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第78話 蒼光の刃、夜を裂く

迎撃は、静かに始まった。


だが、その均衡は長くは続かない。


数で押し潰す暗殺部隊。

それを、数ではなく“技”で迎え撃つ者たち。


そして――。


修理によって本来の力を取り戻した一振りの剣が、

戦場の流れそのものを変えていく。


蒼月亭を守る戦いは、いま決定的な局面へと踏み込む。

森の闇の中で、青白い光が一瞬、揺れた。


それは炎ではない。


魔力の光。


リディアの剣だった。


彼女は、深く息を吸い、わずかに魔力を流す。


刃の内部を通る“流路”が応えた。


カイによって修復された、見えない道。


そこを通って、魔力が刃先へと運ばれていく。


刃が、淡く光った。


青白く。


静かに。


「……来る」


リディアが呟いた瞬間――。


男が斬りかかってきた。


だが。


遅い。


リディアの体が、先に動いていた。


横へ。


踏み込む。


刃が閃く。


青白い軌跡。


男の剣が、真っ二つに断たれた。


「なっ――!?」


男が驚愕する。


だが、その声は続かなかった。


柄で喉元を打たれ、男は崩れ落ちた。


リディアは止まらない。


次。


次。


次。


必要最小限の動き。


無駄がない。


そして何より――速い。


彼女は魔力を“少しだけ”流している。


過剰には流れない。


刃の切れ味を、ほんの少し高めるだけ。


それだけで、結果はまるで違った。


剣は滑るように敵の武器を弾き、

最小の力で戦闘不能にしていく。


その姿を、少し離れた位置で見ていたレンが、息を呑んだ。


「……すごい」


自分もA級パーティの斥候として、多くの戦場を見てきた。


だが、この動きは異質だった。


速さではない。


正確さでもない。


“完成度”。


無駄が一切ない。


敵の動きの先を読み、すでにそこにいる。


レンもまた敵を倒しながら、その動きに見入っていた。


(これが……王女の護衛……)


そして何より――。


あの光。


青白い刃。


あれが、カイの修理した剣。


それを思うと、胸の奥が熱くなった。


一方――。


リディアとレンの迎撃線を抜けた敵が、村の外縁へと到達する。


そこには。


レオンとフィオが待っていた。


「来たな」


レオンが、大剣を構える。


フィオが弓を引く。


矢が放たれる。


正確に敵の足を射抜く。


動きが止まる。


そこへ――。


レオンが踏み込む。


重い一撃。


敵を弾き飛ばす。


「ここは通さねえ!」


その声は、村を守る意志そのものだった。


だが。


レオンの目は、前線にも向いていた。


リディアの戦い。


青白い光。


その動き。


思わず、呟く。


「リディアさん……すごい」


フィオも頷いた。


「あの青白い光が……カイさんの直した剣……」


目を見張る。


剣が光るたびに、敵が崩れる。


無理な力ではない。


技と、流れ。


それが、戦場を支配していた。


蒼月亭の前。


カイとミレーヌも、その光景を見ていた。


「……大丈夫でしょうか……」


カイの声は、不安を隠せなかった。


剣を直した。


だが、戦っているのはリディアだ。


その命がかかっている。


ミレーヌも、静かに見つめていた。


だが――。


その隣で、アリアが微笑んだ。


「大丈夫ですよ」


自信に満ちた声。


「リディアは強いです」


セラも頷く。


「レン達もいますから」


その言葉には、確かな信頼があった。


そして――。


前線。


リディアは、静かに息を吐いた。


剣が光る。


魔力が、流れる。


だが、消耗はほとんどない。


無駄な流れが、消えている。


カイが直した流路は、完璧だった。


必要な分だけ。


正確に。


刃へと届く。


彼女は、わずかに微笑んだ。


(カイ……!)


剣を構える。


次の敵が来る。


だが。


恐れはなかった。


蒼月亭は――守れる。


その確信が、あった。

今回の戦闘で明確になったのは、「リディアの完全復活」です。


修理された剣は、単に“直った”のではなく、


・魔力の流路が正常化

・必要最小限の魔力で最大の効果

・長時間戦闘が可能


という、戦闘能力そのものを引き上げています。


重要なのは、リディアが“魔力を少しだけ流している”点です。


そして同時に――


レオン、レン、フィオ、セラ、アリア。


蒼月亭は、もはや守られる場所ではなく、

「守る者たちの拠点」として完全に成立しました。


次回――


戦闘は終盤へ。


そして、この部隊が「先発隊」に過ぎなかったことが明らかになります。

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