表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/37

別れと再会

鳥は寮まで飛んでいき消えた。

重い足取りで自室へと向かう。


「はぁ〜とりあえずミッション完了かな」


椅子に座る。この自室には不釣り合いなリッチな椅子。座り心地は最高。もう立ち上がれる気はしない。最後まで座るならとこの椅子を用意したんだ。ベッドの枕元から十二本の剣が光輝きこちらによってくる。


『一方的な挨拶でしたね。』


「変だったか?」


『いえ』


「言いたいことあるなら言っていいよ。」


『僭越ながら、主の近くには3人の女性朝姫様、美香様、志保様がいます。相変わらず朝姫様を好きでいらっしゃる。けど、そばにはいつも美香様がいて主を支えています。そして志保様は主の力を信頼して少々悪ふざけをなさる。それが気になり目が離せない存在に。主の中には答えが出ているハズなのにそれを行動へ、お言葉へとお移しに、ならないのですね。』


「もし、次があるなら・・伝えようとは思ってるよ。まぁそんな時は来ないんだけどな。って自虐が過ぎるかな」


『いえ、我らは主の意見を尊重します。ただ・・』


「ただ?」


『主はお強い。だからみんなを守れます。結局主は誰にも守ってもらえず散りゆくことをえらんだのですね。後悔はないのですか?』


「ああ。けどお前らこそ、ほんとにいいのか?俺に従う必要はないんだぞ」


『我らはいつまでも主のお側におります。それが我ら十二真の総意です。』


「ありがとう」


十二真がいてくれると思うと心強い。やっぱり最後は寂しいからな。

そろそろ行こうかな。椅子に事前に仕込んでいた転移魔法陣が光出す。これが最後の魔法かな。


あらかじめ決めておいた場所に転移が完了する。

だんだんと視界が歪み、暗くなっていく。

視界が失われていく

そして、音もだんだんと聞こえなくなっていく。

聴覚が失われていく

十二真に食事を与えられても味覚すら無くなっていく

手足もだんだんと動かなくなっていく。

筋力すら失われていく

椅子に座っているという感覚、触覚のみかろうじて残った。


そして、どれくらいの月日が経ったか

俺はよく分からない。

何も見えず、何も聞こえず、何の味も感じず、どこに動けず・・

ふいに誰かに抱きしめられたような包みこまれるような感覚が残った触覚で肌に感じられた。

これは?

そして、唇に何かが触れた感触がする。とても柔らかい、優しい感触だ。その瞬間温もりと共に、体中せき止められていた血液が流れ出し、徐々に死に行く体が生き返っていくかのように細胞1つ1つが活性化されていく。

ずっと暗闇だった視界に光が差し込み眩しい。久しぶりの感覚が蘇る。部屋の外で木々の揺れる音も聞こえる。


「お前なら来ちまうんじゃねぇかと思ったよ。」


眼の前には1人の女性が立っている。見知らぬ?とんでもない。とってもよく知ってる。会いたかった人。陽気な笑顔で頬を赤く染めながらくちびるを抑えている。


「ここまで来てくれてありがとう。次会ったら伝えようと思ってたんだ。大好きだよ。」



最後まで読んで頂きありがとうございました。少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ