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25 勇者の町 デュートライゼル

 ビード達と別れ、新たな目的地を見つけた俺達は、その場所へと向かって道無き道を進んでいた。

 ビードの話によると、この森はかなり迷いやすく、何も対策を立てずに入ると、一生外に出られなくなる可能性もあるという恐ろしい森だった。

 その点に関しては、俺の地図(マップ)スキルとメリアの五感があるので問題ないのだが。


 また、巨大な木の根がむき出しになっていたりする。

 形も高さもバラバラで、飛び越えたりくぐったりと大変。

 ビード達の元にすぐに駆けつけられなかった理由でもある。


 出現するモンスターは大体Dランク程のモンスターが大半を占めており、その殆どが群れで活動するモンスターである。

 そのため、ダンジョンなどのモンスターより数倍警戒心が強いため…



「はぁ…はぁ…や、やっと抜けた…」

「ふぅ…ただ道なりに通っているだけなのに…疲れたわ…」

「そんなこと言っても、ここまでとは思わないだろ…」



 俺達はメリアの五感をフル活用することで、最低限の動きだけで戦闘し、道なりに進んでいた。

 まぁ、それでも八もの群れと戦闘するとは思っていなかったけどな…



「とりあえず、周りにモンスターは居ないか?」

「…大丈夫。襲われるような位置には居ない」

「…よし、このまま進むぞ」

「や、やっと戦わずにすむわ…」

「うん…疲れた…」



 俺達は少し急ぎ気味に、でも最大限の警戒を怠らずに道なりに進んでいく。

 しばらくすると、大きな平原が見え…


 同時に、そびえ立つ巨大な壁が出現した。



「高い壁…ってことは、」

「あぁ、町だ。名前はデュートライゼル、勇者の町らしい」

「や、やっと着いた…」

「…おつかれ、さま」

「の、呑気に言ってくれるわね…」



 まぁ、メリアは基本非戦闘だしね。

 俺達は少し休憩した後、デュートライゼルの門の前までやって来た。



「むっ、お前達は?」

「この町に入りたい者なのですが」

「あぁ、入国希望者か。こっちに来てくれ」



 鎧を着た、厳つい髭の生えたおっちゃんに連れられ、受付のような場所へと連れてこられた。



「おーい。入国希望者を連れてきたぞ」

「あ、ガルドさん。お勤めご苦労様です」

「これくらいいつもの事よ。それじゃ、任せたぜ」



 そう言い、おっちゃんは持ち場に帰っていった。

 結構いい人っぽそうだ。



「それでは改めてまして、デュートライゼルへの入国希望ですね」

「あぁ」

「それでは、入国料としてお一人様あたり銀貨2枚となります」

「銀貨2枚ね…これで良いか?」

「確認致します…銀貨6枚、丁度ですね。ようこそ。勇者の町 デュートライゼルへ」

「世話になるよ」



 無事に町に入ることができた俺達を迎えたのは、遠くに見える立派な城。

 そして、うるさいほどの賑わいを見せる町の姿だった。



「お、おおおお…これまた、ツィーブルとは違った感じに賑わっているわね…!」

「あっ、ナヴィそんなに急ぐなって!」

「分かってるわよ」

「…ホントに分かってるのか…?」

「…多分、分、かって、て、あれ、なん、だ、と思、う…」



 気持ちはわからんでもないが…無邪気にもほどがある…

 それにしても、勇者の町と言われるだけあってかなりの人で溢れている。

 そもそも勇者がどういう者なのか、あまり詳しく知らないが、これだけの人を引き付ける「何か」があるのだろう。


 俺達は店で必要なものを買い込みながら宿や冒険者ギルドの場所を聞き、先に宿を取った。

 ツィーブルの時より少し値が張ったが、文句は言わない。

 部屋は3人で一つの部屋にした。その方が安く収まるからな。

 まぁ、宿主ににやけ顔されたのは言うまでもない。


 宿を取った俺達は、そのまま冒険者ギルドへ向かった。

 賃金が乏しくなった訳では無いのだが、暫く冒険者らしい事をしていなかったので、やっておきたくなったからだ。

 デュートライゼルの冒険者ギルドは町の中心に近く、人通りの良い場所に存在しており、規模もかなりのものだった。

 俺達はそのまま、冒険者ギルドへと入っていった。

 メリアは相変わらず、脅えて俺の服をつまんでいたが。



「お、おい…なんだあのカワイコちゃんは…」

「あぁ、おどおどしている感じが可愛すぎるだろ…」

「無邪気な感じの吸血鬼っ子もたまんないぜ…」

「俺、声かけようかな…」


 ギルドに入って早々、ギルド内がざわつきだした。

 仕方ないだろう。メリアもナヴィも、美少女なのだから。

 まぁ、メリア達が目立つということは、当然俺も目に写るわけで…


「なんだあの男、どっか行けよ」

「見せつけてるってか?クソ野郎だな」


 こんな感じに小声で嫌みを言われている。

 ちょっと心にサクッと来るものがあるよね。こういうこと言われるの…

 ちなみに、二人にも俺に対する悪口が聞こえているため、二人の彼らに対する印象は最悪になっているようだ。顔に出かかってる。



「ようこそ冒険者ギルドへ!此度はどのようなご用件でしょうか?」

「あぁ、ここで依頼を受けたいと思っているのだが」

「冒険者ギルドへの登録はお済みでしょうか?お済みでしたら、ギルドカードを登録させていただきます。」

「あぁ、これで良いか?」

「拝見致します…ケイン・アズワード様。冒険者ランクは…B!?」



 受付嬢の驚きで、ギルド内がざわついた。

 まぁ、仕方ないとは思うけどさ…



「し、失礼しました。登録致しましたので、こちらのギルドをご活用できるようになりました。依頼を受ける際にもギルドカードの提示をしていただきますので、よろしくお願い致します」

「あぁ、了解した」

「…失礼をお聞きしますが、そちらのお二人の冒険者登録はされてないので?」

「ん?していなくても、俺が居るから問題は無いのでは?」

「問題はありませんが、お二人が冒険者になればケイン様とパーティーを組めますし、パーティーを組めば特別ボーナスが発生致しますが…」



 あぁー、そういやそんな制度あったな。

 確か冒険者同士でパーティーを組むと、依頼完了時に貰えるポイントが上がったり、少し報酬が豪華になるんだっけ。

 俺はずっと一人でやってきたから、殆ど忘れてたよ。



「いや、問題ない。このままでいい」

「失礼致しました。それでは、ごゆっくりと」



 俺は二人の冒険者登録を遠慮しておいた。

 メリアはともかく、ナヴィも登録にあまり乗り気で無かったからだ。


 さて、久々に冒険者らしく活動しますか!

8/15追記:地図スキルの改訂により、前半部分を一部変更しました。

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