登場
ヤギシフ本社をあとにした古賀は、とあるバーへ向かう。
そのバーはヤギシフによって経営が成り立っており、御庭番衆などヤギシフの幹部たちの溜まり場となっている。古賀も何度か来たことがある。
会長の話によると目当ての人物はここにいるとのこと。古賀は運動がてら歩いて行くことにした。
十分後、早くも看板が見えてきた。初めて会う、しかも自分より立場が上の人物。古賀は少し緊張しながらオープン・ザ・セサミ。
「いラっしゃイ」
バーテンがカクテルを作っている。奥に客が二人。
古賀よりいくらか年上と思われる男女。二人とも相当な美形である。
「よう、お前が古賀か。社長から聞いてるぜ。よろしく」
「古賀です。こちらこそよろしくお願いします」
席を勧めつつ男が声をかけてきた。彼が永劫のようだ。ということはもう一人の女性こそ刹那その人である。
「ん?」
永劫の隣に座っていたはずなのにいなくなっている。たった今見たばかりなのに。
キョロキョロする古賀の首筋に不意に冷たいものが当たる。思わず声をあげて飛び上がってしまう。
「刹那。よろしく」
カクテルのグラスを持った刹那が後ろに立っていた。その指はまるで白魚のようだ。
それにしても全く気配がしなかったうえに、永劫に気をとられた一瞬で背後をとるとは……。古賀はAクラスの御庭番衆に恐怖を覚えた。
「よ、よろしくお願いします」
「ほらほら、あんまりおどかしてやるなよ刹那」
永劫が刹那の手をとる。刹那はしぶしぶといった様子でカクテルを古賀に渡す。社長から聞いてはいたがこれはリアルにカップルだ。
「あの、明日の段取りは?」
ヤギシフ幹部たちの大事な話し合いはここで行われることも多い。聞かれて困る相手がいないからだ。
「明日の相手はただの組。でも、トクナガの御庭番衆についての入れ知恵をした奴がそのバックにいるはずだ。多分アンザイだろうな」
頭をかきながら永劫が答える。
「アンザイ社長は日本での勢力拡大を考えているものと思われる。今日のデマも彼の計画のうちとみて間違いない。先ほど電話で社長がそう仰っていた」
刹那がそれに続く。息がぴったりフィットだ。
それにしてもさっきの戦闘は無駄だったのかと古賀は肩を落とす。
「だから明日はアンザイの御庭番衆との戦闘も考慮して、俺、刹那、お前と後はBクラスを何人か連れていこうと思う。その件については会長からも一任されてるからな」
どうやら思っていたより何倍も凄い人達のようだ。古賀はAクラスの格の違いを感じた。




