門の開く時
アグライアの丘の斜面に、我々は腰を下ろしていた。カウスメディアの街の明かりは、すべて消されていた。誰もが、全天を埋め尽くす光の世界に心を奪われているのであった。初めて頭上に開けた神の領域は、夜になって、まるで街の灯のように、しかしそれにも増して眩く清らかな光の宝石で覆われた。それは、昼の目を灼くような輝きの嵐とは違って、柔らかく穏やかな、慈愛に満ちた光であった。
「……まるで、光の砂を振り撒いたようですね……」
囁くようにクリスが言った。
「……そうだな……」
私には、それ以上言う言葉が見つからなかった。天の光は、風がそよぐ度に水面のように瞬いていた。それは、息を吹きかければポトリと天から落ちてきそうな気がして、私は息を潜めた。
「……あれは一体何なのでしょうか?……」
ラムが呟いた。
「さあてね、私にもわからん……」
博士だった。
「……しかし、正体がわからなくとも、あの美しさは万人が認めるだろう……」
ザウテルが言った。彼も、忘我の境地を彷徨っているようであった。
「……だが、美しい、だけでは人は満足しない。いずれ、あの光の正体をも、人は必ず探り当てるだろう……人とはそういうものだ……」
博士の言葉は、我々にというよりはむしろ、自分自身に向けられたような響きを持っていた。
「……ですが、あれは、雲の天蓋より更なる高みにあるのですよ。そんなところまで人が行くことを、主はお許しになるでしょうか?」
ザウテルは言った。私は博士を見た。暗がりの中で、瞳が天の光を映していた。
「……私には、主の意志はわからん。だが、主が我々から『知』を取り上げぬ限り、我々の心は『知』を求めて止まないのだ。そして、例えあの光の正体がわかったとしても、我々は変わらず、あの光を美しいと感じることができる……」
私は再び天を見上げた。
「……きっと許して下さるさ。神は、我々にこんなにも素晴らしい世界を見せてくれたのだから……きっと……」
声にすると、それが間違いようのない事実であるような気が、私にはした。
「あれを!……」
突然、クリスが声を上げた。東の方に目を向けた我々五人は、同時に息を呑んだ。
丘の向こうには、いつの間にか、巨大な光の渦が姿を現していた。眩いばかりの光が、丘の上に茂った草の原を青白く照らし出した。漆黒の天空に、幾筋もの尾を引く光の渦は、圧倒的な輝きで、周囲の光の砂を消し去った。そしてその周りを、青白いゆらめきがそっと包み込んでいるのがぼんやりと見えた。それはまるで、水面に浮かんだ大輪の花のようであった。天に咲くカリビアの花のようにも見えた。――あなたをいつまでも待っています――それは、神が人々に向けた花言葉であるかのようであった。
もう、言葉を発する者はいなかった。五人は、目の前に広がった光の織り成す神秘の世界に、魂まで奪われていた。無数のきらめきが我々に、いや、カウスメディア中に、いや、世界中に降り注いでいる。それは、清浄なる神の光であった。すべての汚れたものを洗い流す、癒しの光であった。
明日になれば、この天を埋め尽くす光の海原が、一体何だったのだろうかと、誰もが考えることだろう。しかし、今は、そんな考えは必要なかった。それはそこにある。ただ、それだけを感じていたかった。
静かだった。すべてのものが息を潜めて、天を仰いでいた。時さえもが、その歩みを緩めたようであった。全身に光を浴びながら、私はただ一言、思うことがあった。全世界の人が感じているに違いないその一言を、私もまた、思わずにはいられなかった。
……人知を超えた偉大なる存在に、あらん限りの賛美を……




