復讐の世界の卵好き王女
紫縛鎖と金色覇の極神タッグにヤオンは、勝てるのか?
ヤオンの元にホーリースクエアの一柱、撃破戦神蒼貫槍の分身が訪れていた。
「紫縛鎖と金色覇が同じ場所に居る。そして、貴女の分身を人質に貴女をおびき出して滅ぼすつもりみたいだ」
それを聞いてヤオンが確認する。
「捕まったのってどんな分身?」
それを聞くと、蒼貫槍が言う。
「料理が盛んな世界の卵を名産とする国のお姫様をやっていたらしい」
白牙が呆れた顔をして言う。
『目的がバレバレな分身だな』
ヤオンは、うらやましそうな顔をしているが、それを無視して蒼貫槍が言う。
「戦力を集めて強襲する案も出たのだが、ピンチに陥れば手元の分身だけでも滅ぼそうとするかもしれないので止めた」
ヤオンが頷く。
「そうだろうね。ここは、あちきが単独で行くよ」
蒼貫槍は、苦笑してから言う。
「我ながら随分と無駄な心配をした。貴女にとって力差なんて物に意味が無いことくらい自分の身で知っているというのに」
そのまま消えていく蒼貫槍の分身。
『実際問題、どうする?』
白牙の質問にヤオンが言う。
「正面から行くよ。下手な小細工は、分身を処分させる事になりかねないからね」
そしてヤオンが行動を開始する。
「間違いなく来るのだろうな?」
八百刃の分身に手を出せない事に苛立ちを感じながら紫縛鎖が言うと、金色覇が言う。
「当然だ。八百刃にとって分身の回収こそ、最優先事項。そして、他の極神達は、ここにいる分身が処分される事を恐れて手を出せない。完璧な作戦だ」
それを聞いて鳥かごみたいな物に入れられた八百刃の分身、ヤンが言う。
「そうかな? かなり穴がありそうな気がするよ」
金色覇が力を籠めると鳥かごが電撃を放つ。
「黙っていろ。その鳥かごは、私の力で維持している。私以外に開ける事は、出来ない。それ故に私と戦わって勝たない限りお前を解放する事が出来ない」
ヤンが痺れた体で外を見る。
そこには、紫縛鎖と金色覇の使徒達が八百刃を迎え撃つために待っていた。
そして、その戦陣が崩れる。
一匹の大きな狼、闘威狼が使徒達を次々に蹴散らしていく。
金色覇が指示を出す。
「直接戦闘を行うな! 距離をとって削り滅ぼせ!」
金色覇の使徒達が命令に従うが、その途端、遠距離からの攻撃が決まる。
「攻撃元を探して、滅ぼせ!」
新たな命令に従おうとする金色覇の使徒だったが、その行く手を闘威狼が防ぐ。
「連携て言うのは、こういうのを言うんだよ」
ヤオンの声が金色覇達の居る城の広間に響く。
「もう来たか」
紫縛鎖が即座に自分の力の象徴である紫の鎖を放つ。
その中、金色覇が詰問する。
「どうしてだ、パワーだったら私の使徒の方が数段勝っている筈だ!」
それに対してヤオンは、紫の鎖を避けながら答える。
「闘威狼の力は、相手の力に応じてパワーアップする。そして、遠距離の相手に対しては、直接戦闘力の低いけど数居る使徒がじっくり力を溜めて攻撃する事で対処する。弱点を補い合う事で総合力が劣ろうと、勝つ方法なんていくらでもあるんだよ」
悔しそうにする金色覇が金色の光を放って攻撃を開始する。
「ここでお前を倒せば、あの八百刃獣の活躍も意味が無いわ!」
ヤオンは、刀に変化させた白牙を使って、金色の光を逸らしながら間合いを取る。
「八百刃、お前だけは、決して認めない!」
紫縛鎖の執拗なまでの攻撃にヤオンが押され始めた。
「これでお終いだな!」
勝利を確信しながら金色覇が光を放つ。
しかし、その時、青き矢が間に入り、ぶつかり合い、膨大な水蒸気を発生させる。
「誰だ!」
金色覇の言葉に、弓と化した九尾鳥を構えたエーゼットが答える。
「八百刃の分身は、ヤオンだけじゃないって事よ。ヤオン、一時休戦だ」
「了解」
あっさり頷くヤオン。
舌打ちする金色覇。
「紫縛鎖、お前は、後から来た奴を相手しろ。私は、こっちの分身を相手にする」
「終わったら、そっちもやるぞ」
紫縛鎖は、そう言ってエーゼットとの交戦を開始する。
「私に恥をかかせたお前だけは、私の手で倒す!」
収束された金色の光が連続して放たれるがヤオンは、間合いを取りながらかわす。
「どうした、逃げてばかりでは、戦神としての名が泣くぞ」
有利に進む展開に金色覇が挑発するとヤオンは、逆に質問を返す。
「戦神を名乗る貴方は、戦いとは、何だと考えているの?」
金色覇は、自信満々に答える。
「戦いとは、相手に打ち勝つ事。数の有利や人質等どんな手を使おうとな!」
ヤオンは、首を横に振る。
「違うよ。戦いとは、目的を達成すること。どんな手を使ってもね」
金色覇が苛立ちを籠めた強烈な金色の光を放ちながら言う。
「それにどれだけの違いがあるというのだ!」
ヤオンが苦笑する。
「それが解らないから、貴方は、負ける」
「逃がすか!」
紫縛鎖は、そう叫び、八百刃の分身が捕らえていた鳥かごに向かって紫の鎖を放つ。
「やらせないわよ!」
しかしエーゼットの放った金の属性の矢が方向をずらす。
その間に、影を進む鬼、影走鬼と共に密かに移動していたヤオンから分かれた分身の一体、バイがその剣を鳥かごの結界に突き刺しながら強引に進入すると姫様の姿をした分身を覚醒させる。
「力を合わせて脱出するぞ!」
ヤンが頷く。
「解りました!」
そして、二人は、見事に金色覇の作った鳥かごから脱出する。
その様子を見ていた金色覇が戸惑う。
「馬鹿な、私の力で作った鳥かご、分身などの力で脱出出来る訳がない!」
それに対してヤオンが答える。
「貴方が力を無駄遣いしていない時なら確かにそうかもしれないけど、あちき相手に無駄弾を連発してる状態なら十分に可能なんだよ」
「逃げるぞ!」
エーゼットがそういって九尾鳥の弓から複数の矢を放ち、複雑な属性をもった煙幕を作り上げて、逃走を開始する。
「逃がすか!」
金色覇と紫縛鎖が逃げようとするヤオン、エーゼット、バイ、ヤンを捕らえる為、力を分散させた。
「この瞬間を待っていたのよ!」
逃げているはずのエーゼットが金色覇と紫縛鎖が力を放ったのと逆方向に立ち、溜め込んでいた力を一気に解放し、九種の矢を同時に射る。
「避けきれない!」
金色覇は、焦っていた。
例え分身でも、八百刃の攻撃をまともに食らえばただで済むとは、思わなかったからだ。
「高速で上昇しろ!」
紫縛鎖がそう助言すると自らも上昇を開始する。
金色覇もそれに従う。
紫縛鎖は、自分達を追尾してくるエーゼットの矢を見て言う。
「下手に複雑な回避するより、こうやって単純な回避行動をとる事で、敵の攻撃の方向を絞り込める」
「なるほど、それで、それからどうする?」
金色覇が尋ねた時、その体に紫縛鎖の鎖が巻きつく。
「こうやってお前を盾にすれば、私は、安全だ」
「裏切るのか!」
金色覇の言葉に紫縛鎖が言う。
「元から仲間のつもりなど無い。お互い損得勘定だけのつながりの筈だぞ」
次々と刺さるエーゼットの矢は、金色覇の力を効率的に分断していく。
力の大半が分断された金色覇の核に最後の矢が迫る。
「嫌だ! 私は、神々を覇するものの筈だ!」
エーゼットの矢が刺さると核を破壊されて落ちていく金色覇。
紫縛鎖は、その様子を観察して言う。
「恐ろしい技だが、同じ手は、通じない」
そして、周囲の気配を探るが、ヤオン達の気配は、消えていた。
「ありがとう、助かったよ」
ヤオンがエーゼットに手を差し出すとエーゼットが二回目の煙幕の際に分かれた分身と一つになりながら言う。
「馴れ合うつもりは、ないわ。それより、今回の分身は、金色覇を倒した、私が貰う。文句は、無いわね!」
ヤオンがヤンを見て言う。
「一応、貴女の意見を聞いておきたいんだけど?」
ヤンは、少し悩んだ後、言う。
「問題ありません。どうせ、最後には、一つになるのですから」
その言葉にエーゼットが頷く。
「そうだ。最後には、お前か私、どちらがメインになるか決める事になる。覚悟をしておくが良い」
ヤンを取り込んで消えていくエーゼット。
「ほぼ間違いないな?」
バイの言葉にヤオンは、頷きながらバイと一つになる。
子猫の姿になった白牙が言う。
『前から気になることを言っているが、エーゼットに何があるんだ?』
「あちきは、自分がメインになりたいと思わないって事だよ」
ヤオンの答えに白牙が驚く。
『それでは、奴がメインでも良いというのか?』
「そこが問題なんだよ」
複雑な表情を見せるヤオンであった。
次の復讐の機会を求めて紫縛鎖も去った後、崩壊を続ける金色覇が足掻いていた。
「私は、まだ滅びぬぞ」
そんな金色覇の前に無色器が現れた。
「丁度良い、お前の力を貸してくれ。復活したあかつきには、あの裏切り者の紫縛鎖を排除し、二人で神の頂点を奪い取ろうでは、ないか!」
金色覇の言葉に無色器が告げる。
「その威力、間違いなく、あのお方の力を覚醒させている。貴方の役目は、終わったわ」
その手の中に広がる力を見て金色覇が驚愕する。
「その力は、お前は、あれの眷属か!」
無色器がそれに答えず力を解き放ち、金色覇を完全に滅ぼすのであった。




