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最強育成計画  作者: くりーむ童話
1/6

#1

 パソコンの画面の中にはステータスをカンストさせ、スキルとアイテムをコンプリートさせた自分のアバターの姿が映っている。


"はぁ、またやることなくなったなー"


 育成に力を入れているというオフラインのゲームをやってみたが、やっぱりしっくりこない。

 確かに楽しめた、が、それでも2周もすれば飽きがくる。

 今回のゲームは3ヶ月もったからいい方か、と俺は自分を納得させる。


 俺はキャラ育成系のゲームが大好きだ。

 特に好きなのが育成したキャラを戦わせるタイプだ。

 こういうゲームは魔法とかスキルとか武器とか、キャラを育成した結果がわかりやすいのがいい。

 そして有効なスキルや魔法の組み合わせを探すのがまた楽しみで、まったり系の育成ゲームにはない楽しみ方ができる。

 だけど、勘違いして欲しくないのがキャラを育成するのが好きであって、育てたキャラで無双するのが好きではないという点だ。

 確かに最強のキャラを育成するのがライフワークと言ってもいいくらいだが、育てたキャラで俺Tueeeeをするのは余り好きではない。

 そりゃ、最初の1,2回くらいは楽しめるかもしれないが、それ以降はただ出てくる敵を倒すだけのの作業ゲーになるだけだからだ。


 いっそオンラインのゲームをやろうかとも思った。

 オンラインのゲームなら思ったように育てられ、長く遊べるかもしれないが、作業量が半端なくなる。

 時間に余裕がある学生時代ならのめり込んでやっただろうが、今は社会人。使える時間なんてたかがしれてる。

 だけど、オフラインのゲームでは物足りないのも事実。


"どうすっかなー"


 当分は自分に合ったゲームは発売予定にもないし、と思いながらネットの大手通販サイトで物色する。


"いっそレトロゲーでもやるか"


 そう言えば、と思う。

 自分がこういう育成ゲームが好きになったのは、某大作ゲームのシステムだったと思った。

 職業を転職するという今ではありふれたシステムを始めて実装したそのゲームは、子供の頃の自分に衝撃を与えた。

 魔法を使える戦士、回復魔法が使える盗賊、剣を使える魔法使い、自分の中に知らず築き上げていた固定概念のようなものを木っ端微塵にしたそれを今でも鮮明に思い出せる。

 楽しかったなー、と今でも当時の思い出に浸る。

 時間を忘れてキャラを育てて、今のように攻略サイトがなかった当時は試行錯誤を繰り返してキャラを育てた。

 見たことない発見があって一喜一憂したのもいい思い出だ。


"よし、ここは初心に帰ってみるのも一興"


 当時のゲームをするハードが今はもうないため、最新のハードにソフトをダウンロードする形式の購入方法を選択する。

 目当てのゲームを見つけ、幾つかリメイク版もあったが最もシンプルな最初に発売されたタイプを選ぶ。名作リメイクと名高い2番目を選ぼうかとも思ったが、ここはやっぱり最初にやった方にする。

 幸い値段は当時に比べて大分お手ごろになってるのでこっちをやった後で気が向いたらそっちもやろうと思ったのもある。

 電子マネーが引き落とされたのを確認して、ダウンロードし始める。

 しかしダウンロードが全然始まらないため、何かおかしいと思って確認するとダウンロード時間を確認すると2時間半となっていた。はぁ!?と思ったが、どうやら丁度人気ゲームの発売日だったらしくダウンロードサーバーが混み合ってるようだった。

 ついてなーい、と思いつつ適当に暇をつぶすかと思った瞬間を見計らったようにポケットに入れていたマナーモードにしていた携帯が震えだした。

 仕事か!?と嫌な顔をしたがどっかの広告のフリーメールだった。

 何だっと思って普段通り放り出そうとしたのだが、その題名が妙に気になったので目を留める。


『育成自由度無限大!ファンタジーな世界で暮らしてみませんか?』


 ゲームの広告なようだが中身を見てもサイトのアドレスとファンタジーな世界で自由度の高いという簡単な説明だけでゲームのタイトルすら載っていなかった。

 何て不親切な広告、と思ったが何だかそれが逆に興味を惹く。そのアドレスにアクセスし、公式ページを開くとゲームの公式ページにしてはやたらと簡易なデザインのページが開く。


『エリン』


 恐らくゲームのタイトルだろう飾りっ気のないゴシック体で『エリン』と大きく書かれており、その下にメニューらしきものが書かれている。

 背景も何もなく真っ白な背景に文字だけで構成されたシンプルさを突き詰めたと言えば聞こえはいいが手抜きと紙一重じゃないかと思えるページだった。


"今時中学生だってもうちょっとまともなページ作るだろうに……"


 絵文字すらなくロゴすらゴシックフォントででっかく書いてるだけってどうよ、と悪態をつきながらゲームの説明ページを読んでいく。

 恐らく携帯からでも出来るブラウザーゲームなのだろうが、これならオンラインほど手間が掛からずじっくり育成ゲームを楽しめるかもしれない、と思い始める。

 今まで携帯は煩わしいって理由で仕事と友達との連絡以外はほとんど活用していなかったが、これはいいかもしれないと俺は取り合えずこのゲームの説明を見ていく。

 トップページからしてあれだから中身もどんだけひどいかと思っていたのだが、説明ページはかなり充実していた。画像もあり、説明を要領を得たもので分かり易く見やすい、何でトップページにもうちょっと力入れないのか、と思うほどだ。


 世界観の説明を要約するとゲームタイトルにもなっている『エリン』と呼ばれる異世界に行きプレイヤーは生活するというものだった。

 ここでの生活は文字通りの意味であり、未知の秘境を求めて冒険に行くのもよし、一生を職人として作品の探求をするもよしというものだ。プレイヤーはゲーム内時間で加齢していくためそれぞれの人生を歩むのがこの『エリン』のウリらしい。

 また『エリン』には2種類の神々の陣営があり、それぞれ世界の覇権を巡って争っているらしい。

 ダナンの王『ヌアザ』は人と妖精族を束ね、ユグドラシルの軍神『オーディーン』は巨人と竜を率いており、プレイヤーは基本これら2つに『闇』と呼ばれる勢力とどれにも属さない『無所属』の4つの派閥の中からどれかを選ぶことができるようだ。

 『闇』については詳しい説明はなく全く不明、無所属にいたっては何も書かれていなかった。


"プレイヤーはモンスターも種族として選べるらしいから、『闇』は敵陣営側なんだろうなー、ロウ、ナチュラルで言うところのカオス陣営というか"


 モンスターを育てるというものに若干心惹かれる部分あったが実際にメイキングするときは多分選ばないだろうなー、と思う。

 こういう多人数参加型ゲームはコミュニケーションも楽しみの一つだがゲテモノ系の見た目ではネタにしかならないだろうってのが理由の一つ、マイナーなモンスターにしようものなら装備品とか制限されたりしそうなのが一つだ。


"取り合えずキャラ作ってみるかー、基本無料みたいだし、気に入らなかったら放置すればいいし"


 説明欄をざっと端から端まで流し読みした俺はそう思い、キャラ作成を始める。


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