首領
豪華絢爛な会長社長室が古賀を迎える。ここから見下ろす下界は強者のみが許される絶景。
会長と社長はソファーに腰掛けて待っていた。親子関係は上々のようでなによりだ。
古賀は作戦の顛末を二人に報告する。任務を完璧に遂行したからか、どこか清々しげだ。
「お疲れ。よくやったな」
古賀をねぎらうヤギシフ社長。電話の声も彼だったようだ。それに対しうなずきつつ古賀は語る。
「はい。トクナガの御庭番衆が来日しているというのはガセだったようですね」
会長が古賀にコーヒーを淹れ、渡した。
「どうやら取引していた二つの組を潰そうと考えた、別の組の企みらしい。ヤギシフを舐めるとは命知らずな」
会長は本気で忌々しく思っているようだ。自分の御庭番衆を喧嘩の道具にされたのだから。ちなみに社長の口調は父に似たらしい。
「古賀、悪いが明日はその組の討伐に行ってくれ。場所は隆夫が調べてくれた。今回の件でキミにもそろそろBの位をやろうと思っているんだ」
「ありがとうございます」
社長こと隆夫も異論がないようだ。古賀に追加で指示を出す。
「今からキミはヤギシフ御庭番衆Bクラスだ。明日はAクラスの面々の指揮下に入ってくれ」
Aクラス。そこの上司となると強者と噂される刹那と永劫がいたはずだ。先ほどの電話で先輩がお待ちかねと社長が言ったのはこの二人に挨拶にいけということなのだろう。
「それでは、失礼します。」
古賀は会長社長室をあとにした。