なされた!」
同時にホーリースクエアも確信した、それがいままでの八百刃と一線を引く存在と言う事に。
蒼貫槍が呟く。
『これで、神々も、人間も、全ての世界が終わるのか』
白牙が八百刃を見上げて言う。
『八白刃……』
八百刃は、無色器に近づき言う。
「ご苦労様。貴女の苦労は、極無神の欠片から伝わってきたわ」
それを聞いて無色器が頭を下げる。
「勿体無い言葉でございます」
そして金海波が叫ぶ。
『八百刃! 貴女は、全ての世界を本当に滅ぼすと言うの!』
重い沈黙の後、八百刃が告げる。
「まさか、あちきは、八百刃、始祖神では、無いわ」
それを聞いて驚いたのは、無色器。
「馬鹿な、始祖神様の魂の力は、絶対の筈!」
八百刃が告げる。
「そう、始祖神の魂は、あちきの中に確かにある。そして全ての世界を正すために一番簡単な方法は、一度全ての世界を滅ぼす事と告げている。そしてあちきも歪みを正すべきだと考えている」
「でしたらどうして!」
無色器の訴えに八百刃が言う。
「あちきは、簡単な方法に逃げたりしない。どんなに難しくても、今の世界のまま歪みを正す。それがあちき、八百刃の答えよ!」
それを聞いて新名が嬉しそうに言う。
『やっぱり私が信じた八百刃でした』
無色器が呆然としている間に天包布が言う。
『それで具体的にどうするつもりだ?』
それに対して八百刃が言う。
「あちきを頂点とし、その下に貴方達極神をつける。今まで見たいな最上級神なんて逃げは、しない。貴方達は、自分の得意とする分野の頂点としてその力を使うのです」
それを聞いて蒼貫槍が言う。
『私は、元からそのつもりだ』
続いて金海波が言う。
『私も八百刃の下だったら構わないわ』
新名も頷く。
『私は、八百刃を信じていますから問題ありません』
最後に天包布が言う。
『お前が正しい行動をとっている間は、お前に従おう』
そしてヤオンは、無色器に告げる。
「古き時しる貴女には、新たな大地神として過去を司ってもらう。従ってもらう」
無色器が改めて頭を下げて言う。
「拝命いたします、新たな始祖神、八百刃様」
こうして、七極神時代は、終わりを告げた。
復活した八百刃は、真極獣神八百刃と呼ばれる様になり、その下の五人の極神を従え、世界の歪みと戦い続ける事となる。
俗にその時代を真極神時代という。
六極神時代のをそのまま流用した八百刃の神殿。
大量の情報を持って八百刃の執務室に入る白牙。
「八百刃様、新しい情報が送られてきました」
それを聞いて八百刃は、真面目に仕事をしながら言う。
「解ったわ。そうそう、そこのは、もう私のチェックが終わってるから、処理をお願い」
「了解しました」
白牙は、そう言って、資料に手をかけた時、八百刃の方を向いて言う。
「今、私と言いませんでしたか?」
すると八百刃が頷く。
「私と言いましたけど、どうかしましたか?」
白牙は、爪を伸ばして言う。
「ヤオンは、どこに抜け出した!」
それを聞いて、ヤエがメインになっている八百刃が言う。
「美味しい卵料理屋の情報が入ったからって、食べに行ったわよ」
白牙が怒鳴る。
「散々偉そうな事を行っておきながらサボるとは、良い度胸してやがる。絶対に捕まえてやる!」
駆け出していく白牙と入れ違いに入ってきた九尾鳥が言う。
「分身に分かれた効果で、短時間なら一つ分身が抜けた所で問題ないのですから好きにさせて良いと思うのですがね?」
それに対してヤエが言う。
「結局、ああいうのが好きなのよ。お互いにね」
苦笑する九尾鳥。
「そうですね」
そんな九尾鳥にヤエが言う。
「エーゼットの時は、無理に働かせたわね」
その言葉に九尾鳥が首を横に振る。
「気にしないで下さい。全ては、自分で選んだ道です」
「ありがとう。ところで白牙の代わりにそこの情報をお願いして良い?」
ヤエが言うと九尾鳥が頷く。
「お任せ下さい」
「やっぱ、卵料理は、美味しい」
ヤオンが嬉しそうに卵料理を食べていると後ろから声がする。
『お前は、神々のトップとしての自覚は、無いのか!』
「白牙! もう見つかったの!」
ヤオンが逃げ出し、それを白牙が追いかけていく。
真極神時代になっても変わらない八百刃と白牙であった。




