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三十
『君はそれで成り立ってると思っているんだ』
『藁みたいに……いや、ずっと脆い』
『危ない考え方だなぁ』
こいつはいきなり後ろ側から俺の襟を掴んできた。
殺してやろうと思ったんだ。
身を守るために。
車のエンジン音、高い機械音。
俺の目の前を車が通り過ぎた。
『ほら、危ないじゃないか』
『信号、見てなかったのかい?』
『見てなかったんだろうなぁ……』
通り過ぎた車を見る。
俺は新しい経験が出来た。
その場にしゃがみ込む。
『怖かったのかい?怖かったよねぇ……当たり前だ』
『だけど駄目だよ、今のは。君が悪い』
怖かったなんて単語、久しぶりに聞いたよ。
だけど違う。
地面にいたんだよ、ムカデが。
ムカデがいたんだ。




