エピローグ
第一部 継承編
黎明国へ向かう馬車の中。
眠っていた黎明国高官は、ふと目を覚ました。
あたりはすっかり暗くなっている。
劍国を出発してから、もうだいぶ時間が経っていた。
向かいに座る甥は、
窓の外を眺めていた。
まだ若い。
けれど、どこか大人びても見えるような
そんな空気を纏っている。
「もうすぐ国境手前の宿場町に入ります、叔父上。」
「あぁ、そうか。」
高官は、疲れた顔でこめかみを抑えた。
継承儀式での不祥事。
付き添い役の死。
失踪神官。
そして、その神官の逃亡先での服毒。
予定外の滞在は、
最後まで後味の悪いものとなった。
――外交上、そう収めるしかなかった。
こちらの事情を、
劍国に知られるわけにはいかない。
「……劍国は、どうだった?」
ふいに、疲れなど知らなさそうな、
目の前の甥に聞いてみたくなった。
問いかけられた彼は、
ゆっくりと視線を戻した。
一瞬だけ。
何かを思い返すように目を伏せる。
そして。
――――にこりと微笑んだ。
「楽しかったです。」
高官は一瞬だけ黙り込む。
それから、疲れたように苦笑した。
「そうか。」
馬車は夜の街道を進んでいく。
遠く。
劍国の灯りはもう見えなかった。
【第一部 了】
――ヨルに囚われた皆様。
『ヨルから生まれた物語』第一部 継承編。
最後までお読み下さりありがとうございました⚜️
まず初めに、
ヨルに見つかったのは作者の私自身でした。
私がこの物語を書いているか、
ヨルに書かされているのか……。
ヨルに囚われたその日から、
ヒノモリの寝不足は続いております(笑)。
ヨルは憑るもの。
夜に寄る者。
……ね?
ここまで読了下さった皆様も、お仲間でしょうか?☺️
この物語は先へ進み、
真実を観測するにつれて、
過去の出来事やそれぞれの登場人物の行動が、
違った姿を見せていくように執筆しております。
第一部で目にした出来事も、
この先違って見える日が来るかもしれません。
物語はこの後、二部に進みます。
この先もヨルを見届けてみたいと思っていただけましたら、ブックマーク、評価などで応援頂けると嬉しいです☘️
★ひとつでもつけていただきますと、
ヒノモリの中のElliottが喜びます。
確実に(笑)。
これからも、
ヨルに寄るお仲間がもっと増えますように⚜️
灯ノ森みつき




