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第76話 森の警告と守る者たちの役割

見えない視線は、確かに存在していた。


昼間の監視――それは偵察に過ぎない。

本当の脅威は、その後に来る。


夜は、隠れる者に有利だ。

そして、襲う者にとっても。


だが、この村には、夜を見通す者たちがいた。


影を知る者。

森を知る者。

そして――守ると決めた者たち。

夜の森は、静かだった。


風が止まり、木々のざわめきも消えている。


その静けさは、自然のものではない。


何かが潜んでいる時の――静けさだった。


蒼月亭から少し離れた外縁。


リディアは、闇の中に立っていた。


腰に手を置き、視線は森の奥へ。


その隣には、レン。


小柄な斥候の少年は、息を潜め、同じ方向を見ている。


二人とも、動かない。


だが、全てを見ている。


「……」


言葉はない。


必要ない。


夜の監視は、沈黙が基本だった。


その時。


わずかな気配。


だが、敵ではない。


リディアの手が、わずかに緩む。


闇の中から、影が一つ。


音もなく、近づいてくる。


月明かりが、顔を照らした。


「アリア」


エルフの少女は、静かに頷いた。


その呼吸は乱れていない。


だが、急いで来たのは明らかだった。


「森に人間がいるよ」


その声は低い。


だが、はっきりしていた。


レンの背筋がわずかに伸びる。


「それも、大勢」


その言葉で、確信に変わった。


偵察ではない。


本隊。


リディアは、短く言った。


「ありがとう」


アリアの目が、リディアを見る。


「カイ達が狙われてるのよ」


一瞬。


アリアの目が見開かれた。


「えっ……カイさん達が?」


リディアは頷いた。


「おそらくクローディア家だ」


アリアの表情が引き締まる。


数日前まで、ただの廃村だった場所。


今は違う。


ここには守るべき者がいる。


「私達も協力するよ」


迷いのない言葉だった。


リディアは、わずかに微笑んだ。


「ありがとう」


そして続ける。


「カイやミレーヌさんを守ってくれればいい」


アリアが首を傾ける。


「あなた達は?」


リディアの目が、森を見る。


冷たい光。


「実際に排除するのは、私達がする」


レンも頷いた。


彼の手は、すでに短剣に触れている。


斥候の役目。


敵の位置を掴み、混乱させ、崩す。


アリアは、一瞬だけ黙った。


そして頷いた。


「わかった」


役割は明確だった。


守る者。


戦う者。


それぞれが、最も適した役目を担う。


アリアは、蒼月亭の方を見る。


暖かな灯りが、窓から漏れている。


「ミレーヌさん達にも会ってくるね」


リディアは頷いた。


「セラと一緒に守って」


アリアの目が柔らかくなる。


「了解!」


その言葉と同時に。


アリアの姿は、闇に溶けた。


消えた。


それほど自然に。


レンが、小さく呟く。


「速い……」


リディアは言った。


「エルフは森の一部だからな」


再び沈黙。


だが、先ほどとは違う。


今は、戦いの前の静けさだった。


レンが言う。


「数は……かなりいます」


リディアは答えた。


「問題ない」


短い言葉。


だが、確信があった。


腰の剣。


カイが直した剣。


魔力が流れる剣。


その力を、彼女は知っている。


そして。


守るべき場所も。


蒼月亭。


カイ。


ミレーヌ。


仲間たち。


リディアの目が、夜の奥を見据える。


「来るなら来い」


小さく。


誰にも聞こえない声で。


戦う理由は、もう十分だった。

ついに、敵の本隊が森の中に現れました。


クローディア家は、偵察段階を終え、

「実行段階」へと移行し始めています。


この回で重要なのは、役割の明確化です。


・エルフは守護と警戒

・レンとリディアは迎撃

・蒼月亭は守るべき中心


それぞれが、自分の役目を理解し、動き始めています。


戦いは、もう避けられません。


ですが――彼らはもう、一人ではありません。

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