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魔法で荷物お運びします!  作者: 耳折れ猫
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貴族と平民

「シャーラン様!父がお世話になった飛行運送ギルドの皆さんを食事にお招きしたいと言っておりますの。ぜひ皆さん王都の屋敷にいらっしゃって下さいませ!」


 ウェナの輸送が一段落したら、ミドルノン伯爵令嬢のアイルーシャ様が王城の飛行運送ギルドの事務所に現れるようになった。

 あのウェナに援助物資を運んだ時、ウェナの領主ミドルノン伯爵をウェナに赤飛竜でお連れした。

 伯爵はすぐにウェナの屋敷を被災者に解放して、次々に指示を飛ばして被災者支援をしたのだ。

さすが王国一の港街ウェナの領主。できる男は違うなと思った。

 ついでに愛人のプレゼントしか持ち出していない、親戚の町長を差し替えたらもっと良いと思うけどね。


 伯爵令嬢のアイルーシャ様が直接招待状をお持ちになったのだ。私達は王都のお屋敷に伺う事になった。

 服は飛行運送ギルドの制服で良いと言われたので、

飛行服のままで行ったのだが、伯爵邸に着くと新聞社のカメラマンと記者の人が大勢詰めかけていてビックリした。


 王都にもウェナ状況が伝わってきて、破壊波を予知し、飛竜で避難を呼びかけた飛行運送ギルドが絶賛されたのだと言う。

 記者達は飛竜でどうやって避難を呼びかけたのかとか破壊波は怖くなかったのか等、いろいろな話を聞いてきた。

私達は緊張しながら記者の質問に答えていった。

 しばらくすると、壇上に登ったミドルノン伯爵が挨拶に立った。


「皆さん、今回のウェナを襲った地震は、未曾有の大災害で街は崩壊寸前でした!

 しかし、その危機に神は救世主を使わしたのです!

そう、シャーラン.ランド男爵率いる飛竜によって、ウェナは救われたのです!」


 シャーラン君は、あれよあれよといううちに壇上に上げられ、カメラマン達はフラッシュをたきながら伯爵とシャーラン君の写真を撮った。


「シャーラン君は、あの15年前の王妃様が嫁いで来られた時に黒飛竜から花嫁を救った空の英雄、ページャン.ランド氏の遺児であり、親子2代で王国を災難から救った英雄なのであります!」


 驚いた。ミドルノン伯爵は、15年前のシャーラン君のお父さんの事も調べていたのだ。壇上のシャーラン君も「えっ」と言う顔をしている。


「私はランド男爵に感謝を捧げる為に、国王陛下にランド男爵を一代男爵から永代男爵に陞爵されるよう奏上しました。

 陛下もわかったとおっしゃられ、来年のシャーラン君の成人と同時に永代男爵に陞爵されるのが決まったのであります!」


 ここで場内は「おおおお」と感嘆の声があがり、拍手が沸き起こった。

 再びフラッシュがたかれ、シャーラン君とミドルノン伯爵の写真が撮られた。

 ヒーローになったシャーラン君は、嬉しそうでも無く微妙な顔をして立っていた。


 記者達が去って食事会が始まると、シャーラン君は興奮冷めやらぬ里の人に「良かったな」「おめでとう」と祝福され、「ありがとうございます」と言いつつ戸惑いを隠せない様子だった。


しばらくしてシャーラン君の所に伯爵と令嬢が来て言った。


「シャーラン君、永代男爵になるのだから君は王立学園に入らなければいけないよ。

 領主となる貴族は領地経営の勉強をしなければならない。

編入は試験で合格すればすぐに認められる。

 従姉妹のミア嬢も親族枠で入れるように伝えておいたから、2人で試験を受けて来ると良い」


「あのジェンナは…破壊波が来るって気がついたのはジェンナなんです。

彼女がいなかったら赤飛竜で避難を伝える事はできませんでした。

ジェンナも王立学園に入れないんでしょうか?」


 ミドルノン伯爵は私の方を見た。


「君は男爵令嬢だった時になぜ王立学園に入らなかったんだ?

勉強するのが嫌だったのか?

私は貴族なのに努力をしない人間が嫌いでね。

 君がどうしても王立学園に入りたいと言うなら、初等科に入って、読み書きができるようにする事から始めたら良いと思うがどうかね?」


「待って下さい!ジェンナは王立大学に合格できるくらい頭が良くて…」


「いくら頭が良くても学歴が無ければ平民と同じだ!


 シャーラン君の言葉を伯爵は即座に否定した。

私はミドルノン伯爵の前に立ちこう言った。


「私は王立学園には行きません。王立学園で習う事は全て覚えました。

 伯爵様、お言葉を返すようですが、私が破壊波の事を知ったのは、王都の王立図書館にあった130年前のウェナ地震の記録を読んだからです。

 その本は、あまり人の出入りが無い書庫の奥から2番目左から7番目の棚の一番下にありました。

 あのような、ウェナの災害が詳細に書かれた本が、なぜウェナでなく王都の図書館にあるのでしょうか?

あの本はウェナの宝として、ウェナの人に伝えなければならなかったと思います。

 今回はたまたま感謝祭前で食べるホールラビットが逃げて、赤飛竜がウェナに集結していたからできた、本当に幸運な事でした。

私がもし領主だったら、130年前の先人の本を読んで、破壊波の到達点に石碑を建てて、「地震が来たらこの石碑より上に逃げよ」と刻んでいたでしょう。

 130年前に起こったなら、また130年後に破壊波が来るかもしれません。

 その時、赤飛竜がいるとは限らないのです。

飛竜がいなくても地震が来たら海から離れる。そして高い所に逃げる。

 どうしたら後世に先人の貴重な話を伝えるか。

それはご領主様が考えなければならないのではないでしょうか?」


 私は伯爵にカーテシーをして、シャーラン君達とご馳走が並んでいるテーブルの方に行った。


「すごいご馳走ね〜」


 テーブルには、はみ出そうなほどご馳走の乗った皿が並び、私達はお腹いっぱい食べた。


 私は私の知りたい事を知りたいだけ勉強する…


 平民になった私は、やりたい事を自分で決められる自由があるのだ。


 数日後、王城の飛行運送ギルドの離発着場に着いた私達の元にミドルノン伯爵が訪れた。

また何か嫌味でも言われるのかなと思ってウンザリしていると、伯爵は私にこう言った。


「王立図書館の書庫の奥から2番目左から7番目の棚の一番下に本当にウェナの災害史料があった。

あなたは本当に優秀な方なのだな。

先日は申し訳無かった。私は貴女を誤解していたようだ。

謝罪を受けてもらえないだろうか?」


「受け入れます」私が言うと伯爵は嬉しそうに笑った。


「貴女が言っておられた通り、破壊波の到達点に石碑を置こうと思う。平民で字が読めないものでもわかるように絵も刻んで。

教会の鐘を鳴らしに行かなくても良いようにサイレン石を海岸に沿って埋めて役場でスイッチを入れられるようにもしたいと思う。

今回のような地震が再びウェナを襲っても、赤飛竜がいなくても街の人が逃げられるよう、山に空き地を整備して、怪我人も馬車で運べるよう道を2本作るつもりだ。

次に地震が来て赤飛竜がいなくても皆が助かる街になる事を私は誓おう」


「私、貴族なのに努力する人は大好きなんです。ウェナの街の今後の発展をお祈りしますわ」


「感謝する」ミドルノン伯爵はそう言って帰って言った。


「良かったなジェンナ」


「うん、だからシャーラン君は私を気にせずに王立学園に行ってお勉強してきてね。

私はクゥの操縦もできるようになった事だし、1人でお仕事頑張るよ!」


「あれで操縦ができるようになったと思ってもらっちゃ困る!よし、明日から特訓だ!」


「ひぇ〜、お許しを!」


 私はクゥとお仕事を。シャーラン君は王立学園に行く事になった。

 来年すぐにシャーラン君は16才になり男爵になる。

来年はどんな年になるか楽しみだと私は思った。


これで年内の更新は終わります。

来年は1月4日から始めたいと思っています。


来年もよろしくお願いします。

皆様、良いお年をお迎えください!

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