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魔法で荷物お運びします!  作者: 耳折れ猫
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空間収納の可能性

あけましておめでとうございます!


なんとこの小説も5万字を突破致しました!

自分史上最高字数です。

皆様の応援のおかげです。ありがとうございます!

今年はこの記録を更に伸ばしていけるよう頑張りますので応援よろしくお願いします!

 冬が来る前に[空の民]の里の家の修復工事が終わった。寒さに震える事が無くて本当に良かったと思う。

 そして飛行運送ギルドでは、カタログ販売という物が始まった。

 地方の貴族達に彩色された絵がついたお菓子や小物のカタログを配っておいて、王都でしか手に入らないお店の物が王都に来なくても手に入るようにしたのだ。これはもちろん私の発案である。

 飛竜は、風魔法で身体を暖気に包んで風もシャットアウトするので、冬でも操縦士は寒くないのだ。

 冬の間は貴族達は領地に帰る人が多く、王都から地方に荷物を送る事が少なくなる。

 冬の間の仕事が少ない期間だからできる事は無いかと考えたのがカタログ販売なのだ。


 カタログを見てこれが欲しいと思ったら、各都市の飛行運送ギルドに注文する。すると次の日には商品が届けられるのだ。

 貴族の夫人やお嬢様達に特に喜ばれたのは、必需品の化粧品や香水やお茶、お菓子だった。

 カタログ販売はとても好評を得て、売り上げが伸びた。


 そんなある日の事だった。私が先生のお友達のシャンネル公爵夫人の所に、王都で評判のシフォンケーキを配達しに行った日、公爵夫人はこうおっしゃった。


「甘いお菓子も良いけど、まだ王立学園に通っていた頃食べた岳石亭のチーズ火鍋が食べたいわ。

社交シーズンで王都に行った頃にはもう販売していないんですもの。

冬しか食べられないあのチーズ火鍋は注文できないのかしら?」


「チーズ火鍋ですか?」


 私の空間収納は、一つ一つ仕切る事ができるので、書類とは別に仕切ったら鍋を入れる事ができるだろう。

 だけどチーズ火鍋が冷めちゃうよね。

鍋を入れる空間だけ温度を上げられないかな?

 私は一つの空間だけ魔力をたくさん流して温度を上げる事をイメージした。

 すると、その空間だけ温度が上がって行く。うん、できそう!


「公爵夫人、では明日の昼に岳石亭のチーズ火鍋を持って参りますね」


「あら、できるの?楽しみだわ〜。よろしくね!」


 私は次の日、岳石亭に行ってチーズ火鍋を鍋ごと買うと、あらかじめ温めておいた空間収納に入れた。

 「チーズが固まらない温度に上げてっと」

そしてクゥに乗ってシャンネル公爵邸に向かったのだ。


「これよこれ!このチーズ火鍋!これが食べたかったのよ!」


 空間収納から出したチーズ火鍋はグツグツ煮えてチーズもトロトロ。作りたてのようだった。



 「地方の自邸に直接配達される王都の料理はいかがですか?」


 料理の宅配は私の空間収納が無いとできないのだ。もう私の独壇場である。

各飛行運送ギルドの支所には、協力店のメニューが置かれ、シャーラン君がいなくても私は売り上げトップに躍り出たのだった。



 そんな忙しい毎日を送っていたある休日、私は孤児院のアルフ君と恒例の勉強会をしていた。


「それでさ、神授の儀式で空間収納もらった奴らが何を入れたか聞いてくれる?」


「えっ、皆何を入れたの?」


 去年、シャーラン君が孤児院のある教会で神授の儀式を受けた時に、魔力を持っていた18人の子供にも神授の儀式を受けさせた。

 18人の子供のうちデッド君だけは、水魔法のスキルが授けられて、デッド君は孤児院を出て魔法師団に迎えられたのだ。

 残りの17人は空間収納に何を入れたのかな?楽しみ〜!


「では発表します!まずグルードとジークは石を入れました!」


「えっ、石って道端に落ちてるただの石?」


「そうそう、あいつら2人で、どっちがたくさん入るか競争してるんだよ。今のところグルードが10個でジークが8個!毎日ぎゅうぎゅう押し込んでるから、まだまだ記録は伸びると思うね」


「アルクとマリアは森で拾ったどんぐりで、ベラはそこらに咲いてた花を入れていました」


「子供らしくてかわいいわね」


「そしてデビッドは川で釣った魚で、ケンは虫を入れました」


「虫!あんまり覗きたく無いわね」


「ビートは最初パンを残して入れてたけど、夜中に全部食べちゃって、朝になると空になってまーす!」


「ぷっ、おもしろいわね〜!その時のビートの顔が目に浮かぶわ」


「あとの子達は、全員ジェンナがくれた本を入れてるんだ。皆ジェンナみたいにたくさん本を読んで、ジェンナみたいに本を運びたいって!」


「私みたいに?」


 どうしよう…嬉しい。私みたいに本を運びたいって…。こんな事言われたの初めてだよ。私はニヤニヤしてしまった。


「アルフは何入れてるの?」


「俺?俺は雪入れてるんだ」


「雪?」


「うん、この前たくさん降ったじゃん!雪入れてジェンナみたいに収納空間を拡げようと思ってる」


 そう言えば、私も本を詰め込んで収納空間が拡がったのだ。たくさん入れるには雪は有効かもしれない。


「俺、来年には12才になって、この孤児院を出ないといけないから、今雇ってもらえそうな所を探してるんだ。俺の収納空間にたくさん入るようになったら、ジェンナみたいに飛行運送ギルドで働かせてもらえるかもしれないだろ?読み書きもできるしな」


 孤児の彼らが働こうと思ったら、確かにスキルがあれば働き口が見つかりやすくなるだろう。


「アルフ、その収納空間に入れる雪は、森とかの降ったばかりのキレイな雪を入れた方が良いわ。

そしてその雪を夏まで溶かさないでいられる?

魔力をずっと流すの大変かもしれないけど。夏に雪がたくさんあったら、その雪ものすごく高く売れると思うよ」


「夏まで雪を溶かさないで残すのか?」


「うん、私が今やってるの。王都の料理を地方の貴族に温かい料理を配達しているのよ。

アルフが収納空間の温度を自在に変えれるようになったら、空間収納の価値が上がるじゃない?仕事を見つける時にとっても有利だと思うの」


「俺やってみるよ!この中の雪を夏まで溶かさないで残るよう頑張ってみる!」


 私が今乗せてもらっているクゥはシャーラン君が王立学園に通っていて乗れないから借りているのだ。

本当なら空を飛ぶ事はできない。

赤飛竜は[空の民]の里の持ち物なので、里の人が仕事に使う。

 孤児院の子供達が乗りたくても借りる事はできないだろう。

 空を飛べなくても空間収納を使って私達にしかできない仕事ってないかな?


 私は頭の中で子供達が収納空間に入れた物を思い浮かべながら勉強会を終えた。


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