第九二話 7日目・ドリオンの塔 まずは1階へ
今晩は。
投稿です。
「レッドは上半身だけ回収、ブルーとグリーンのウインチを使って降ろす、レッドのウインチは壊れて使えん」
「ウインチの操作は?」
バンブが尋ねる。
本来は3機それぞれが、ウインチで降りる予定だったのだ。
「俺が残り、皆を降ろす、途中異常があったらウイングで避難、飛んで降りてくれ」
ウイングは折りたたみ式のグライダーである。
翼の下に魔力で風を発生させ、かなり遠くまで飛ぶことができる飛行装置だ。
ただ、上昇は精密な魔力操作が必要で、降下専門と言っていい。
使用方法は背中にセットし、ボタンを押すだけ。すると折りたたんである翼が開く。
後は飛び降りる勇気があれば、うまくいくハズである。
「私はどうなる?」
身長2m(以上)のレイン団長。
体重は結構ある。
「この翼では、降下というより落下だぞ」
レインに対して翼はあまりにも脆弱、バランス悪く小さすぎるのだ。
「なぁに、落ちて怪我してもユトちゃんが治してくれるさ」
「をいっ!198階だぞ!怪我ですむか!」
下を覗き込むレイン。
もちろん手すりも何もない。
高所恐怖症の者にとっては、恐怖以外の何ものでもない!
「んじゃ塔中の階段を使うか?一階まで飲まず食わずで二ヶ月か?」
「くっ!」
「ロックさん、意地悪はやめてください」
ユトランのお顔が険しくなる。
「わりぃ」
「レイン団長、僕とユトランがフォローするよ、大丈夫ですよ」
ホントか?と思いながらも他に方法がないのだ。
……むっほむっほ……
……材料がなければ修理もできん……
……治せるところはここまでじゃ……
小さなおじさん達がバンブを見上げる。
小さなおじさん達も撤収である。
「パンプキンパンプキンありがとう、ドリオンの塔を制覇できた、みんな無事に戦い終えた、これも皆のお陰です」
……むっほむっほ……無事でなにより!……
……さぁもっと感謝するがよい!……
そう言って、一人、また一人と消えていく小さなおじさん達。
……くっ、合体までいかなんだかぁ……
……次はもっと強化して……
……かならず……
なにやら野望に燃える小さなおじさん達。
取敢えず4名はそれぞれ背中にウイングをセットし、まずバンブ、ユトラン、レインが大破したレッドに掴まる。
「ロック、私のは予備のウイングみたいだが、ちゃんと動作するのだろうな?」
「ああ、問題ない(たぶん)、んじゃ、降ろすぜ、途中ヤバかったら飛べよ」
「了解」
返事をしたのはバンブだけである。
平然を装うユトラン。
祈るようなレイン。
「いいか、ゆっくり降ろす、最初の地点は50m程下の返し、防御壁だ」
最初はよかったのだ。
もともとはグリーンを最上階に固定し、レッドとブルーを降ろし、次はブルーを固定しレッドを降ろす、という手順だった。
途中トラブルがあれば、3機とも破棄しウイングで降下する、が本来の計画なのだが、ロックとバンブが小さなおじさん達に頼まれたのだ。3機とも損傷激しいが、できるだけこの機体、持ち帰ってくれ、と。
だったら降下に協力しろよ!というセリフをゴックンと飲込むロック。
50m程下の返し、防御壁に降りるレッドと3人。
「なぜグリーンに乗っていたのです?」
一息つくと、バンブが尋ねる。
それは非難の声ではなく単なる疑問の声である。
「ん?あ?ああ、呑んで倉庫?内をうろついていたらいつの間にか寝てしまったんだ」
「倉庫?ああ、あの広間で……」
「まぁ実のところ、ロックが見回りに来て隠れたところで寝てしまったんだが」
「あれ?レッドは不審者判定はしなかったの?」
ピピッ、とレッドが反応する。
【レインさまは、侵入者、不審者ではありません】
「そうなの?」
【はい、レインさまはマスターの妻です】
「「「妻!?」」」
きれいにハモる3人。
ユトランの眼が猫の目のようにまん丸になる!
【レインさまは、マスター・ロックと抱擁、お互いの……】
ここでバンブが止めに入った!
「そ、そこまでっ!」
「え?バンお兄ちゃん?ほうようってなに?お互いに何したの?」
レインの顔が青くなる。
次回サブタイトルは 第九三話 7日目・ドリオンの塔 我が家にGO! の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。
投稿日時は未定です。




