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24 別れと次の目的地

(ふぅ、なんとか間に合った…)


 俺は安堵して息をはいた。

 俺達が彼らの元へ辿り着いた時、彼らのうちの一人が丁度ガビューウルフに吹っ飛ばされた。

 だが、俺達は焦らず事前に決めておいた作戦をとった。

 ナヴィの空気弾(エアーバレット)で奥のモンスターを狙い、隊列が乱れたところに俺が切り込み注意を引き、その隙にメリアがケガ人を回復させる。

 作戦は成功し、誰一人失うことなく助けることができた。



「メリア、彼は?」

「だい、じょー、ぶ…直し、た、から」

「なら、大丈夫だな」

「ねぇ、魔石とかこんなにあるけどどうするの?」

「…とりあえず、集めておいてくれ」

「分かったわ」

「あぁ、頼んだ。…それじゃあ…」


 魔石等はナヴィに任せ、俺は彼らに歩み寄った。


「話、聞かせてくれるか?」

「あ、あぁ」



 …



「なるほど、それで追われていたのか」

「あぁ。危ないところを助けていただき、まことに感謝する。」

「そんな、かしこまった風に言わなくていいよ。楽に話してくれ」

「なら、そうさせて貰う」



 彼ら…銀獣の面々から事の顛末を聞いた。

 偶然とはいえ、俺達が湖を見つけていなかったら、彼らの命が無かったのかもしれない。

 そういう意味では、ナヴィに感謝しなくてはいけない。

 ただし、俺の理性を試すようなことは控えて欲しいけど、な。



「それで?お前らは村の方角とかは分かるのか?」

「いいや、全くだ。そもそもこの森自体、初めて入ったも同然なくらい入ったことがないからな」

「ん?その言い方だと、入ったことがあるように聞こえるが?」

「入ったことはあるが、あくまでも森の入り口付近だけだ。こんな奥まで入ったことはない」



 ううむ、困った。

 彼らをその村まで送ろうかと考えたのだが、方角なんかが分からないんじゃどうしようも…



「いや、待てよ…〝地図(マップ)〟」

「…!?お前、地図(マップ)スキルを持っているのか!?」

「私達と同じ冒険者なのに、持ってるなんて珍しいわね…」

「まぁ、俺達は旅をしてるからな。どうしても必要になると思ったからな…っと、ギリギリ映ったな。この村で合っているか??」

「どれ…あぁ。この村で間違いない」

「よし、そこまで先導しよう。おーい…って!?」

「ふぅ…終わったわよ」

「おつ、かれ…ナヴィ」



 行く先が決り、二人を予防と振り向いた俺は、積み上げられた魔石とドロップアイテムの山を見た。

 高さは無いが、予想よりも多い数があった。



「この量…どうすんだ…?」

「んー?私の収納を使うのもいいけど、魔石に関しては()()使った方がいいんじゃない?」

「ん?あぁ、魔法鞄(これ)か。そうだな、まだ入るし入れておくか」



 俺とメリアで魔石を、ナヴィの収納スキルでドロップアイテムを全て回収していく。

 近くで銀獣の面々の「収納スキルに魔法鞄まで持ってるって、何者なんだコイツら…」という絶句のような呟きが聞こえた気がするが、気のせいだろう。


 全ての戦利品を回収し終え、俺達はその場を絶った。

 村への道中、必要ないかも知れないが、念のため銀獣の面々を護衛する形をとった。

 だが、そんな心配することはなく、無事に村に辿り着いた。



「さて、ここまでくれば問題ないだろう」

「お前達は一緒にこないのか?」

「あぁ。依頼を受け、この森に入ったのはあくまでもお前達だ。それなのに、俺達が護衛する形で戻ったら余計に心配をかけてしまうだろ?だから、ここでお別れだ」

「そうか…短い間だったが、世話になった。またどこかで会うときまでに、俺達はもっと鍛えておくことにする」

「それは楽しみだ。それじゃあ、またどこかで」

「あぁ、またな」

「バイバーイ!」

「ありがとなー!」



 彼らが村に入っていくのを見守り、改めて俺達はその場を離れた。

 また会うとき、か…



「どうしたのかしら?なんか嬉しそう」

「…そうか?いや、そうかもしれないな」

「それって、彼らのこと…でしょ?」

「あぁ。「また会おう」…そんなこと、都市で頑張っていた時には縁の無いと思っていた言葉だったからさ…」



 実際、あの都市にいた頃は滅多にその言葉を耳にすることはなかった。

 あそこは、とても居心地が良い。

 穏やかで、賑やかで、優しくて…

 だからこそ、「また」や「いつか」なんて言葉は紡がれなかったのだろう。

 でも…



「今日俺は、アイツらとまた会う約束をした。留まっていたら、そんな事も言い合え無かったかも知れないな」

「そう、だね…」

「というか私、ケインのいた都市知らないんだけど?」

「普通の都市だよ。明るくて、活気溢れる…ね」



 そんな話をしながら俺は地図(マップ)を開く。

 銀獣の面々と出会った場所と、村の場所はそこそこ離れていたため、もしかしたら新しい目的地を見つけられるかもしれない。そう考えたのだ。

 そして、その思惑は的中したようで、



「うーんと…あっ、ここに道っぽいのがちょっとだけ写ってるわ」

「うーん…流石にこれ以上は見れないか」

「とりあえずこの道に出ましょ?どこか町に続いているかもしれないし」

「そうだな、行ってみるか」

「決まりね、メリアは?」

「…うん、いいよ」



 メリアはいつも通りだなぁ…

 さて、次の目的地はまだ決まっていないが、この道の先には、なにがあるのだろうか。地図(マップ)地図(マップ)

4/29追記:本文の一部と話数にミスがありましたので訂正致しました。

8/15追記:地図スキルの改訂により、デュートライゼルではなく道が映し出された設定に変更しました。

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