↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
209/264

第一章最終話 契約の余波

認められるということは、試され続けるということだ。

アルヴェリアの使者が去った翌日。


紅陽の空気は、どこか落ち着いていた。


「……静かですね」


セラが呟く。


「嵐の後だからね」


ミレーヌが答える。


「でも、これで終わりじゃない」


その言葉通りだった。


市場ではすでに変化が起きている。


「この価格でいいのか?」


外部商人が確認する。


「はい、合意済みです」


ロークが答える。


「安定供給と引き換えに、適正価格での取引だ」


商人が頷く。


「……悪くない」


昨日までの強気な態度は消えていた。


「続けられるなら、その方がいい」


空気が変わっている。


短期の利益から、長期の関係へ。


その様子を、ルミアが見ていた。


「……順調ですね」


カリナが横で言う。


「はい」


ルミアは頷く。


「ですが」


カリナが続ける。


「注視は必要です」


一拍。


「今回の合意は、評価の結果です」


「維持できなければ、即座に崩れます」


ルミアは小さく頷く。


「承知しています」


その言葉に、カリナは何も言わない。


ただ、周囲を見る。


――視線。


商人。


冒険者。


新しく来た者たち。


全てが“測っている”。


一方。


訓練場。


「もう一回だ!」


ダリウスの声が響く。


警備隊の訓練は続いていた。


「遅い!」


「はい!」


動きが変わっている。


以前よりも、確実に。


「いいか」


ダリウスが言う。


「ここはもう“村”じゃねぇ」


一拍。


「狙われる場所だ」


空気が締まる。


「守れなきゃ、全部崩れる」


「はい!」


声が揃う。


その様子を、冒険者たちが見ていた。


「……やっぱ違うな」


一人が呟く。


「ただ強いだけじゃねぇ」


「ちゃんと回ってる」


別の男が言う。


「ここ、マジで拠点にしていいかもな」


評価が変わる。


確実に。


その頃。


蒼月亭。


「パン追加です!」


「今焼けたよ!」


ベルンの声が響く。


「こっちも頼む!」


マリアンヌの食堂も忙しい。


新しくできた店も動き始めている。


「分散してきましたね」


カイが言う。


「はい」


ルミアが頷く。


「負担が軽減されています」


ロークが笑う。


「街っぽくなってきたな」


ミレーヌも頷く。


「いい傾向だね」


その時。


「失礼します」


一人の商人が声をかける。


「新規で店を出したいのですが」


ルミアが見る。


「内容をお聞きします」


カリナが一歩前に出る。


「場所、規模、扱う商品」


淡々と確認する。


「条件を満たすなら、許可します」


商人が頷く。


「ありがとうございます」


流れができている。


許可。


管理。


拡張。


全てが回り始めている。


夕方。


紅陽の外。


ダリウスが一人、外を見ていた。


遠く。


道の先。


「……増えるな」


小さく呟く。


人も。


物も。


視線も。


カイが来る。


「どうしました?」


「……いや」


一拍。


「いい流れだ」


カイが笑う。


「はい」


ダリウスは空を見る。


「だが」


一瞬だけ目が鋭くなる。


「狙われるぞ」


静かな言葉。


カイは頷く。


「……そうですね」


紅陽は進んだ。


だが同時に――


次の段階へ入った。


守るだけでは足りない。


維持し、広げ、そして――


耐える必要がある。


それでも。


灯りは消えない。


人がいる限り。


ここは続く。

第1章最終話です。ここまで読んでいただいてありがとうございました。

次回から第2章です。紅陽からより外へ広がる章になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。