初夏の迷路-6
「っていうか、これだけ色々話したんだもん、もう仲良し。だよね?」
晴が少し不安げな色をのぞかせながら、タオルの隙間に見える夜子の相好を伺うように聞いた。
「……友達になるってこと?」
「そうそう。」
晴は何度も頷き、今しがた夜子から貰った水色髪の人形を顔の前に掲げ、誇らしげに言う。
「これは、その証ってこと。」
二コリと笑う人形の口元と晴の顔を交互に目にして、夜子も笑顔を取り戻していく。
「それ、美野和さんにちょっと似てるね。」
指さして言うと、晴はきょとんとして人形と見つめあった。
「えーそうかな?まあ、頭の形は丸くて良い形だってたまに褒められるけど。」
そしてしばらく悩んだ末、少しずれた見解を述べる姿に夜子は無意識で噴き出した。
「何で笑うの!?だってこれ超丸い頭じゃん!!」笑われたことに照れて、言い返す晴に夜子は笑いがとめられない。
「美野和さんと一緒にいると、色々気にならなくなるね。」
自然と出てきた感情は、そのまま言葉になって舌を滑る。
それを聞いて、夜子の笑い顔を見て、晴はまたしても耳を染めた。
「そっちの方がいいよ。」
晴も成り行き任せに言葉を紡ぎ。
「そうした方がいいよ。」
力を込めて繰り返した。
――――ヨルの笑顔が、荒んだ心を幸せにしてくれることに、この瞬間気付いてしまった。
初めて見えた甘い光
それをいつまで隣で見ていられるかなって、僕はずっと思ってた。
十年以上、思ってた。
この恋が叶うことはないし
だとしたら一緒にいれる時間を引き延ばすことだけ、ただ願ってたよ。




