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4 - 10.『Promotion War - IV』

4-10.『昇格戦 4』


少し投稿が遅れました。

 翌日の朝、新しく変わった教室へ入る。魔道学院は仕組みに厳しく、昇格戦が終わった瞬間が完全な区切り目となっている。つまり僕達がJ-19との戦いで終わった後、戻るクラスはJ-19のクラスだったのだ。


 1つの隣の扉に入るだけで気持ちが少し上がるような気がした。昇格戦は最低クラスから上位クラスへの宣戦布告であり、一戦一戦を疎かにすることは出来ない。小さな1歩も大切なのだ。


「さて、みんな揃ったようだね。」


 どうやら僕が来るのが最後だったようだ。J-20と同じ席の座り方に笑ってしまうが、口に出すことなくヨルクスの隣に座った。


「なんで笑ったの?」

「みんな律儀にいつもの席に着いてるなって」

「そう言えばそうだね……」


 ヨルクスも笑っていた。


「そこの2人は何を笑っているんだい?」

「いや……なんでもないです。」

「そうか。確かにみんないつもの席だね。それはそうと今日の昇格戦の話だ。」


 どうやら聞かれていたらしい。ヨルクスが苦笑する。


「今日は〈J-18〉との戦いだ。君たちは会ったことないだろうから、ここからは未知との戦いになる。十分に準備はしてくれ。そして今日の対戦形式は各クラス5人ずつのチーム戦だ。まずは5人を選んでもらおうかな。」


 リルゲア先生は基本的に中立な立場ということで、こうした昇格戦の作戦などに関する話し合いには参加しない。しかし、態度には示してくれるのか、たまにちょっと不満そうな表情をしたり、納得したような表情をしたりしてくれる。


「じゃあ……どうする?」

「うーん、ロムスは出て欲しいかな。センターで自由に動き回れる人が必要だと思う。」

「という事は残り4人が左右前後を守るという事?」

「いや、それはあくまでも1つの形として言っただけだよ。」

「分かった……じゃあ僕は5人の中央にシーナを配置する形でチームを組みたいと思ってる。」

「その理由は?」

「シーナは遠距離戦でその真価を発揮できるんだ。近距離戦でも十分に戦えるけど、遠距離戦だと相手が近寄れなくなる。」

「シーナはどう思う?」


 僕の案とヨルクスの質問にシーナは少し考えて首肯した。


「うん、大丈夫。それなら出来ると思う。私が指示を出さなくても〈グリア〉が1番良い魔法を使ってくれるから。」

「……? グリアってシーナの精霊のこと?」

「名無しだと呼びにくいって思って。それにグリアも喜んでくれた。」


 精霊の感情が分かるのか。前にシーナの精霊を見た時には、感情が無いように見えた。精霊と心を通わせるのも精霊式魔法の一環と言うことなのだろう。


「うん、シーナが言うなら決まりだ。ここから残りの4人は誰にするかだけど……」

「必要なのは中央のシーナに近付かせないようにする事だ。もしくはリーラがシーナの補助についてくれても良いかも。2人の息が合えば、かなり敵の妨害が出来る。」

「どうする、リーラ。」

「私は、いいよ~」

「じゃあ頼むね。それから残りの3人。かなり負担が大きいけど、したい人はいる? 別に僕かヨルクスが居れば、その負担はかなり軽減されると思うけど。」

「俺が行く!」


 残りの6人のうち、手を挙げたのはスナートだった。僕としてもそれが1番良いと思う。流石に残りの5人をおざなりにする決め方は、あまり良くないと考えたため、こういう形にはなったが、結果としてスナートが参戦してくれて良かった。


「スナートは忍耐力がある。その場に踏みとどまって敵を近付けない事に専念して欲しい。後は僕とヨルクスが補助するから。」

「ああ、分かった!」

「……これで決まりかな?」


 リルゲア先生がそこで口を挟む。表情を見る限り、納得しているようだ。リルゲア先生の顔を伺う必要なんてないとは思うが、後でグチグチと言われるのはたまったものじゃない。


「さて、次は作戦だね。今回使用するのはお馴染みの修練室の〈箱〉だ。ようやく〈魔道研〉から使用許可が降りたんだ。半径500メトルの円形上の草原が試合会場だ。」

「見渡しが良い……。つまり物陰に隠れて奇襲という方法は取れないんだね。いや、取れないこともないけど。」

「ロムス……どういうこと?」

「要は()()()()()()()()()()()()()()()()良いんだ。」

「えっと……それが難しいんだけど?」

「軽い精神系統の魔法で、視線を別の方向へ誘導するように仕向ける。そして()()()奇襲する。」

「……確かに奇襲だね。強引にも程があるけど。」

「勝って不正をしていなければ大丈夫だよ。それに審判には認識阻害をしないから。」


 リルゲア先生の顔を見てみる。どこか不満そうである。


「うーん、一応もう1つ作戦を立ててみようか。かなり強引なのは確かだし、これだと失敗した時のこちらのリスクが計り知れない。」

「それは僕も賛成。だけど真正面から突っ込むというのも難題じゃない?」

「寸前まで僕が【魔法障壁】を発動するって言ったら?」

「うわ……それは相手が可哀想だね。」

「これが作戦2つ目。」

「えっ……もう1つあるの?」

「最後の作戦だよ。これが一番楽かもしれない。」


 J-18との戦いに備えて僕達は作戦を練ると、修練室へ移動した。

次回更新 - 6月4日(木)12:00


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