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覇狼、地を貫く  作者: 神箭花飛麟
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Ⅷ 親征

時代考証などはすべて集英社「アジア人物史 第5巻 モンゴル帝国のユーラシア統一」に拠ります。

1259年、春。

四川省。

モンケ軍が、南宋領内に侵入していた。

六万の軍だった。

遼高も、その中にいた。

十八歳になった三男は、千人隊の副官だった。

「遼高」

隊長のボロンが声をかけてきた。

三十代の将校だった。

「はい」

「前方に、南宋軍がいる」

「どれくらいですか?」

「三万ほどだ」

ボロンが答えた。

「モンケ様に、報告を」

「はっ」


モンケの天幕。

将軍たちが集まっていた。

「南宋軍、三万か」

モンケが地図を見た。

「我らは、六万」

「数では、勝っている」

副将のウリャンカダイが聞いた。

「攻めますか?」

「ああ」

モンケが頷いた。

「だが、慎重に行く」

「南宋は、地の利がある」

「はい」


戦いが始まった。

南宋軍が、山岳地帯に陣取っていた。

守将は、王堅という男だった。

五十代の歴戦の将軍だ。

「モンゴル軍が来た」

王堅が兵たちに言った。

「だが、この地形なら戦える」

「山を使え」

南宋兵が、山の上から矢を射る。

「ぐあっ!」

モンゴル兵が倒れる。

「くっ...」

遼高が歯噛みした。

「地形が、不利だ」

ボロンが言った。

「遼高、どう思う?」

「...迂回すべきです」

遼高が答えた。

「正面から攻めても、損害が大きい」

「そうだな」

ボロンが頷いた。

「モンケ様に、進言しよう」


だが。

モンケは、攻撃を続けた。

「押せ!」

モンケ自らが、前線に立っていた。

「ハンが、前線に...」

ウリャンカダイが心配そうに言った。

「危険です」

「構わん」

モンケが答えた。

「兵たちの士気を、上げる」

だが。

山岳戦は、厳しかった。

モンゴル軍が、苦戦していた。


数週間後。

モンケが、病に倒れた。

「ハン!」

ウリャンカダイが駆け寄った。

「大丈夫だ...」

モンケが苦しそうに言った。

「少し、疲れただけだ」

だが。

明らかに、体調が悪かった。

「ハン、撤退しましょう」

「いや」

モンケが首を振った。

「まだ、南宋は落ちていない」

「ですが...」

「戦う」

モンケが立ち上がった。

だが、ふらついた。

「ハン!」

将軍たちが支えた。


遼高は、モンケの様子を見ていた。

(ハンが...病に)

(これは、まずい)


数日後。

モンケの病状が、悪化した。

「ハン...」

ウリャンカダイが心配そうに見ている。

「ウリャンカダイ」

モンケが呟いた。

「はい」

「俺は...もう長くない」

「ハン、そんなことを...」

「分かっている」

モンケが微笑んだ。

「だが、後悔はしていない」

「俺は、やりたいことをやった」

「帝国を、守った」

「...」

ウリャンカダイが涙を流した。

「クビライとアリクブケに、伝えてくれ」

モンケが続けた。

「帝国を、頼むと」

「はい...」


1259年、夏。

モンケは、陣中で息を引き取った。

享年、五十一。

モンゴル帝国、第四代ハンは、そうして死んだ。

全軍が、喪に服した。

遼高は、モンケの死を見ていた。

(ハンが...亡くなられた)

(これから、どうなる)


急報が、帝国中に送られた。

「モンケ・ハンが、崩御された」

中原。

クビライが、報告を受けた。

「兄上が...」

クビライが驚いた。

遼海が、側にいた。

「クビライ様...」

「遼海」

クビライが遼海を見た。

「これは、好機だ」

「...!」

「俺が、次のハンになる」

クビライが宣言した。

「準備しろ」

「はい」

遼海が頭を下げた。


カラコルム。

アリクブケが、報告を受けた。

モンケの末弟だった。

三十代の男で、保守的だった。

「兄上が、崩御された...」

「アリクブケ様」

側近のカラチャルが言った。

「次のハンは、あなたです」

「...俺か」

「はい」

「クビライは?」

「クビライ様は、中原にいます」

カラチャルが答えた。

「ここにいるのは、あなただけです」

「...そうか」

アリクブケが頷いた。

「ならば、俺がハンになる」


西方。

フレグが、報告を受けた。

「モンケ兄上が...」

フレグが驚いた。

遼西が、側にいた。

「フレグ様...」

「遼西」

フレグが遼西を見た。

「これは、厄介だ」

「...はい」

「クビライとアリクブケが、争うだろう」

フレグが言った。

「帝国が、割れる」

「...」

遼西は、黙った。

(帝国が、割れる...)


遼舜の家。

星歌が、心配そうにしていた。

「舜...」

「うむ」

「子供たちは、大丈夫かしら」

「...分かならない」

遼舜が正直に答えた。

「だが、信じよう」

「彼らを」

遼希が、そばで聞いていた。

十六歳になった四男は、不安そうだった。

「父上」

「うむ」

「兄たちは...無事ですか」

「大丈夫だ」

遼舜が遼希の肩を叩いた。

「お前の兄たちは、強い」


1259年の秋。

モンケが崩御し、帝国は混乱に陥った。

クビライとアリクブケ、二人が次のハンを名乗った。

後継者争いが、始まった。

遼高は、モンケ軍と共に撤退していた。

遼海は、クビライを支えていた。

遼西は、フレグと共に西方にいた。

遼希は、カラコルムで不安を抱えていた。

遼舜は、記録を続けた。

「1259年、モンケ崩御」

「クビライとアリクブケ、後継者争い開始」

「帝国、分裂の危機」

遼舜は、筆を置いた。

(帝国が、揺らいでいる)

草原の風が、激しく吹いていた。

嵐の前触れのような風だった。

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