表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/34

中学編・序章「自由に生きた獣」

はじめまして。


数ある作品の中から、『朝霧凛は、元獣王。』をお読みいただき、ありがとうございます。


強さだけを信じて生きてきた獣王が、人として生きる中で家族や友情、そして誰かを思う気持ちを知っていく物語です。


読み終えたあとに、少しだけ温かな気持ちになっていただけたら嬉しいです。

最初の炎が飛んできた時、私はまだ余裕を持っていた。


四人組だった。剣士、魔法使い、重戦士、弓使い。

人間にしては珍しく、この森の奥まで辿り着いたらしい。


「いたぞ! S級魔物だ! こいつを倒さなきゃ、あの実のもとには進めない!」


(進めないなら、別の道を行けばいいだろうに。)

そう思ったが、口にするのも面倒だった。


炎を片手で払い、風の刃をいなし、重戦士の突進をわずかにずらして受け流す。

一撃一撃の練度は高い。

だが、古竜や甲殻の巨獣と比べれば、脅威と呼ぶには足りない。


問題は、倒れないことだった。

何度叩き伏せても、四人は立ち上がる。

魔法使いの治癒が、仲間の傷を塞ぎ続けている。


(……面倒だが、本気を出すか。)

爪を振るうたび、鎧がひしゃげ、矢が折れ、魔力が乱れていく。


このまま押し切れる。

そう確信した、その瞬間だった。


魔法使いの手の中に、小さな宝珠が浮かび上がった。

見たことのない光だった。


次の瞬間、見えない鎖が四肢に絡みつく。

体が、動かない。


聖剣が、静かに光を帯びる。

剣士が踏み込む。


――確信の瞬間にこそ、隙は生まれる。


それを、私は知っていたはずだった。

光が、胸を貫いた。

熱が、意識を裂く。

……ああ。


力を求めたわけではない。

王を名乗ったつもりもない。

ただこの森で、気の向くままに生きていただけだ。


ある日、森の奥で見つけた紫の果実。

気まぐれに齧った一口が、すべての始まりだった。


あの酸味と甘みの、奇妙な均衡。

何百年経っても、一度も飽きることがなかった。


(……今年の紫りんご、まだ食べていなかったな)

光に包まれながら、ただ、それだけを思った。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


ここから凛の「人間としての人生」が始まります。

これから彼女がどのように変わっていくのか、見守っていただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ