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4 - 11.『Promotion War - V』

4-11.『昇格戦 5』


本日二回目の投稿です。

今回も少し遅れました。

「只今より昇格戦〈J-18〉対〈J-19〉を開始します。今回の対戦形式は5人対5人のチーム戦です。尚、今回の審判は四期生が〈A-1〉の担任であるグレモール先生と昨日に引き続き副審を生徒会長が行います。それでは出場する5人は中央へ来てください。」


 僕達は〈箱〉の中に入っていた。風が吹く草原。見渡しが良い。観覧席は対戦フィールドの半径500メトルの円形の周囲に【魔法障壁】が張られ、その外に観覧席がある形だ。思いっきり魔法を発動することはできそうだ。しかし、地面の下がどうなっているのかは分からない。地面を破壊すると、〈箱〉から修練室へ戻される可能性がある。威力は気を付けよう。


「じゃあ行こうか。」


 ヨルクスの言葉で僕達5人はフィールドへ入る。観覧席から対戦フィールドへの干渉は可能となっている。万が一に審判や担任が止めに入るためだ。一般生徒が立ち入った場合は即刻反則となる。


「両クラス、出場選手は合っていますか?」

「はい。」

「大丈夫です。」


 僕はJ-18の生徒を見る。J-19……もうJ-20であるが、彼らの態度とは大違いだ。こういう態度になってくると、相手を陽動するのが難しくなる。少しずつ対戦も大変になってきているという事だ。


「では、始めましょう。両クラスはそれぞれクラスが書かれている旗の所まで行ってください。」


 確かにほとんど対戦フィールドの両端にそれぞれ旗が立っている。はっきりとは見えないが、J-19と書いてあると言われればそのように見える。僕達はJ-19の旗がある方へ向かった。


「やっぱり違和感があるよね。」

「そうだね~。J-19って言われ慣れない~!」

「でも僕達はもっと勝ち上がるのが目標だから現状に満足できない。」

「その通りだ! 頑張ろうぜ!」


 スナートの意見は当然のように無視する。スナートが無視されて何か色々と言っているが、耳が受け入れるのを拒否した。かなり歩いてようやく旗の所まで着いた。


「じゃあ作戦通りに行こう。最初は上方奇襲作戦だ。」

「本当にそれするんだ……。」

「ものは試しだ。もしかしたら今後の昇格戦に何か良い影響があるかもしれない。」

「それはそうだけど、たぶん失敗するよ?」

「うん、それは分かってる。相手の実力を図る意味でも良いって思って。それに奇襲だとすぐさま僕達も態勢を整えることができる。」

「ロムスがそこまで言うならしようか。みんなも良い?」

「うん、いいよ~。」

「大丈夫だよ。」

「了解!!」


 シーナとリーラを男三人が囲む形で型を組む。それから拡張された審判の声が届く。


「両者、定位置へ。それでは只今より昇格戦を開始する!試合開始!」

「【認識阻害】!」


 かなり距離があるため、発動しているかは分からないが、様子見ということで僕達は早歩きで相手のクラスへ向かった。向こうのクラスに動きはない。


「これは見つかっていないのか?」

「ちゃんと効果があれば、僕達の声ですら聞こえていないはずだけど……。」

「おい、そこに居るぞ!!!」


 声のした方を見る。観覧席だ。まさかそれはありなのか。審判が何を言う様子はない。確かに審判にも僕達は見えている。つまりこれは見えていないことに気付いていないだけなのか。


「これは無理かな。【認識阻害】するなら全員にすれば良かったかな。」

「そうだね。どうやら観覧席の生徒は邪魔してるつもりが無いけど、どこにいるか視線で教えているから意味ないね。」

「じゃあ解除しようか。次の手段は、っと。」


 僕は次の作戦を開始する。


「みんな【高速】を発動して。」

『【高速】!!』


 4人の声が一致する。そして僕達は敵側へ突撃する。すぐに僕は次の魔法を唱える。


「【魔法障壁】!」


 これで相手チームが魔法を発動するのを防ぐ。かなり距離が狭まってきた。どうやらJ-18の5人は動揺しているらしい。確かに突然【魔法障壁】が出来て、魔法が通らないとなれば動揺するのも無理ではないだろう。


「詰めるぞ!」


 各人が魔法を唱える準備をしながら一気に距離を詰めた。僕達が近付いて焦る様子が分かる。これは勝負あったか。声が聞こえるか聞こえないのかのギリギリの所で僕は声を上げる。


「解除する!」


 僕は【魔法障壁】を発動すると同時に全員が魔法を発動した。僕は【茨の森】で全員の動きを封じた。そこにヨルクスとリーラとスナートの魔法、さらにシーナの精霊が魔法を叩き込んだ。


「そこまで!!」


 僕は【茨の森】を解除する。J-18の5人はその場に倒れこんだ。威力には気を付けるように言われているため、衝撃による気絶程度で済んでいるはずだ。


「誰かこの子達を治癒室へ。」


 J-18の生徒が何人か戦った5人を連れて治癒室へ向かう。僕達J-19と残りのJ-18の生徒はその場に残る。


「それでは試合結果を発表する。昇格戦〈J-18〉対〈J-19〉は〈J-19〉の勝利だ。只今より各クラスのクラス番号を変更する。新しい〈J-18〉は翌日の戦いに備えるように。以上だ。」


 新しいJ-19の落胆する声と新しいJ-18の喜ぶ声が修練室に響き渡った。2日目も難なく終わったが、まだ今週はあと1回昇格戦が残っている。ここが踏ん張りどころだ。


 僕はヨルクスと話していると、リルゲア先生が来た。


「ロムス君、少し良いかい。」

「はい、何ですか?」

「君に会いたい人がいるそうなんだ。ちょっと付いてきて欲しい。」

「……分かりました。」


 ヨルクスに「また後で」と伝えると、リルゲア先生の後に付いて行った。

次回更新 - 6月4日(木)19:00


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